'カザルス-無伴奏チェロ組曲'、ロックレーベルから再プレス


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今月はじめ、ドイツのZYXなるロック系レーベルから突然再発売となった歴史的音源、パブロ・カザルスによるバッハの無伴奏チェロ組曲全曲集。


写真のような’クール’なジャケットにも魅かれ、すぐさま購入。

ウーン、これはスゴイぞ!

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自分は、オーディオのエキスパートではないので細かいことはよくわからないが、これはあきらかに、いままでデジタル化されてきたサウンドクオリティーと異なる。

これまでのCDでは、旧時代の、レコード針が吸い上げるダイナミックなソニックウエーヴによるドライヴ感が完全に失われ、ときに音の割れも起こるなど、なんとなくただ古くささに支配された感じがしたが、今回の’ZYX’再プレス盤は、カザルスならではのあたたかみのある音色がまったくそこなわれることなく、さらにアナログ時代の録音ではあまりよく聞こえなかった独特のボウイングによる細やかな部分までがシャープさとナチュラルさを増して前面に現れ、バランスのとれた斬新な、腰のあるデジタルサウンドとなって全編圧倒される。


それでいて、SP時代の品格ある香りがきちんと残っているところがまたスゴイ。


カザルスは生前インタビューで、"バッハの音楽が、彼の死後放置されたのは、すべてド
イツ人の無知さに帰依する。当時彼らは、この音楽をまったく理解することなく、そして今も理解しないまま演奏している。"なんて言っていたが、もしこのCDを聴いたら少しドイツ人を見直すかも?!


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カザルスの’無伴奏...’にはじめて出会ったのは高校二年生のとき、鈴木巌先生の門下生として、研究演奏発表会において「組曲第6番ガヴォット」を弾くに際し、祖母が買ってくれたものだ。


真っ赤な箱におさめられた三枚組の豪華LP、当時としては大きな出費だったに違いない。

11月16日の銀座公演では、「組曲第3番ブーレ」を演奏予定。

祖母に聴かせてあげたかったなあ...。


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2012年09月30日 | Knight's NY diaries(ニューヨーク日記)