銀河の国の "ユパンキ生誕100年記念祭" I


2008年、4月12日の午後、岩手県奥中山高原に位置する、日本キリスト教団奥中山(おくなかやま)教会礼拝堂において、アタウアルパ・ユパンキ生誕100年記念の名の下に公演を行いました。

奥中山教会で演奏するのは、1997年以来、実に11年ぶりとなります。



教会員、戸田清志さんによる、'<冬>銀河に輝く奥中山教会'(上)。

そして'<秋>夕暮れの奥中山教会'(下)。


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冬場は辺り一面、ため息のでるような美しい白銀の世界に覆われる奥中山高原。


奥中山高原は、かつて私たちの人生における先輩たちが、酷寒地の厳しい自然の脅威と勇敢に戦いながら、深いキリスト教信仰の精神のもとに力をあわせ切り拓いた美しい土地で、どこかアメリカのスモールタウンのような雰囲気を湛えています。


現在ここに暮す人々は、日本のいろいろな土地から集まった方たちがほとんどで、清らかで質素なキリスト教信仰によってひとつに結ばれているかの地の皆さんのなかにいると、私はほんとうに、天国にいちばん近いところにいるのではないかというような気さえするのです。

奥中山教会は、この'天国にいちばん近い場所'の丘の上に静かに佇んでいます。

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(左) 礼拝堂正面玄関に置かれた手作りによるコンサートの看板
(右) 宿泊施設、'羊めー館(よーめーかん)'でウォーミングアップ。


コンサート前、すでに100名をこえるお客様がぎっしりと礼拝堂内を埋めつくしてくださいました。



公演はまず第一部、ユパンキの'栗毛の馬'、'おやすみネグリート'、'ギターよ教えておくれ'、'石のチャカレラ'、そして私のオリジナルナンバー、'ラ・サンティアゲーニャ'でスタート。
そして第二部は、ヴィラ=ロボスの'プレリュード第4番'、'第3番'、'第1番'で幕をあけると、続いて私のオリジナル組曲'ナンブ'から、第三楽章の'南部幻想曲'と第四楽章の'サウダージ 北上へ'、そのあとふたたびユパンキにもどって傑作ナンバーの'牛追い'、そしてラスト、ユパンキと私の共作による'ヒロシマ 忘れえぬ町'で幕を閉じました。


アンコールは、ヴィラ=ロボスの'カデンツァ'、そして客席に下りて行ってのおなじみ'コンドルは飛んでゆく'、'花祭り'のスペシャルメドレー。
奥中山高原には、知覚障害をもつ人々のための施設、'カナンの園'がありますが、彼らのなかからも何名かがこのコンサートに足を運んでくれました。
知覚障害をもつ人々は、心で音楽をとらえ、理解し、そして身体で反応します。
こういった人々を音楽の力で動かすことができなければ、決してオーセンティック(正真正銘)なものを演奏しているなどと言うことはできないでしょう。


(左) ユパンキは私に、言葉で言い表せないほどの素晴らしい贈り物をしてくれました。
私は彼の、そしてまた彼の魂を伝えられる音楽を奏でることによって、ひとりでも多くの人々に喜んでもらえることでその恩返しができるのだと信じています。

(右) コンサート後は、奥中山の混声合唱団、西岳グリーコールの皆さんが、私の作曲による合唱曲、'マトーコタンの物語'を披露してくださいました。



(左) CDにサインする私。

(右) チビちゃんにもサイン。



(左) 今回の岩手県滞在中に、私は誕生日を迎えました。
公演後、'カナンの園'の職員の皆さんからの特製手作りバースデイケーキが運ばれ、私は目をパチクリ。

(右) 感無量となった私は思わず言葉を失い、少々涙ぐんでしまう一幕も...。

このスペシャル・ジャンボケーキにのっているイチゴは奥中山高原産。
ここでしか味わうことができません。


(左) フーッ!!!

(右) ケーキ入刀!!!

ウーン、こりゃあむずかしいナ...。
シロさん下手ネ!私がやります。


安堵に満ちた私の表情。
ここは本当に天国にいちばん近い場所です。

私のすぐ横にいらっしゃるのは、2006年秋に、盛岡の見前(みるまえ)中学に招待してくださった、同中学校長(当時)の佐々木茂先生。
私がたいへん尊敬している方です。

素晴らしい人々に囲まれて、至福の時間がゆるやかに過ぎてゆきました。


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夜になると、教会員の方のお家に場所をかえ、ふたたび私を囲む会を。



教会員のおひとりの手作りによる、トウモロコシでできた特製'ユパンキのギター'パン。
このおいしさといったら!!!



奥中山教会員のみなさんは、いつもこうして集まってパーティーをしているわけではありません。
ふだんは、ただ厚い信仰のもとに、本当に質素に暮している方々です。

神様の、み胸にいだかれて暮している素晴らしい方たちに、こうして心からのおもてなしを受けられることを、私はほんとうに幸せに思っています。


ブエノスアイレス州に生まれたユパンキは、ふるさとを遠く離れたコルドバの山村、セロコロラドを、アルゼンチンの他のどの土地よりも愛していました。


ユパンキにとってのセロコロラドは、きっと東京生まれの私にとっての奥中山なのにちがいありません。

パート2に続く...。

2008年05月01日 | Shiro On Tour(ツアー & ライブ)