バッハへの限りなき想い

楽譜

あまりコンサートでは演奏しないものの、私自身日々研鑽を重ねているのがJ.S.バッハの音楽です。
残念ながら、バッハはギターのためにオリジナル曲を一曲も書きませんでしたが、無伴奏ヴァイオリンやチェロ、そしてリュートをはじめとした多くの器楽曲に、19世紀以降優れたギターソロ用アレンジが施され、結果、曲によっては原曲を凌ぐ深い内容となっているものも少なくありません。
私にとってバッハの音楽とは、そのほとんどがまれにみる厳格なリズム形式で支配されているにもかかわらず、そこから解き放たれる個々の音色は、まさに変幻自在に姿を変え時空を超え、幻想の深い森を走り抜け、天空を駆けめぐったかと思えば次の瞬間には急降下して海底を彷徨うあたかも一頭のペガサスを駆った旅のようなもの。
彼の音楽を弾くとき私達は、楽器という素晴らしい交信手段をとおして過去との対話ををすることがかなえられ、さらにはそこから溢れ出る美の極致ともいえる無限のエネルギーを吸収し、ついにはこの人類の至宝ともいうべき遺産をわかちあえることを喜ぶだけではなく、バッハという偉大なる巨人と同じ世界に生まれることができたことさえも誇りに思わずにはいられないのです。

(写真 ギターにアレンジされたバッハの傑作曲のひとつであり、私の愛奏曲中の愛奏曲、無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第一番ロ短調のなかの「サラバンド」、およびその変奏「ドゥーブル」の楽譜。ギターで弾く際もオリジナルと同じキーで演奏されるため、なんだかバッハをぐっと身近に感じられます。)

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アドナイ・エレと羊めー館

「ダヒュ」人形

私の新作ギター・アンサンブル・ナンバー、「ダヒュ」をイメージした人形を、岩手県の北部、二戸(にのへ)郡の奥中山にある、ひつじ工房アドナイ・エレ(電話0195-35-3931)のみなさんが作ってくださいました。
彼女たちは、敷地内で放牧している羊の毛を刈り、それらを草木染めで彩った、100パーセントナチュラルな美しい製品をたくさん作っています。
写真は、セルティック・クロス(ケルトの十字架)を抱いた、なんとも愛らしいダヒュ。

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「寄寿姫」思い歌う

岩手日報

東北ツアーのパート2(実際は皮切りの10日でした)は、岩手沼宮内で行った私の新作「寄寿(よりじゅ)」お披露目公演。現地の最大手紙である岩手日報が大きく報じてくれました。私と寄寿との出会いが簡潔に書かれてありますので、その記事をご紹介したいと思います。

米国・ニューヨークを拠点に活動するギタリストの大竹史朗さんは十日、岩手町でコンサートを開く。同町の伝説に登場する「寄寿姫」をモチーフにした新曲「よりじゅ」を発表する。
大竹さんが五月に同町を訪れた際に、街の駅よりーじゅ前に設置されている寄寿姫のブロンズ像を見たり、伝説を聞くなどして「新曲が浮かんだ」という。
コンサートは同町沼宮内のコミュニティースペース「山見の里 かきくけこう」で開かれる。大竹さんは築100年余りの旧家の母屋を改築した重厚な趣を気に入ったという。
大竹さんはフォルクローレ・ギターの巨匠とされるアルゼンチンのアタワルパ・ユパンキに指導を受け、シロ・エル・アリエーロの名前で世界的に活躍している。
国内でも毎年ツアーを行っている。岩手の自然に愛着を深め、八幡平市にある友人の宿泊施設に立ち寄るようになった。本県にちなんだ歌曲も数曲ある。
寄寿姫は沼宮内の知名の由来の伝説に登場し「自らいけにえに名乗り出て大蛇を鎮め、地域に平和をもたらした」と語り継がれている。
新曲「よりじゅ」の歌詞には、「石神」「寄寿」と地名がなどが盛り込まれ、風景を歌いつつ、恋愛の切なさを感じさせる静かな曲調という。
コンサートなどを企画している」ひょうえもんの主催。柴田和子社長は「地域のシンボルに光があたってうれしい。新曲を町の文化活動にどう生かしていけるか、今後の展開が楽しみ」とPRする。

(岩手日報 2006年12月9日)

シロ in 見前中!

吹奏楽クラブの女の子たちと

10日からはじまった東北での連続ライヴ。少々前後しますがこれはパート1。11日の午後、盛岡市立見前(みるまえ)中学校にご招待を受けました。子どもたちのキラキラしている瞳を前に演奏するのは本当に素晴らしいことです。
私は13歳のときにユパンキの音楽を聴いて感激し、音楽の道へと進みました。この日、私の演奏を聴いた子供たちのなかで、もし誰かが私のように思ってくれたとしたら、こんなに素晴らしいことはありません。
(写真 見前中学の吹奏楽クラブの女の子たちとコンサート後に校長室で。みんなかわいいですね...。)

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Asi mi corazon te siente enamorado, Hiroshima!

芙似原由吏さんと

私にとってかけがえのない町、それは広島です。
14年前、ユパンキが書いた詩「ヒロシマ 忘れえぬ町」に作曲。
その精神状態は、ひたむきなまでにピュアではありましたが、キャリアといえばニューヨークのスラム街のバーやレストランで、ただかき鳴らすようにギターを弾いていただけ。
そんな私を日本に呼び戻して、最良のかたちで世に送りだしてくださったのが広島の皆様なのです。
今回、5年半ぶりに故郷(?)に帰った私の希望もあって、ごくごく親しい皆さんだけをお招きしてのスペシャル・ライヴを、10日の夜に行いました。

写真)私のCDアルバム「マリーア・ルイサ」のジャケットを描いてくれた芙似原由吏さん(右)。

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アンダルシアのレモンと、イタリアの濃厚なハチミツに、アタウアルパ・ユパンキの魂が溶け合う、静寂のグロリエータ(四阿)「カンテホンド・イベロアメリカーノ」の音楽世界

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