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Tierra Del Sueño – 夢の地 ‘ラ・リオーハ’

アタウアルパ・ユパンキの素晴らしき詩の世界 II

aguijapon1

私はこれまでに、アルゼンチンの多くの地方を旅して見聞を広め、そしてできるだけたくさんの美しく力強いフォルクローレの調べを体のなかに、そして血の中にしみこませようと努力してきましたが、結果それは、3年前に行った、’フォルクローレのゆりかご’と呼ばれるサルタにおける公演において、私のキャリアの第一段階としての頂点を招きむかえてくれたかのように思えました。

そんな私が、いまだ訪れたことのない美しい土地。
それが、ビダーラ(ビダリータ)、チャジータといった独特の調べと豊かな自然、そして広大なブドウ畑をその胸にいだく、ワインの名産地として知られる’ラ・リオーハ’地方です。
(写真は、私のサルタ公演を報じた、’エル・トリブーノ紙’。
‘日本人ギタリストとユパンキ作品’という見出しで、素晴らしいユパンキの写真が使われています。
ユパンキは生前、母国のアルゼンチンや隣国のウルグアイでは、’Don Ata(アタ親分)’と、親しみをこめて呼ばれていました。)

そのアタ親分が、ラ・リオーハによせた素晴らしい詩をご紹介します。

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Quisiera Tener Un Monte

アタウアルパ・ユパンキの素晴らしき詩の世界

ユパンキCD

前述の’De Tanto Dir y Venir’同様、私を深く魅了するのが、やはりユパンキ晩年の録音による傑作曲、’Quisiera Tener Un Monte(山がほしい)’です。

Quisiera Tener Un Monte(山がほしい)

山がひとつほしい とある里に
夕べに 美しい木の若枝にかくされた巣を守る
鳥たちの歌声を聴くために
山がひとつほしい
静けさが歌を紡ぐ 清らかな時間に
ギターを連れて歩くために
山の奥深く 奥深くへと 俺は歩いてゆく
そして とある木の枝のうえに ギターを眠らせる
するとやがて つがいの鳥たちが そこに巣を作るだろう
俺の影が 野にひとり
孤独とともに 消えてゆくあいだに

ユパンキは生前、
“私は以前、自分の前世は風だと思っていました。しかし、実は最近、風ではなくて木ではなかったのかと思っています。”
ということを言ったのですが、それを聞いた人が、
“なんの木だったのでしょう?”
と尋ねたところ、ユパンキは真顔で、
“いま研究中です。”
と答えたそうです。

彼はこの詩を書いた時点で、おそらく人としてではなく、木としてふたたびまた生まれ変わることを感じていたのではないでしょうか。
私も最近、この人はほんとうに木だったのではないかと思っています。

De Tanto Dir y Venir

‘夢見ながら歩くものたち’とともに

ギターラ

‘栗毛の馬’や’牛追い’、’牛車にゆられて’、’眠れるインディオの子’、そして’トゥクマンの月’などの名曲の数々を、決してコンサートにおいて欠かすことのできないたいへん重要なレパートリーとして持ち、これまで数多くのユパンキ作品の研鑽、演奏を続けてきた私ですが、実はこのところ、2005年春の東京オペラシティーでの二回公演の際に演奏した、’微笑みながら坊やは眠る’のそれ以来、新たなユパンキ作品をレパートリーにとりいれる作業から二年半ほど遠ざかっていました。

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‘歌いながら人生を’

日本語訳によるアマリア・ロドリゲス詩集

アマリア・ロドリゲス詩集

ああ 私の故郷(ふるさと)の人々よ
今だからこそ わかります
私の抱いている この悲しみは
あなた方から受け継いだものなのですね
私とあなた方のこの運命は
私たちを繋ぐ縁(えにし)なのです
どんなに否定されようと
同じギターラに張られた弦なのです
奏でられるギターラの
うめくような音を聴くたびに
我を忘れて
泣き出したい気持ちになるのです
そして 静かに身をゆだねていますと
優しさに包まれるようです
苦悩が深ければ深いほど
私は歌って悲しみを和らげるので

(「故郷(ふるさと)の人々よ」彩流社 ”アマリア・ロドリゲス詩集/歌いながら人生を“より)

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情熱の国ブラジルからペルーへ

イグアス大瀑布とマチュピチュで聴く
フォルクローレの調べ

マチュピチュ旅行ツアーパンフレット

私にとって、今年最大のハイライトといって間違いのない演奏、それは11月に行われる、ペルーの世界遺産にしてインカ帝国最大の遺跡、アンデスの空中都市マチュピチュでのライヴ・パフォーマンスでしょう。
まるで時の流れがとまってしまうかのようなようなひとときを、皆様とわかちあえますことを心より楽しみにしています。

マチュピチュ旅行ツアーパンフレット

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