‘風が歌う地~ユパンキに捧ぐ’ 魂のライヴ

広島世界平和記念聖堂ライヴ音源 II

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去る四月に行われた、広島世界平和記念聖堂公演におけるライヴ録音。
パート1では、アルゼンチン・フォルクローレギターの醍醐味のひとつといえる、’ガト’のリズムを用いて作曲した’ラ・サンティアゲーニャ’をお聴きいただきました。
今日はそのパート2。
なによりも美しい音色の創り方を重視する恩師、鈴木巌先生直伝の、常に私を内側から支えるオーセンティックなクラシック・ギターのテクニックと、そこから生まれる無限の音楽への思いとが溶け合い、独自の世界を構築するオリジナル・ギターソロ曲、’風が歌う地~ユパンキに捧ぐ’をお楽しみください。


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このナンバーは、スタジオ・レコーディングによる音源に、ユパンキの、セロコロラドのサマーハウス付近の風景写真を加え、ショートフィルム風ビデオクリップとしてすでにホームページ上でご紹介していますが、ライヴ録音として公開するのは、後にも先にも今回がはじめてとなります。
今回、このナンバーを久々にライヴでプレイするにあたって、生前、”俺はトレモロなんかやらないよ。”と言っていたユパンキをリスペクト。
オリジナルヴァージョンの前半にある、定番’p-a-m-i’のフィンガリングによる四連トレモロ部分をあえて三連に改作しました。
また後半、ラルゴのゆっくりとした三拍子による第一部が、嵐の訪れを思わせるような四拍子のアレグロ・ノン・トロッポに変わる部分を、ライヴパフォーマンスにおけるダイナミックさを強調するためにプレスティッシモにスピードアップ。
スタジオ録音のものよりも、かなり速度をあげて弾いています。
使用ギターは、はじめてスペインへ演奏旅行をした際に、マドリードで購入したイグナシオ・ローサス。
‘ラ・サンティアゲーニャ’の演奏でおわかりのように、歯切れのよいリズムストロークと、まるで琵琶のようにビーンと唸る低音が魅力のフラメンコ仕様モデルですが、同時に、クラシカルなきめの細いパッセージなどにおいても、まるで水面に落ちたひとつぶの水滴がしずかに波紋をひろげるような、甘く、そして深く豊かな音色で歌うことのできるきわめて優れた楽器です。
美しい女性のようなこのギターにひと目ひと弾き惚れしてしまった私でしたが(当然のことながら値段がそれ相応なので...)、ローサス氏の工房内で、買うべきか忘れるべきかと悩んでいると、彼は(この楽器はこの人のものだと思ってくれたのでしょうか)、”持ってけドロボー”とばかりに大幅に値引きして譲ってくれました。
以来、ユパンキであろうがヴィラ=ロボスであろうが、バッハであろうが私のオリジナルであろうが、彼女はつねに美しい声で歌い、私を助け、そして酔わせ続けているのです。

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それでは、初のライヴ音源による、入魂の’風が歌う地~ユパンキに捧ぐ’...。
¡Disfrute(お楽しみを)!

Ignacio Rozas