母とカーネギー、そして'ウエストサイド物語'

2月26日に行われるカーネギーホール公演において、主催者のジャネット・ウォルフさんのお計らいにより、東京に暮す私の母が、当夜特等席にて招待を受けることになりました。


母は仕事柄、これまでに多くの国々を訪れていますが、実はアメリカには一度も来たことがなく、これが彼女にとってはじめてのニューヨーク訪問となります。


ジャネット・ウォルフさんは、驚くような錚々たる交遊関係をもつニューヨークの名士です。
この場をかりて、ジャネットさんに心から感謝の意を表したいと思います。

そして....


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なんとこの公演とちょうど時期を同じくして、不滅の傑作ミュージカル'ウエストサイドストーリー'が、約30年ぶりにブロードウエイでリバイバルされることになりました。
カーネギーのステージで演奏を聴いてもらったあと、私がニューヨークに飛び出す引き金をひいてくれたこの作品を母といっしょに観劇に出かけられるというのは、私にとってなによりも嬉しいことです。

しかし、よりによってこの時期に'ウエストサイドストーリー'がリバイバルされるとは...。


「おい、お前またひとつ俺に借りができたな。」と、ニューヨークが笑っているようです。

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1988年、渡米直前の私。
"「ウエストサイドストーリー」に出るまで戻ってこない。"と言って飛び出した私を、母は止めるどころか"がんばってきなさい。"と、にこやかに送り出してくれました。

結局、ブロードウエイの劇場で、'Boy! Boy! Crazy boy! Get cool boy!'と指を鳴らしながら歌い踊るというそもそもの夢はかないませんでしたが、そのかわりに音楽家として、かのアタウアルパ・ユパンキをはじめとする、はるか'サウスサイド'の音楽を追求する道を与えられた私の姿を、今回こうしてカーネギーのステージで見られることを、母はきっと心から喜んでくれるでしょう。

2009年01月15日 | Knight's NY diaries(ニューヨーク日記)