遥かなるインカの地へ

マチュピチュ・コンサートツアー記  -Parte Segunda-


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11月25日の夜、私をのせたラン航空531便は、ニューヨークを発つと、もう翌朝26日の早朝にはペルーの首都リマに到着。

2年前のリマ公演の際は、スケジュールの関係で東京から往復したため少々こたえましたが、今回はニューヨークの自宅からの出発で、しかもフライト時間もリマまでは直行便でたったの7時間。
南下するだけなので時差もなく、とても楽な移動でした。


リマで2日間を過ごしたあと28日朝、いよいよかつてインカ帝国の首都として栄えた、アンデス山脈にいだかれる美しい町クスコへ。


今回は、リマからコンサート会場であるマチュピチュまでの遥かなる道のりを、クスコ、そしてさらに'聖なる谷'とよばれる美しい山峡にひろがるウルバンバ、オリャンタイタンボといった町々を訪れながらご一緒したいと思います。


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リマ-クスコ間は空路で約1時間。

飛び立つとまもなく、アンデス山脈の豪快な景色が眼下にひろがります。


左上の写真は、一見するとどこかの沿岸部上空を飛んでいるように見えますが、これ実は、アンデスの頂が雲の上にアタマをチョコンと出しているところを撮ったもの。
この壮大な山々が、南米大陸をはるか北から南かでつらぬいているかと思うと、私たちはふだん、なんと小さな世界のなかだけで生きているのだろうかという気分になります。


(左) アンデス高原標高3400メートルに位置する世界遺産の町クスコ。
夜になると、中心街は宝石をちりばめたように光り輝き、まるで夢の国にやってきたよう。

(右) インディヘナ(先住民)の少女。
この地方のインディヘナの人々の間では、かつてスペインの侵略を受ける前にかの地の公用語であったケチュア語がいまも話されています。


クスコでの宿泊は、16世紀に建てられた修道院を改装した、'Best Hotel in South America'と評判の最高級ホテル、モナステリオ・デル・クスコ
高原のさわやかな風が香り、そして陽の光がさんさんと美しいパティオに降り注ぎます。

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クスコからマチュピチュまでは一気に汽車で行くこともできますが、それではあまりにも味気ないということで、途中、アンデスのふところに深くいだかれる魅惑的な集落を車で訪れるのがグローバルの定番コース。


荒涼とした風景のなかをドライヴしていると、谷間にぽっかりと、まるでオアシスのように現われるのが、標高2871メートルに位置するウルバンバの町。
年間をとおして温暖な気候のため果物が豊富。インカの時代から、首都クスコの重要な食料庫であったのがこの町です。


(上) 美しい旧家を改装したレストラン、トゥヌーパでランチ。
庭のむこうにはウルバンバ川が流れてなんとものんびりしたムード。
このアンデスを源流とするウルバンバ川は、マチュピチュを横切り、そしてさらにアマゾンへと下ってゆくのです。

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(左) '聖なる谷'のほぼ中心に位置するのが、インカの要塞跡といわれるオリャンタイタンボの町。
1536年、スペイン軍に反旗をひるがえしたインカの兵士たちはこの地に潜伏。
やってきたスペイン軍を見事撃退しましたが、その後彼らはなぜかオリャンタイタンボをあとにしてしまい、さらに奥のビルカバンバへと消えてしまったそうです。


(マチュピチュ発見者として知られるアメリカの考古学者、政治家のハイラム・ビンガムは、もともとこのビルカバンバとよばれる要塞を探していました)


(右) 日本の城下町を思わせるような古い町並みがつづくオリャンタイタンボ。
ここを訪れる日本人なら誰でも、情緒ただようこの町になんともいえぬ郷愁感を胸にするにちがいありません。

オリャンタイタンボに限らず、この地方の民家の屋根の上には、かならずといっていいほどこういったオブジェが設置されています。
これは家と家族を守るお守りだそうです。

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オリャンタイタンボからマチュピチュまでは一路汽車で。
いちばん前の座席をとっていただき快適な旅。
ウルバンバ川が旅の道連れとなるこの道中、目にとびこんでくる素朴な風景は、なんだか日本の東北地方を思わせるかのようです。



そうかと思うと突然はじまるエンターテインメント。
まずは、ウククとよばれるアンデスの伝統舞踊が車内で披露され...

続いてはじまるのがファッションショー。
高級アルパカ製の衣服を身にまとった美女の登場におじさん大喜び。


このいかにもペルー産美女といった感じの女性、実はこの列車の乗務員なのです。
ついさっきまで、さっそうとした制服姿で接客サーヴィスをしていたと思いきやいきなり大胆なこの演出。


こういった方法による車内でのアルパカ製品販売は、なんと品切れ続出になるそうですが、実はなにをかくそうこの私も、まんまと惑わされて購入するはめに...。


* なお、このエンターテインメントは、クスコへ向かう帰路にのみ行われます。


ペルー滞在記パート2、いかがでしたか?


ペルーといえば、ここ数年来危険な部分ばかり取りざたされ、なにかと物騒な話題が多いようですが、変化に富んだ広大な国土に、このように様々な人々が肩を合わせて暮していれば多少のトラブルはあってあたりまえ。
実際来てみるとこんなにも美しく明るく、そして元気で楽しい国であるということがよくおわかりいただけると思います。


メディアが流すニュースや活字による情報だけが鵜呑みにされてしまい、実際に見たこともない国や土地に対してあやまった判断がされてしまうことのほうが、よっぽど危険なことではないでしょうか。


今回、大地震直後の暴動騒ぎを受け、多くの旅行会社がペルーツアー中止を余儀なくされたようですが、この全3グループで敢行されたグローバルユースビューローのツアーでは、逆にひとつのグループでキャンセル待ちも出たほどでした。


私は今回の旅行中、ツアーに参加なさった多くのお客様とお話をさせていただきましたが、そのほとんどの方々は、まだ私が生まれる前の時代から世界に出て感覚を磨き、長きに渡って日本のビジネス界を最前線において支えてこられた男性たちと、さらにそれを陰で支えてこられた素晴らしい奥様たちでした。

グローバルのスタッフの皆さんについてはもちろん、くわえて参加なさるお客様についても、世界的な視野をお持ちの、まさにトップクオリティーにランクされて然るべき方々であるということが今回よくわかった思いです。
このような質の高いツアーにご招待を受け、そして人生における先輩たちをはじめとする皆様の前で音楽を演奏させていただくというのは、私にとって本当に嬉しく、名誉なことです。


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そして舞台はいよいよ、数ある世界遺産のなかでも最大の人気度を誇るマチュピチュの壮大な遺跡、そしてかの地におけるスペシャルコンサートへと続きます。


2007年12月08日 | Shiro On Tour(ツアー & ライブ)