オリジナル・ファド "想い出のリシュボア"完成

日本ポルトガル修好150年記念


ポルトガルが生んだ"ファドの女王"、アマリア・ロドリゲスさんが生前書き下残した数々の詩を翻訳、そして一冊の本として出版したユニークな四名の日本女性からなるグループ、"カウド ヴェルデ"。
このグループのリーダーであり、日本ポルトガル協会のメンバーである清水茂美さんから正式依頼を受け、演奏活動の合間を縫って6月初旬から続けていた、"カウド ヴェルデ'作詞による「想い出のリシュボア(リスボン)」の作曲が、二日前、8月1日に完成しました。


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"想い出のリシュボア"は、イ短調の"サウダーデ(孤愁)"と、イ長調"ヴィーヴォ(生き生きとした生命感)"によるふたつの表情をもった歌が、ファド特有のシンコペーションのきいたギターラ(ポルトガルギター)とヴィオロン(スペインギター)の伴奏のうえに、頻繁にくりかえされながら展開するナンバーです。


ギターラによる前奏、間奏、後奏、そして歌の合間にいれられるオーナメントに関しては、通常のスパニッシュギターで弾いても十分効果がありますし、また、フルートやクラリネット、バンドリンやカヴァキーニョを加えたショーロ編成で演奏するのもいいでしょう。


今年が没後10年を記念する、大歌手アマリア・ロドリゲスさんの声を思い浮かべながら仕上げたこのナンバー。
もちろんファド・ティピコ(典型的なファド)の形式をもちますが、作曲者として特に気に入っているギターラによるソロは、ブラジルのエイトル・ヴィラ=ロボスを敬愛する私が、リスボンのファドとリオのショーロが、歴史的にいかに美しくコネクトしあっているかということを実証できるものだと思っています。


このナンバー、カウド ヴェルデの皆さんの意向により、9月の初旬にニューヨークで録音を行い、さらに初演は、私自身がギターラを担当しての、東京でのお披露目になる予定です。
どうぞお楽しみに。


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アマリア・ロドリゲスさんとは、私が渡米する前、彼女が80年代に行った東京公演の際にお目にかかり、なんと夕食をご一緒させていただくという素晴らしい幸運を得ました。
コンサートのあとで疲れているにもかかわらず、笑顔を絶やさない、深い眼差しをもったとても素敵な方でした。
伴奏のギタリストの皆さんとも話しましたが、彼らは、私がニューヨークへ行く準備をしていることを知ると、

「きみはジョン・ウイリアムズとパコ・デ・ルシアのどっちが好きか?」

と、聞くので、

「パコ・デ・ルシア。」

と、言うと、"ヘイ!でかしたぞ!"というように笑って、

「きみは、どこに行ってもだいじょうぶ。」

と、たったいま、素晴らしい音で魅了されたばかりのギターラの弦を、ワンセット、記念にプレゼントしてくれました。


いまでもこのときのことは、まるで昨日のことのように覚えています。


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8月1日は、私の渡米記念日です。
1988年真夏、ケネディー空港に降り立った私は、まさか21年後のこの日に、自分が依頼を受けてファドのナンバーを作曲しているだろうなどどとは夢にも思いませんでした。


私はこのナンバーを、ぜひ天国のアマリアさんに献呈したいと思っています。



2009年08月03日 | Knight's NY diaries(ニューヨーク日記)