ギジェルマおばさんとともに...
アタウアルパ・ユパンキの素晴らしき詩の世界 XV
ギジェルマおばさんに捧げる歌
アタウアルパ・ユパンキ
鍋といっしょに歌っていた 誰にも聞こえない調べを
山は秘密を語ってくれる そのふところで根っこを掘る者に
紫色に浮かぶお月さん 藍色の空を さすらいゆく
そして*マンディルのうえに浮かぶのは
紅く縫いとられた ふたつの文字
ギジェルマおばさんが 俺にマンディル作ってくれた
4月の末の 馬乗り大会用に
俺たち里者が さっそうと男っぷりあげられるように
つやつや輝く とびきりのマンディル作ってくれた
作ってくれたのはギジェルマおばさん!
ギジェルマおばさんが作ってくれたんだ!
人の世には罠がある どうして人の世はこうなのか
織物織りのばあさんたちは 死んではならないのに!
俺たち里者には もうマンディルたのめる人がいないのに!
ギジェルマおばさんが 俺にマンディル作ってくれた
4月の末の 馬乗り大会用に
俺たち里者が さっそうと男っぷりあげられるように
つやつや輝く とびきりのマンディル作ってくれた
作ってくれたのはギジェルマおばさん!
ギジェルマおばさんが作ってくれたんだ!
(* 馬の鞍の下に敷く毛織の布)
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