"アルゼンチン風バッハ" 香川京子さんとともに

11.16 在京アルゼンチン共和国大使館にて


今秋11月10日より22日までの12日間、日本に滞在する運びです。


そのなかで、東京のアルゼンチン大使館において行われるよう準備が進められていた、日本映画界を代表する名女優、香川京子さんとのスペシャルパフォーマンスが、11月16日に開催決定となりました。


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コンサートは、最初の40分を私がソロで演奏したあと、クライマックス二曲のパフォーマンスの際、香川京子さんをステージにお招きし、アタウアルパ・ユパンキの詩の朗読で加わっていただいてフィナーレとする内容です。


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私は今回、このスペシャルコンサートのために、これまで"アルゼンチン風バッハ第1番"として演奏してきた、ユパンキの傑作詩「ティエンポ・デル・オンブレ」の朗読と、バッハの「リュート組曲第1番BWV996プレリュード」の組み合わせを、香川さんの深い精神性がそのままあらわれるような魅力的なヴォイス・クオリティーによりフィットするよう、楽曲の部分を"「無伴奏チェロ組曲第5番BWV1011プレリュード」に変更。

また、詩の朗読に際しても、大幅な繰り返しおよび、さらに、今年の二月のカーネギーホール公演において、私自身がオリジナルのスペイン語により演奏前に読みあげたやはりユパンキの短詩、「大地は大いなる歌」を導入することにより、約10分間のスペクタクルとしての拡大を試みました。

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昨夏、ニューヨークにいらしてくださった鈴木巌先生の名アレンジにより、ギター曲として新たな命を受けた「無伴奏チェロ組曲第5番プレリュード」は、私が身も心も打ち震えるほど心酔するナンバー。


ラールゴの序奏部と、アレグロ・モデラートによるフーガ風展開部をもつ、ただの一度も反復をすることなしに、トータル224小節におよぶ大曲です。

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このコンサートはすべて満席となりました。

四日後、11月20日土曜日の目黒「カフェ・イ・リブロス」における公演は現在前売り中です。

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私はかつて、黒澤明監督の'悪い奴ほどよく眠る'を観たとき、和服姿の香川さんの、その内面から輝き出る美しさにうっとりしたものでした。
この映画、実に私が生まれる前の作品なのですが、製作から50年経った現在も、当時とまったくかわらない上品でエレガントな香川さんは、本当に驚くほど素敵な方です。
崇高な精神によって書かれたユパンキの文学を日本語で表現していただくということにおいて、まさにこれ以上の方はいらっしゃらないと言っても過言ではないでしょう。

トップ写真は、2006年、高村光太郎没後五十年および智恵子生誕百二十年を記念して制作された、香川京子さんご自身の朗読による'智恵子抄'オーディオCDです。


2010年10月01日 | Shiro On Tour(ツアー & ライブ)