20年ぶりの身体検査はオール100点

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東京オリンピックたけなわ。

実は、二週間ほど前、ストリート・ヴェンダー(ワゴンによる街頭調理販売フード)から買った食べ物に少々あたってしまったようで、まあそのまま放っておいても治るとは思ったが、周りの勧めもあり、実に20年ぶり(!!!)、アメリカ永住権取得の際に受けて以来の健康診断を受けた。

二日に分けて行った結果は、きわめて良好。

現在の僕の心拍数、適正体重、血液酸素飽和量などは、すべて20歳から30歳の青年層が目標とする数値で、特に血圧は、114/70(!!!)と、渡米前の二十代の頃とほぼ同じ(!!!!)
長いアメリカ生活のなかで初めて決まった(!!!!!)主治医の先生に褒められることに。

また、僕は酒もたばこもやらないけれど、ピッツァやハンバーガーなどの(いわゆるアメリカ人が好む)ハイ・コレステロール食品や、ブラジルやアルゼンチン、そしてコロンビアの肉料理が好きで、しかもそれに加えてチョコレートやケーキが何よりも大好物なので、血糖値の最大キーとなるヘモグロビンA1Cがちょっと心配されたが、これも5.3(国際数値)と理想的で何の問題もなし。C型肝炎の疑いもなし。

結局すべて完全数値で、一安心。
欲を言えば、コレステロール値を少し下げると、10年後不安はないということだったので、そこは今後努力してゆきたい。

なにしろこれまで、全くそういうことを考えずに好きなものだけを食べてきたので😂

食中毒のほうは、その後なんの薬も処方されないまま治った。

そんなわけで、これまで食事に若干の偏りはあったが、とにかく20年にわたって鍛錬を続けていたフェンシングと、毎晩の筋力トレーニングが大きくものを言ったようだ。

また、これは私感だが、食中毒がたいした症状にならなかったのは、数カ月前に受けていたコロナウイルスのワクチンが、体の中で抗体となって戦ってくれていたような気がする。

ただ僕も、どう考えても今まで生きてきた年月をこれから生きるとは思えない年にはなっているので、今回のことを《目覚ましコール》と考え、あらためて健康には気をつけ、今後は、少なくとも半年に一度は定期健診を受けに行こうと思っている。

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しかしながら、払っていながら長いこと全く使っていなかった医療保険も含め、アメリカのこういったことに対する、細分化されたシステム・オーガナイズのクオリティの高さには本当に驚かされる。

今回のテスト結果は、主治医の直接検査による心拍数や血圧、血液の酸素飽和量などは帰宅して間もなく、そして、別にラボに送られた血液テストの結果も、24時間も経たないうちに、それぞれ新たに開設した、携帯電話の(簡潔でわかりやすい)アプリケーションにすべて(5回に分けて)送られてきた。

アメリカはやはりすごい。
僕は今も、アメリカから多くのことを学ぶ。

Oblivion’ ~ ‘La última curda’ Homage to Piazzola & Troilo ピアソラとトロイロへのオマージュ

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Aunque no soy tan fanático del Tango, tengo mucha influencia de Astor Piazzolla y Anibal Troilo.
Es mi actuación homenajeada a los dos grandes bandeonistas argentinos, fue grabada durante mi último concierto en Tokio, fue justo antes de la pandemia.

(subtitulados en castellano)

Although I’m not a huge tango fan, I have a plenty of influence from Astor Piazzolla and Anibal Troilo.
This is my homage performance to the greatest Argentine bandoneon players recorded live during my last concert in Tokyo (November 2019) just before the pandemic began.

Hope you enjoy my ‘estilo porteño’ with the view of my home town, and my precious ‘amigas’ who always support me a lot.

僕は、決して大のタンゴファンではないが、作曲のうえで、アストル・ピアソラアニバル・トロイロに大きな影響を受けている。

これは、世の中がパンデミックに突入する直前、2019年11月に行った東京公演の際に収録された、アルゼンチンが生んだ偉大なる二人のバンドネオン・プレイヤーに捧げたオマージュ・パフォーマンス。

それぞれの代表曲である「オブリヴィオン(忘却)/ ピアソラ」、そして「ラ・ウルティマ・クルダ(最後の酔い)/ トロイロ」を、メドレーでプレイしたもので、他の僕のライヴ音源同様、当夜、会場のデジタルレコーダーに残されていた、満場を埋めてくださったお客様が聴かれた、なんの加工も修正もしていない、そのままの音。

最初のスペイン語の字幕には、下記のようなことが記されている。

” 僕はタンゴ・クレイジーではないが、サウンドクリエイターのはしくれとして、ピアソラとトロイロに多大なる影響を受けている。これは、世の中がパンデミックに入る直前の東京公演のなかで、ふたりのアルゼンチンの偉大なるプレイヤーに捧げた僕のオマージュ・パフォーマンス。一発ライヴ録り、ミステイクもあって出来は100パーセントとは言えないが、僕の生まれた町の風景と、そして僕をいつもヘルプしてくれる素晴らしい’アミーガ(女性の友だち)’とともに楽しんでもらえれば嬉しい。”

アニバル・トロイロについては、渡米後、アルゼンチンと深く関わるようになってからその名を知ったが、ピアソラについては、渡米前、まだレコードなどもあまり出回っていない時代からのファンで、都内の輸入レコード店などで、彼の五重奏団のドイツ公演の輸入ライヴ盤が入荷したなどと知ると、走って買いに行ったものだ。

はじめてブエノスアイレスの街を歩いた時、街角のいろいろなところからピアソラの調べが聞こえてきたような気がして、”ああ。この人の音楽は本当にブエノスアイレスなんだな!”と、感激したが、そのピアソラの原点は(さらにその一世代前に活躍した)アニバル・トロイロという、やはり素晴らしいバンドネオン・プレイヤーだったということを知り、トロイロのレコードも(現地で)買って聴くようになった。

アニバル・トロイロは、言うなれば”タンゴのユパンキ”的グレート・サウンドクリエイター。
かつて、ユパンキとは共演もしている。

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ピアソラがこの世を去った後、なんだかいきなり”ネコも杓子もピアソラ”状態になったが、残念ながら、当の本人以外のプレイするピアソラを良いと思ったことは一度もない。
みな、なにか取り違えて演奏している気がする…

今回のビデオは、そんな話をしながら、僕自身はじめてピアソラとトロイロをライヴでプレイしたもの。

¡Hiroshima! La ciudad que no olvido (Atahualpa Yupanqui) 香川京子さんの朗読によるユパンキ「ヒロシマ!忘れえぬ町」

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Una interpretación en vivo de ‘ ¡Hiroshima! La ciudad que no olvido,‘ la canción más importante en mi vida, junto a una amable ayuda de Kyoko Kagawa-san (recitación,) una de las mejores actrices de la historia de cine en Japón.

(subtitulado en castellano )

A live performance of ‘Hiroshima! The city I shall never forget,’ probably the most important song in my life, with the kind assistance of Kyoko Kagawa-san (poem reading,) one of the finest actresses in the Japanese film history.

ユパンキにの詩に作曲し、共作曲として公式の演奏許可を受けた「ヒロシマ!忘れえぬ町」。

日本映画史を代表する大女優・香川京子さんの(中間部の日本語訳詩の)朗読に花を添えていただいてのこの東京公演は、僕のこれまでの「ヒロシマ」ライヴパフォーマンスのなかで、おそらくベストに挙げられるものだろう。

香川さんのご厚意、そしてユパンキの詩に対する深いご理解に心から感謝している。

なお、ビデオ冒頭にあらわれる手書きの「ヒロシマ!忘れえぬ町」の詩は、ユパンキ直筆による(1976年11月として、サインが記されている)貴重なもので、僕がニューヨークの自宅で大切に保管している。

また、息を呑むような、巨匠の広島滞在時(1966年)の写真は、当時「広島アルゼンチン音楽同好会」の会長をしておられた山崎克洋-やまさきかつひろ-さん(最後の集合写真の一番左側)さん撮影によるもの。

僕は1992年、アルゼンチン、コルドバ州のリオ・セコという町で、ユパンキのご長男ロベルト(コージャ)さんから「ヒロシマ」の公式演奏許可を受けたあと、この山崎克洋さんのご尽力によって四年ぶりにニューヨークから日本に帰国。広島市でデビュー公演を行い、演奏家として立つことができた。

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ヒロシマ!忘れえぬ町

灰のなかから蘇る 不死鳥のように
苦しみを喜びへと謳いあげる ベートーヴェンのシンフォニーのように
いまきみは こなごなになったからだを
悠久の水のなかへ 蘇らせようとしている

ああ!きみは大いなる農夫!
大いなる夢を見る 種まき人!

こうしてぼくは きみを想う
愛するヒロシマよ!

あの夜のことをおぼえているかい
引き裂かれたキモノよ
さぞ あつかっただろう
大地は 灼けつく太陽よりも熱く
きみたちを つつんだのか

国境をこえた恐怖 子どもたちを失った町
山の松は倒れ 野の稲は枯れ果て
星空の下 物語を綴る笛の音はやみ
すべては巨大な静けさのなか 静かに去っていった

ともに歌うこともなく 涙を流すこともなく
さよならを言うこともなく
たとえようもない 恐ろしい瞬間
きみたちは静かに去っていった
ヒロシマよ!

しかし神は きみの優しさを見守っていた
きみの清らかな種を!きみの深い声を!
そしてきみは蘇り 恥じらいながら咲く桜の花を再び染めあげ
母親たちは夕べに 途切れた歌を歌い出した

ねんころろ ねんころろ

ごらん! 僕はきみを想って歌う
お聞き! 僕のアルゼンチンのギターはきみを想って歌う

こうして僕は いまさよならを言うけれど
僕はずっと きみといっしょにいるだろう
愛するヒロシマ!

Clytemnestra – A Double-Neck Guitar Solo 「クリュタイムネストラ(ダブルネックギターソロ)」 仏教寺院におけるギリシャ神話

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Un solo de guitarra original de doble brazo (Washburn USA), inspirado por la mitología griega.
Fue grabado durante mi concierto especial organizado en el templo budista en Tokio.

An original “Double-Neck Guitar (Washburn USA)” solo, inspired by the Greek mythology.
Recorded live during my special concert took place at the Buddhist temple in Tokyo.

ギリシャ神話の美貌の王妃「クリュタイムネストラ」をモチーフにして作曲した、カスタム・アコースティック・ダブルネックギターソロ

お寺の本堂において収録された、珍しいライヴパフォーマンス。

6弦と12弦のダブルネックを、速いアルペジオの導入部、そしてモデラートの主題部にかけてかわるがわるプレイしたあと、再びアレグロに戻り、特殊奏法によって同時に両方を奏でることで、天空の神々しさ、そしてそこに溢れる愛と憎悪と哀しみを幽玄的に音楽表現した。

使用楽器は、アメリカのワッシュバーン社製作によるカスタムで、このテのギターはオヴェーション社のものがよく知られているが、オヴェーションは(本当の意味での)アンプラグドでプレイした際に音にコシがなく、実際は、このワッシュバーンのほうがより優れている。
この、アンプを通さなくても音が全く砕けないサウンドバランスは素晴らしい。音に絶妙のヌケノビがあり、そしてよく泣いてくれる。

東京日野市の安養寺にご招待を受けて行った、スペシャル奉納コンサート第一部のエンディングとしてライヴ披露。

La casa de Bernarda Alba / Homenaje a Yasue Yamamoto 「ベルナルダ・アルバの家」ロルカとヴィラ=ロボスによる大女優へのオマージュ

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Una presentación homenajeada a Yasue Yamamoto (1902/1906-1993), una de las más grandes actrices japonesas, quien interpretó al papel principio (La Casa de Bernarda Alba)de la obra de Garcia Lorca por la primera vez en Japón en 1955.
Esta interpretación es también dedicada a Heitor Villa-Lobos.

An homage presentation for Yasue Yamamoto (1902/1906-1993), one of the finest actresses in Japanese entertainment history, who performed the main role (The House of Bernalda Alba) of the drama written by Garcia Lorca for the first time in Japan in October, 1955.
This performance is also dedicated to Heitor Villa-Lobos.

1955年10月、ガルシア・ロルカの戯曲「ベルナルダ・アルバの家」が、日本の演劇人たちの手によって初めて我が国で上演された。

この時、主役のベルナルダ役を演じたのが、日本を代表する名舞台女優・故山本安英(やまもとやすえ)さん。

「ベルナルダ・アルバの家」は、ロルカのペンになる最後の戯曲で、100年前のアンダルシアのある村において、亭主と死に別れた60歳の老婆(ベルナルダ)が、喪に服すため五人の娘たちに7年間の外出を禁じると、やがて娘たちは狂乱状態に陥り、ラスト、大悲劇が起こるというストーリー。

字幕によって使用した(わらべうたのような)詩は、実際に戯曲のなかにあるもので、彼のもうふたつの代表的悲劇「イェルマ」、「血の婚礼」同様、一見無邪気なトーンによって、これから起こる悲劇を比喩的に予告する重要な役割を果たしているが、まさにこの、無垢な”わらべうた”や”子守唄”のようなスタイルによる”不気味な暗示”こそが、”戯曲も書けた詩人”ではなく、”戯曲を書くために生まれてきた詩人”ロルカの作劇における、最も傑出した部分と言うことができるだろう。

安英さんは、「夕鶴」の主役(おつうさん)の舞台で知られた、歳を重ねてからも、まるで少女のような可憐な容姿でおられたが、この、あたかも邪鬼を思わせるようなアンダルシア女を演じている舞台写真を見ると、これが同一人物かと思わせるほどの迫力、そして貫禄がある。

日本の大女優へのオマージュに使用した曲は、僕があらゆるクラシックギター曲のなかで、最も優れていると信じる、20世紀を代表するブラジルのサウンド・クリエイター、エイトル・ヴィラ=ロボスの傑作ソロ曲「プレリュード第4番」。

東京におけるライヴ・プレイをお楽しみください。

僕はおそらく、ひとりのギターのプレイヤーとして、これ以上のヴィラ=ロボスのインタープレテーションはできないと思う。

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アンダルシアの悲劇なのに、なぜブラジルの先住民絡みの音楽なのかとおっしゃる方もおられると思うが、僕は絶対に(優れた)作曲者と、その出身国を結びつけてものを考えない。
それは僕にとって、物事を破壊的に狭くしてしまう最大のナンセンスだ。

バッハベートヴェンワーグナーらは、もはやドイツの音楽という言葉で片付けられるものではなく、チャイコフスキーストラヴィンスキーメシアンなどの音楽もしかり、単なるロシアやフランスの音楽と呼べるようなものではない。
さらにユパンキパコ・デ・ルシア、そしてこのヴィラ=ロボスに至っても、アルゼンチンやスペイン、ブラジルといった次元をはるかに超越した、地球全体の、しいては宇宙のリズムとエモーションに満ちたものと言って過言ではない。

バッハやピカソ(ついでにマイケル・ジョーダンも)のような傑出した能力を持った人というのは、みな宇宙人で、それに最も近いと思われる地球人はユダヤ人だと僕はいつも思っている。

ヴィラ=ロボスの傑出した調べは、いまにもしゃべり、そして動き出しそうな安英さんの舞台写真と相まって、やはり宇宙の情感を含有するロルカの詩の世界と、ドラマティックに、かつ叙情的に融合していると信じている。

ヴィラ=ロボスもロルカの大ファンだったのだろう。
彼は、こんにちあまり上演される機会をみないが、素晴らしいオペラ「イェルマ」を書いている。

このビデオの日本字幕付きヴァージョンは、7月末発行の、次号ファンクラブ・ニュースレターとともに、会員の皆さまにお届けします。

"Le Gitan New-Yorkais" avec la Solitude et la Passion

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