シロ・プレイズ ”フランシスコ・タレガ”

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FMインタビューのために行った、クラシックギター・レパートリー3曲の特別録音。
前回は、バッハの傑作、”プレリュードBWV996″をお楽しみいただきました。
今日は、今年2009年が、ちょうどその没後100年を記念する年にあたる、スペインに生まれた”近代ギター音楽の父”、フランシスコ・タレガのペンになるギター曲をお聴きいただきます。


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タレガは、1852年、スペインのビジャレアルに生まれました。
少年時から”神童”の異名をもつほどの天才ギタリストであった彼は、同時にサウンド・クリエイターとしても素晴らしい才能をもっていた人で、それまでソルや、カルカッシ、ジュリアーニといった名手が作り上げてきた古典ギター奏法を研究し、それをさらに飛躍的に進歩させた結果、ギターでしか奏でることのできない、斬新かつ独自の美しさに満ちた音楽を数多く作曲しました。
また、さらに加えて素晴らしいのは、その並外れた編曲のセンスで、もともと他の楽器のために作曲されたクラシックの名曲の数々が、タレガのマジックによって、あたかもギターのためのオリジナル作品であるかのような魅惑的な音楽として、六本の弦の上に新たな生命を受けました。
タレガの手になる、バッハ、アルベニス、そしてグラナドスといった作曲家たちのギター編曲ヴァージョンは、曲によってはオリジナルを凌いだと言っても過言ではないほどです。

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今日ここにお聴きいただくタレガ作品は、その数多い作品群のなかでも、私がもっとも好きなナンバー、”ラグリマ(涙)”です。
おそらくこの美しい小品をお聴きになると、ギターという楽器が、むやみにやたらに至難なテクニックを誇示しなくても、その心地よい音色と適度な技術だけで十分聴く人の心を強くゆさぶり、そして泣かせることができる、きわめてエモーショナルな楽器であるということがよくおわかりいただけると思います。
タレガは、こういったギターの特性を熟知していた人と言えるでしょう。
今回、3曲のクラシック曲の録音を求められたとき、私がそのひとつとして真っ先に選んだのが、この”ラグリマ(涙)でした。”

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ユパンキがその少年時代、ごく短い間ではありましたが、クラシックギターを師事していたブエノスアイレスの名奏者バウティスタ・アルミロンは、タレガの高弟といわれたミゲル・リョベートと親交のあった人でした。
少年ユパンキも、きっとこの美しいナンバーを、ひとりパンパのかたすみで、遥かなスペインの地に思いを馳せながら、一生懸命練習していたにちがいありません。
それでは、南米フォルクローレギタリストが心をこめて奏でる、19世紀に生きた最高にクールなギターガイ、フランシスコ・タレガへのオマージュ。
お楽しみください。

ラグリマ