Bach Improvisation on Sakazo Nakade 1978 autographed by Antonio Gades

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El increíble sonido de mi guitarra (Sakazo Nakade 1978) autografiada por Antonio Gades.
Es verdaderamente mi tesoro insustituible.
“Maria de Betania” es una de mis ‘Bach Improvisaciones,’ inspirada por una historia emocionante de la Biblia sagrada, utilizando a “Allemande BWV.1011.”

The incredible sound of my Sakazo Nakade 1978, autographed by Antnio Gades.
This is truly my irreplaceable treasure.
“Mary of Bethany” is one of my “Bach Improvisations,” inspired by the emotional story from the Holy Bible, and “Allemande BWV.1011.”

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最近、自分自身でオーバーホールを行った、日本の名工、中出阪蔵さんが作ってくださったギターを使い、現在制作中の、ダンサーのパフォーマンスを加えての新作で、バッハの無伴奏チェロ組曲第5番’アルマンド’に、自作のイントロダクションを加え、新約聖書のなかでも最も感動的な話のひとつである「ベタニアのマリア」のサウンド表現を試みた”バッハ・インプロヴィゼーション”の一部分。

強く豊かな中低音、芯のある、サステインの効いた伸びる高音、そして和音で鳴らした時のサウンドバランスの良さは、本当に信じがたいものがある。
こんな素晴らしいギターの製作家が我が国にいたことを、私たちは誇りに思わなくてはならない。
自分には現在、スペインの二台とアルゼンチンの三台の楽器を、訪れる国や曲目にあわせてメインにプレイしているが、日本の中出さんのギターも、今後かけがえのない武器として活躍してくれるだろう。

(こういったニューヨークの自宅録画は、自分で何度も繰り返し撮ってはアラを探して精度を上げて行くためのもので、当ホームページ以外では公開していない。)

バッハといえば、大聖堂の天を衝くような荘厳で圧倒的なオルガンサウンドや、清らかで神々しいカンタータのイメージだが、彼が生前行ったことで最も素晴らしいことは、ヨーロッパの様々な舞曲を収集して研鑽し、それに新たな芸術的生命を与えた多くの器楽曲を創ったことにある。
アルマンドは、フランスの宮廷で流行したいうドイツ風舞曲だが、ガボットやブーレ、ルールなどはフランス農民の舞曲、またサラバンドにいたっては、シャコンヌとファンダンゴ同様、もともと中米マヤ文化に起源を持つ三拍子の土着舞曲で、スペインの征服者たちが本国に持ち帰った後、ヨーロッパで爆発的に流行したが、どうやらマヤ風の(?)妙な振りがつけられたらしく、いっときはダンスの禁止をされていた時期もあったようだ。
アルマンドについても、もとを正せばドイツのフォークダンスであったに違いない。

こういったヴァラエティーに富む土着民俗文化に、遥か南の地で芸術的生命を注いだのが、アルゼンチンのアタウアルパ・ユパンキである。
バッハとユパンキは、時空の異なる別大陸において、土着舞曲の研鑽、そしてそれらに対する芸術的昇華の試みと、まさに同じクオリティーの仕事をしたといえるが、今こういうことをきちんと理解する人間は少ない。

自分は今後も、こういったアプローチでバッハとユパンキをプレイしてゆくつもりだ。

この中出さんのギターは、少年時、鈴木巌先生の門弟に加えていただいた1978年に作っていただいたものだが、のちに鈴木先生は、実際中出さんにお支払いした価格(11万5000円~領収書が残っている~)よりも、はるかに良い材質と技術が使われていると話してくださった。
先生が、特別に中出さんに頼んでくださったのだろう。
それは、いまこのギターの音を聞けば容易に理解できる。

また、学校に持って行って悪友たちとこの楽器を振り回していた際、床におっこどしてボディーの下のところが割れてしまい(アホかおめえ)、慌てて鈴木先生のところに駆け込んだことがあったが、先生は、中野の中出さんの工房にご自分で持って行ってくださり、すぐにきれいに直して持って帰ってきてくださった。
その際の修理費は、お支払いした覚えがないので、もしかしたら先生が払ってくださったのか、中出さんが無料で直してくださったのか、いまとなってはわからないが、とにかく自分は、鈴木巌先生という素晴らしい師匠に出会えたことに、ただ心から感謝している。

後年このギターには、スペインの不世出のフラメンコ舞踊家、故アントニオ・ガデスによって、”同士より敬意とともに”とサインがしたためられた。
これからこの楽器を使ってコンサートを行うことは、きっと誰よりも鈴木先生に喜んでいただけることだろう。