SAKAZO NAKADE – 中出阪蔵さん 魂のギター

1978年、当時まだ少年であった私のために、いまも日本のギター製作家として最高峰的存在である故中出阪蔵さんが、一台の素晴らしい楽器を作ってくださいました。
まずは、その芯のある豊かな音色をお楽しみください。
私自身の演奏で、ヨハン・セバスティアン・バッハのリュート組曲第1番BWV996の二曲目におかれたナンバー、’アルマンド’です。
これは、なんのエフェクトもかけずに、ほとんど音の響かないNYの自宅のリヴィングで弾いたサラサラの地音ですが、中出さんの魂がこめられた、ギターが本来もつべき骨のあるあたたかみのあるサウンドが、このような録音でもいかに空間的なアコースティックをもっているかよくおわかりいただけると思います。


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このギターは、私の恩師である鈴木巌先生のご紹介により製作していただいた、きわめて優れた名器です。
私は16歳から21歳までの5年間、この楽器を抱えて一生懸命クラシックギターを練習しました。

その後、彼女(ギターは女性です)は長い長い眠りにつくことになったわけですが、ケースのなかで、いつか私がふたたび会いにくる日をじっと待ってくれていました。
年月が流れ、私はいまふたたびこの素晴らしい楽器に、いまこそ私の音楽すべてを委ねられると確信しています。

鈴木先生は、”中出さんの楽器は、もちろん出来立てのときも素晴らしい音色で鳴るけれど、10年、そして20年たったあとに、さらにすごい真の音色が出てくるんだよ。”と、よくおっしゃいます。
どんなに強くはじいても割れない芯のある低音、豊かであたたかみのある中音域、そしてまろやかでエレガントでありながら、ピーンとつきぬけるような張りのある高音に、私はあらためて中出さんのギターのすごさを実感しました。

39ミリ間隔にセットされたヴィンテージ・チューニングマシン(糸巻部分)は、現在主流となった35ミリ感覚のものよりヘッド部分が1センチ近く長くなり存在感を増すため、最近の楽器よりもずっと美しく洒落て見えます。

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このギターには、私がいまも心から心酔する不世出のバイラオール(フラメンコの男性舞踊手)、故アントニオ・ガデスからのメッセージがしたためられています。
“同志よりシロへ  アントニオ・ガデス 1995年1月21日”
素晴らしい巨匠ふたりの魂がこめられたこのギターは、いよいよこれからの私の音楽を支えてくれる、なによりも信頼できる伴侶となるでしょう。