Soledad Montoya ソレダー・モントーヤの黒い哀しみ

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“Soledad y el mar,” la parte apertura de “Soledad Montoya,” mi obra nueva inspirada por la “Romance de la pena negra” de Federico Garcia Lorca.

“Soledad and the sea,” the opening part of “Soledad Montoya,” my newest composition inspired by Federico Garcia Lorca’s “Ballad of the black pain.”

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これは、「ソレダー・モントーヤの黒い哀しみ」とタイトルした(ギター独奏でも、もしくは詩の朗読やダンスを伴ってもプレイ可能な)5曲構成によるオリジナル組曲の第3楽章、唯一スローテンポに終始する「ソレダーと海」の、一般には公開していない自宅練習動画。

ガルシア・ロルカの傑作詩集、「ロマンセーロ・ヒターノ(ジプシーのバラード)」におさめられた、著者自身のイラストによる若いジプシーの女性が主人公の「黒い哀しみのバラード」という詩にインスピレーションを受けたものだ。

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黒い哀しみのバラード(一部分のみ翻訳)

”ニワトリたちが地をつつきはじめる オーロラの夜明け
ソレダー・モントーヤが 暗い山をおりてくる

ソレダー あんた なんだってこんな夜明けにたった一人歩いているの
あんたには関係ないでしょ あたしはただ あたしが探すものを探しているんだから

木の葉がさざめく下 オリーブの大地が広がる

ああ ソレダー!あんたの哀しみはなんて深いんだろう
そしてまるで台所からベッドまでとどいてしまうような 地面をはう長い黒髪 

やがてソレダーは海にたどり着く
そして波が 彼女を呑みこんでしまう

ああ ジプシーの哀しみは とってもきれいでいつもひとりぼっち
ソレダー・モントーヤ アロンドラの水であんたのからだをお洗い

そして あんたの心が安らかであるように
ソレダー・モントーヤ!”

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これは、フラメンコをはじめとするスペインの文化にたいへんファナティックなロシアのサイト。

つい先日、このページで、キューバを訪れたアントニオ・ガデス舞踊団のショート・ドキュメンタリーを見つけて楽しんでいたところ、よく見ると一緒に、自分が香川京子さんと一緒に行った「ガルシア・ロルカへのオマージュ」が紹介されており、とても驚いた。

最近、アルゼンチンやスペイン関係の音楽サイトを見ると、よくこういうことがある。

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自分は現在、ユパンキやアルゼンチンのフォルクローレの演奏については、まあまあの評価を受けているが、ロルカに関してはまだまだこれからだ。
決してフラメンコ色を強く出さずに、きわめて独自の「イベロアメリカーナ」のスタイルでロルカの音楽世界を構築するのは容易ではないが、とてもやりがいがある。

ロシアは、言うまでもなく数多くの優れた文豪、そして大作曲家を生んだ国。

自分も2002年に同国を旅したことがあるが、人々はいまも美しい詩や文学、音楽を心から愛好する。
しっとりとしたギターの弾き語りを聴かせるいい感じのライヴハウスがモスクワにはたくさんあって、つめかけた人々が静かに音楽に耳を傾けている風景はとても感動的だった。

こういったかたちで紹介を受けることは、とても嬉しいことだ。

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ロルカの詩を読めば読むほど、ユパンキの’月’や’風’、そして’川’、’木々や花’といった自然界の事物に対してや、伝統音楽のリズムを擬人化して語りかけるような作風が、その原点をスペインの大文豪に持つことがよくわかる。

ユパンキが多感であった青年時代、彼より10歳年上だったロルカは、すでにアルゼンチンやウルグアイを訪れ多くの講演を行っていた。ユパンキはおそらく、この優れた詩人の文学をむざぼるように読んでいたのだろう。

死後27年が経ち、まったくその文学性がスペイン語圏以外に伝えられることなく、日本やヨーロッパの一部の愛好家を除いては、すでにほぼ世界的知名度ゼロに近いユパンキに対し、死後80年以上が経過してもなお、その文学が世界中の言葉に翻訳、そして出版が繰り返され、いまも多くのアーティストをインスパイアーし続けているガルシア・ロルカ。

ある点では、ロルカなど比較にならないほど優れているユパンキの文学性を決して消滅させることなく、いまよりもっと世界の人々に知ってもらうために、自分はいま、その”師匠的存在”といえるロルカの力を少々を拝借しているのだということを、現在、この素晴らしいアンダルシアの詩人に力を入れる理由のひとつとしてわかっていただけると嬉しい。