BACH ROCKS CARNEGIE!

カーネギーホール再招演成功

2月4日の夜、二年連続によるスペシャルゲストとして招待を受けて出演した、ニューヨーク市のイヴェント"ブラックヒストリーマンス"を記念するガラコンサートが、無事成功裡に終了しました。


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昨年同様、私はコンサート第一部のクローザーとして登場し、今回は、ヨハン・セバスティアン・バッハの傑作曲"リュート組曲第一番ホ短調 BWV996"からの抜粋をソロで演奏。


昨年のステージでは、はじめてのクラシック音楽の殿堂出演ということもあり、弾きやすく無難によく鳴るスペイン製のクラシックギターを使用しましたが、今年は満を持しての最大の愛器、アルゼンチンのグレゴリオ・カブラルさん製作による楽器を使用しました。


グレゴリオさんは、アルゼンチン、コルドバ州北部にあるビジャ・デ・マリーア・デル・リオ・セーコという小さな町に暮すギター製作家。
風貌はどことなく哲学者風、とにかく静かな方ですが、楽器店などには一切卸さず、彼をたずねてくる人にのみ心を込めて楽器を製作するという職人肌なので、一般的なギターコミュニティーにおける知名度は決して高くありません。 
しかし、この南米産の珍しい木材の数々を使った、"ギターラ・クリオージャ"と呼ばれる彼のギターを一度でも鳴らしてみれば、あっという間にそのあたたかでナチュラルな音の虜になってしまうでしょう。


この夜、グレゴリオさんが1994年に私のために製作してくれたギターは、かのヴィラ=ロボスによる「バッハは世界をひとつに結ぶ最高の民俗音楽」という言葉を実証するかのように、南米のもつ豊かなエモーションとと、ヨーロピアン・バロックのノーブルな香りがひとつになったような深い声で歌ってくれました。



私のキャリアの上で、ユパンキや自作品をまったく弾かず、純粋なクラシックギター曲のみをひとつの演奏会で披露というのは、おそらくこの夜が最初で最後となるでしょう。

公演後は、「手を見せて!」というたくさんの女性客に周りをかこまれて(ずいぶんさわられました!!)、しばらく身動きができなくなってしまい、なかなかレセプションの会場にたどり着けなくなってしまった一幕もありました。

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今日もまた、南方の小さな町で、ひとりコツコツと美しいギターを作っているグレゴリオ・カブラルさん。

カーネギーのステージで、私が彼の楽器を使ってバッハのリュート組曲を弾いたと知ったら、きっと彼は涙を流して喜んでくれるでしょう。

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また、今回のカーネギーホール公演の直前に、コンサート主催者のジャネット・ウォルフさんが、ニューヨークの日刊紙’デイリーニュース’に大きく記事として紹介されました。
この記事を見て、コンサートにかけつけてくださった方々もきっと少なくないでしょう。
これは、当日新聞を見逃してしまった私に、ジャネットさんがあとでコピーして郵送してくれたものです。

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クラシック音楽の殿堂カーネギーホールの、しかも満席のニューヨークの観客を前でのステージに、私を二年連続で招待してくださったジャネット・ウォルフさん。

この経験は、まちがいなくこれからの私のキャリアにおいて最良の糧となったはずです。


Thank you Janet!!!

2010年02月06日 | Shiro On Tour(ツアー & ライブ)