アキコ・カンダさんの思い出に
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日本のモダンダンス界のパイオニアー的存在であった舞踊家、アキコ・カンダさんが、先月23日、その75年間にわたった地上での生涯の幕を閉じ、天国へと旅立たれました。
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アキコさんは1950年代、日本人でありながら、ニューヨークの伝説的モダンダンス・クリエイター、マーサ・グレアム率いる舞踊団の中心ソリストとして活躍。62年以降は日本に帰国され、ご自身のカンパニーを創設して、わが国のコンテンポラリーダンス・パフォーマンスの確立と向上に多大なる貢献をしながら、死の直前まで独自のリリシズムと美しさに満ちた現代舞踊の創造を試みておられた方でした。
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私はかつて、ブロードウエイのステージに出演する野望をもってニューヨークに渡りましたので、アキコさんには、ダンスやニューヨークのことで、様様なアドヴァイスをしていただきました。
写真は、アキコさんが、渡米する私に"これはお守り"と、おっしゃってくださったもの。
クマさんには、アキコさんの手書きで'チャッチャ18号(ぬいぐるみマニアであったアキコさんによる命名)'とあり、あたかも何か不思議な力を伴って動いているかのようなデザインをもつ、インド製の大きなカスタムメイド・ペンダントは、"これには神様が宿っていて、ずっと大切にしてきたものなの"と、あの独特のサンドペーパーヴォイスでおっしゃったので、私はアメリカにわたる際、道中ずっとこのペンダントを首にかけ続け、こちらに着いてからもしばらく肌身離さず身につけていました。
結局、ダンスのほうでブロードウエイに出演する夢はかないませんでしたが、NYの地で、まったく異なる魅惑的な分野で将来が開けたのは、もしかしたらこのペンダントのおかげだったのかもしれません。
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ここで弾いているナンバーは、11月20日の東京公演第二部、'バッハの家庭音楽会'において、香川京子さんによる朗読とともに、前半のハイライトとして演奏する(朗読とのシンクロニゼーションのために中間部を数小節削った)、私自身の編曲によるリダクション・ヴァージョンです。
一発録りで、少々勢い余っている部分もありますが、踊りながら空へとむかうひとりの舞踊家の魂を思い描きながらの'無伴奏ギター'演奏をもって、アキコ・カンダさんのご冥福をお祈りします。
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In Memory of Akiko Kanda (1935-2011)
Prelude - Unaccompanied Cello Suite III BWV.1009 / J.S.Bach
2011年10月03日 | Knight's NY diaries(ニューヨーク日記)