Book of lamentations: 旧約聖書に霊感を受けた「ソドム化する世界」への警告ギター曲と、突然訪れるインスピレーション

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Bach Guitar Improvisations V: Book of Lamentations (Tristeza de Sion la cautiva)

「哀歌 ~囚われのシオンのおとめ~」

1. Llorar (Mourn 嘆き) / Shiro Otake
2. Gemir (Moan 呻き) / J.S. Bach (Sarabande BWV. 997)
3. Rezar (Pray 祈り) / Shiro Otake

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旧約聖書のなかに、紀元前597年から約20年間に渡って繰り返された「バビロン捕囚」と呼ばれる、ユダヤの民がシオンの地(現在のイスラエル)からバビロニア(現在のイラク辺り)に強制連行された悲劇を嘆く「哀歌」という長大な五つの歌の形式をもつチャプターがある。

異教徒によって滅ぼされ、宮殿を失った宝石のような町エルサレムと、かつて死海の南岸にあったとされ、天の怒りによる火焔で焼かれて消滅させられた頽廃都市ソドムを、若い美しい娘たちに擬人化して綴った嘆きの歌に、かねてから僕は深い感動を覚えていたが、これは、現在、同じ星に暮らす人間同士でいがみ合い、全く無益な殺戮を繰り返す地球の民が、このまま同じことを続けていれば、必ずかつてのイスラエルと同じ目に会うことを危惧して作った、僕なりの世界に対する警告的要素を含む、一人の女優が、旧約聖書の言葉をそのままセリフとして語り、嘆き、呻き、舞い謳う、僕にとっての新型ギター曲。

今僕の手元には、オーストラリアのとても魅力的な若い舞台女優(母親がユダヤ系で、スラリとした身長約170センチの黒髪はどこか東洋的で、どこか酒井和歌子風のチャーミングさ)が、この曲をバックに謳い踊るデモ動画があり、おそらくこの素敵な女性は、僕の思うところを最高の形で表現してくれると期待しているが、現在、彼女のエージェントと、僕のオーストラリアにおける代理人が、初演に向け最終的な話し合いを行なっているので、それが全てクリアしたら、彼女の姿を観ていただくことができると思う。

今回の動画は、僕がオーストラリアに送った、僕の抱いているイメージを伝えるもので、英語の字幕部分を日本語に変えて皆様に楽しんでもらうもの。

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ご存知の方も多いと思うが、僕は、2017年5月の国連本部における約1時間のコンサート以来、ニューヨークにおける単独公演を完全に絶っていた。

これは、パンデミックや指の怪我などももちろんあったが、ニューヨークという僕にとってかけがえのない街で、新しいメッセージとして打ち出すモティーフが、このところ全く見つからなかったことがいちばんの大きな理由だった。

このオーストラリアの女優の動きは、僕に大きなインスピレーションを与え、僕は今、彼女のおかげでようやくニューヨークで、斬新なアイディアを伴う新しい音楽の上演に向けた、炎のようなモティヴェーションで僕を包んでくれた。

僕は現在、知り合いのユダヤ系アメリカ人たちを総動員して、さらにアイディアを膨らませている。

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インスピレーションといえば、実は昨年末、日本でのコンサートのために2年ぶりに帰国した飛行機の機内で、とてもチャーミングな二人のスチュワーデスと知りあった。
このセニョリータたちは(僕のような無名で、しかも一般性に乏しい音楽をプレイするミュージシャンにもかかわらず)僕の活動に関心を持ってくれ、忙しいなか東京公演に足を運んでくれてとても嬉しかったのだが、おひとりの名字が、今まで僕が一度も聞いたことのなかった、びっくりするような幻想的でロマンティックな響きを持つもので、僕はその魅惑的な名字の印象から、そのときちょうど取り組んでいた(アイディアが出ずに若干苦戦していた)「イェルマ」のイントロ部分を一気に(東京で)仕上げることができた。

これは、ガルシア・ロルカ独壇場とも言える美しい自然界の描写に、やはりロルカならではのエクスタシー感が加わった、まさに圧巻と呼べるものだが、この世界を間違いなくギター独自の音と機能性で表現できたと、とても気に入っている。

下記動画(日本語字幕付)の、僕が画面に出てくる1:55秒から4:35秒あたりまでがその部分。
これは本当に、彼女の綺麗な名字のおかげで作曲できた作品だ。

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むろん名字だけではなく、ご本人自身も(コンサートに来てくれた、もう一人の素敵なセニョリータとともに)とてもチャーミングであるということを付け加えますが、今のご時世、すぐに検索などされてしまい迷惑なので、もちろんどこのエアラインかも、どんな名字かも公表はしません。当然ですが念のため。

霊感というものは、思ってもみなかったタイミングで突然やってくる。
なかでも女性から受けるインスピレーションというものは、真にかけがえない。