Dos Hombres Orgullosos Salteños
音楽家ならば、一生涯忘れられないコンサートというものが誰にでも必ずあることでしょう。
私にとってのそれは、3年前、アルゼンチン北部に位置する美しい町、'フォルクローレのゆりかご'と呼ばれるサルタ市で行った公演です。
私はこの公演が決まったとき、以前からレコードで親しんでいた、サルタ出身の(ロス・チャルチャレーロスや、ロス・トゥクトゥクなどと双璧をなす北部-ノルテーニャ-スタイルを代表する)フォルクローレ・グループ、'ロス・カントーレス・デル・アルバ'の代表曲のひとつであるサルタ賛歌、'Mi Traje de Gaucho(俺のガウチョ服)'をぜひ演奏しようと思いました。
そこで現地の主催者に連絡したところ、なんと、やはりサルタ出身で、このナンバーの作詞者である、ペドロ・セルバンド・フレイタさんご自身から楽譜が送られてきてまずビックリしたのですが、これに加えてさらに当日は、これまたサルタ出身の伝説的フォルクローレ・グループ、'ラス・ボセス・デル・オラン'の創設者であるフォルクロリスタ、マルティン'ピティン'・サラサールさんが全面的にサポートしてくれるとのニュースに、私はすっかり感激してしまったのです。
ペドロ・セルバンド・フレイテさんから送られてきた'Mi Traje de Gaucho'の楽譜。
"シロへ 私の作品を演奏してくださることを心から感謝します。-ありがとう!- サルテーニョ(サルタ人)の抱擁を。”
と、書き添えてありました。
コンサート会場となったのは、サルタ市の中心部に位置する、美しい18世紀の教会、'ビーニャ・カテドラル'。
深く澄みきった青空に、白亜の大聖堂がそれは美しく映えていました。
(左) コンサート前に、演奏の打ち合わせをするピティン・サラサールさんと私。
(右) 私のギターを手に、ユパンキの'石と道'を歌うサラサールさん。
(左) オーセンティックなフォルクローレに加え、私はオリジナル・ナンバーも披露。
ダブルネックギターによるソロ演奏に、集まった500人をこえる聴衆は大喜びでした。
(右) 私はふだんステージで、決して民族衣装を身につけませんが、この日ばかりは別。
サラサールさんから贈られたサルタのポンチョを肩に、彼とユパンキ・ナンバーをデュエット。
感極まった瞬間でした。
世界には、パワフルな音楽、ソウルフルな音楽、そしてスイートな音楽が存在します。
しかし、それらをすべて兼ね備えた音楽とは、私にとってアルゼンチン・フォルクローレただひとつです。
甘く、力強く、それでいて感傷的で切ない美しい調べ。
こういった経験を日々かさねながら、私は愛してやまないこの音楽とひとつになってゆくのです。
(写真は、'エル・ガウチョ・サルテーニョ(サルタのガウチョ)'ピティン・サラサールさんからのメッセージ、"シロへ あたたかい友情をこめて”)
なお、'Mi Traje de Gaucho'は、正確に訳すと'俺のガウチョ・スーツ'。
この写真のサラサールさんのいでたちこそが、サルタのガウチョの正装'スーツ'姿となります。
赤と黒のポンチョはサルタを象徴する色彩で、サルタではなんと、街中を流すタクシーのボディーもこのデザインでした。
はじめのほうで、ペドロ・セルバンド・フレイタさんをご紹介したリンクは、'Revista La Gauchita -ガウチョ娘マガジン(?)'というアルゼンチンのウエッブサイトです。
言葉はすべてスペイン語ですけれど、トレードマークのガウチョ娘のイラストが実にかわいらしいのでぜひごらんになってください。
アルゼンチン・フォルクローレのファン必見サイト?!
2007年08月18日 | Hombres Grandes,Criollos Fantasticos(大いなる人々、そして素晴らしき南米人たち)