Bach-Lorca Improvisation 4 “Romancero Gitano (Gypsy Ballads)” バッハ ロルカ・インプロヴィゼーション❹「ジプシー歌集」

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Introduction: Prelude (Lute Suite I BWV. 996) / J.S. Bach
1. Romance de la luna luna (Ballad of the moon, moon)
2. La monja gitana (The gypsy nun)
3. Romance de la pena negra ~Soledad Montoya~ (Ballad of the black grief)
4. Muerto de amor (Dead from love)

All the music (except “Prelude” by Bach) created by Shiro Otake “le Gi♰an”
Dance performance by Changmu Modern Dance Company
Japanese calligraphy by Masako Inkyo
Paintings by Julio Romero de Torres

イントロダクション:前奏曲(リュート組曲第1番)/ J.S. バッハ
1 月のロマンス
2 ジプシーの修道女
3 黒い哀しみのバラード(ソレダー・モントーヤ)
4 愛の死

作曲 (1~4) & 演奏:大竹史朗
ダンス:チャンム現代舞踊団
絵画:フリオ・ロメロ・デ・トーレス
書:院京昌子

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一月に一度、ファンクラブの会員の皆様にお送りしているニュースレター(5月28日付、第33号)に対し、会員のある女性から、以下のような嬉しいお返事を東京の事務局に受けた。

初めて送信させていただきます。

64歳で、やっとチェロを始めました。
大好きなバッハ無伴奏曲、弾けるまで頑張りたいと思います。

銀座ヤマハホール(今年の12・8)、楽しみです。

この女性は、ニュースレターにリンクして、ファンクラブの皆様だけに(日本語字幕付きで)ご覧にいれた「無伴奏チェロ組曲第5番アルマンド」をインプロヴァイズさせた「黒い哀しみのバラード(ソレダー・モントーヤ)」を聴いてお便りをくださったのだが、こういうメッセージをいただくと、自分はとても嬉しい。
ミュージシャンをやっていて本当に良かったと思える。

この場を借りて、ご連絡に心から感謝申し上げるとともに、バッハの真髄「無伴奏チェロ組曲」のプレイが必ず将来叶いますよう、ニューヨークから応援しています。

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今回は、ガルシア・ロルカの傑作詩集「ロマンセーロ・ヒターノ(ジプシー歌集)」におさめられた作品の中で、僕が最も感銘を受ける四篇の詩を音楽化、そして冒頭に、やはり僕が、無伴奏曲同様心酔する、バッハの傑作曲「リュート組曲第1番プレリュード」を置いて構成したギター組曲。

やはり、このリュートのためのプレリュードを使い、前半と後半二つに分けて真ん中にインプロヴィゼーション・パートを入れたイェルマに対し、今回の「ジプシー歌集」は、まず、この傑作曲を全曲ライヴでプレイしたものを聴かせ、そのあと四つの展開部に繋げている。

バッハ・インプロヴィゼーションによる、すべて僕自身の作曲による四つのギター曲は、現在の僕のすべてと言い切れるサウンドだと思うが、なぜ僕が、これほどまでにロルカとバッハにこだわって音楽のクリエイションを行うのかは、すべてこのビデオの冒頭の、ロルカの言葉にある

今回は、日本語字幕をいれたものを一般公開した。

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僕は、ユパンキの生誕100年を記念してアルゼンチンで発表された書籍「ユパンキに再会するための手引き」(ダウンロードして読める)のなかで、アルゼンチンから二人、そしてブラジルからの一人のアーティストとともに、四名の真の直系として熟考されるアルームノ(門弟)のひとりとして選ばれ、2014年には、アルゼンチン、コルドバ州政府より「ユパンキアーノ(ユパンキに深く傾倒し精通する芸術家)」の表彰を受けたが、僕にとってユパンキの道をゆくということは、ただ巨匠の音楽をそのまま弾くことではない。

これらについては、巨匠の音楽をきちんと理解し、そして世界的に恥ずかしくない水準でプレイできた上で、さらにそれとは異なるアプローチと角度によって、新たな生命とともにその精神を伝えられるサウンドを創ろうとする、決してモノマネではない姿勢が、おそらく評価を受けたのだろう。

いつか自分は、”Vengo a buscar mi caballo“や、 “Vengo a dejar“、そしてユパンキ作品の極致といえる “Quisiera tener un monte“などのインタープレテーションを試みると思うが、いまはまだその時期ではない。なぜなら今これらの曲を演唱しても、単なる真似の域から出ることはできないからだ。

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ニワトリたちが大地をつつき始める オーロラの夜明け
ジプシー娘、ソレダー・モントーヤが 暗い山を下るとき
その銅色のからだ、豊かな胸から 馬と影のにおいが滲み出し
円形の 呻きの歌がひろがる

ソレダー、あんたなんだって こんな夜明けにたった一人で歩いてるの?

あんたには関係ないでしょ
あたしはあたしの喜びと あたし自身の喜びを探してるんだから…

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いまの僕にとってそのアプローチと角度とは、このジプシー娘、ソレダー・モントーヤをはじめとするロルカの世界だ。そして、決して自信過剰と思っていただきたくないが、自分はこれから、ユパンキ自身も敬愛してやまなかったガルシア・ロルカに霊感を受けた、世界一のギター曲をを創る。

それができないようでは、ユパンキの真のアルームノという言葉に本当に価するプレイヤーになることなど、到底ありえない。

今年の12月8日に、銀座ヤマハホールにて初演予定の「レクイエム~愛の死~」は、ソプラノ歌手によるアヴァンギャルド歌曲、そしてロックのフィーリングを加味したナンバー、さらに新解釈によるバッハ・インプロヴィゼーションが炸裂する(?!)おそらく現時点での最高のものをご披露できると信じている。

ご期待ください。