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Homenaje a Atahualpa Yupanqui en Buenos Aires ユパンキの「栗毛の馬」とブエノスアイレス・メディアとのインタビュー(日本語字幕)

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La apertura de mi recital homenajeado al gran maestro, después de una entrevista con una muchacha de la noticia en la capital federal.

The opener of my homage concert for Atahualpa Yupanqui, performing ‘The Sorrel Horse,’ after an interview with a young girl from the news channel in Buenos Aires.

ブエノスアイレスにおけるリサイタルのオープニングと、コンサートの直後、まだ興奮冷めやらぬ聴衆が残る、会場のセーマ大学ホールのロビーで行われたインタビューを、日本語字幕付きでお楽しみください。

生粋のブエノスアイレスっ子のアクセントが小気味よいインタビューアーの女性は、とても頭の回転が良く(しかも長身の美人ときていて)、僕も2時間のコンサートのすぐ後ではあったけれど、かなりノッて質問に答えている。

ラテンアメリカのメディアとのスペイン語によるインタビューは、もうすでに数え切れないくらい応じているが、やはり本国アルゼンチンとのものはかけがえない。

ここで聴ける僕の「栗毛の馬」の演奏は、おそらく今の僕ができる最良のものだろう。
ホール二階席からの、一切ごまかしのきかない一発撮り動画は、なんの後処理もない、アーティストとしての今の僕の、鏡のようにそのままのパフォーマンスだ。

よく「本場の人の前で演奏するのに緊張しませんか?」などと聞かれるが、逆に本場の人が目の前にいるほうが、歌の内容をそのままダイレクトで理解してくれるので気分が乗るくらいで、実は、日本で演奏する方が緊張する。
3年前に亡くなってしまわれたが、濱田滋郎さんや、竹村淳さんといったエキスパートが客席で目を閉じて聴いておられると、本当にこんなにやりにくいことはない☺️

ユパンキ演奏に関すること、そしてアーティストの端くれとしての僕の生き方は、このインタビューで語っていることが全てだと思う。

使用ギターは、コルドバのリオ・セコという町に暮らすグレゴリオ・カブラルという製作家が、アルゼンチン産の胡桃で作ってくれた楽器。
南米でのコンサートに欠かせない一本だ。

このツアーは、ブエノスアイレスの最大手紙より「ユパンキの神の申し子」などという報道を受け、大成功をおさめることができたが、パラグアイとアルゼンチン計4カ所でのコンサートツアーはかなりハードスケジュールで、このコンサートの日、ちょっと疲れがでたのかホテルの部屋でヒゲを剃り損ね、顎の先端をザックリ切ってしまい、コンサートはヒゲを剃り残したままで行なった(ちょっと顔が汚いので後悔している)。
よく見ると、顎にバンソウコウを貼っているのがわかる。

これからの僕にとっての10年は、大巨匠の継承者でもなければ弟子でもない、そして神の申し子でもない、ユパンキ自身になるためのものだと思っている。

Summer greetings 夏のご挨拶 2022

@ New Hyde Park, Nassau County, NY

ニューヨーク州ナッソー郡、ニューハイドパークにて

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@ Forest Hills, Queens, NY

ニューヨーク市クイーンズ区、フォレストヒルズにて

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@ Port Washington, Nassau County, NY

ニューヨーク州ナッソー郡、ポートワシントンにて

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@ Port Jefferson, Suffolk County, NY

ニューヨーク州サッフォーク郡、ポートジェファーソンにて

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@ Wantagh, Nassau County, NY

ニューヨーク州ナッソー郡、ワンターグにて

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@ Forest Hills, Queens, NY

ニューヨーク市クイーンズ区、フォレストヒルズにて

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@ Flushing, Queens, NY

ニューヨーク市クイーンズ区、フラッシングにて

Book of lamentations: 旧約聖書に霊感を受けた「ソドム化する世界」への警告ギター曲と、突然訪れるインスピレーション

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Bach Guitar Improvisations V: Book of Lamentations (Tristeza de Sion la cautiva)

「哀歌 ~囚われのシオンのおとめ~」

1. Llorar (Mourn 嘆き) / Shiro Otake
2. Gemir (Moan 呻き) / J.S. Bach (Sarabande BWV. 997)
3. Rezar (Pray 祈り) / Shiro Otake

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旧約聖書のなかに、紀元前597年から約20年間に渡って繰り返された「バビロン捕囚」と呼ばれる、ユダヤの民がシオンの地(現在のイスラエル)からバビロニア(現在のイラク辺り)に強制連行された悲劇を嘆く「哀歌」という長大な五つの歌の形式をもつチャプターがある。

異教徒によって滅ぼされ、宮殿を失った宝石のような町エルサレムと、かつて死海の南岸にあったとされ、天の怒りによる火焔で焼かれて消滅させられた頽廃都市ソドムを、若い美しい娘たちに擬人化して綴った嘆きの歌に、かねてから僕は深い感動を覚えていたが、これは、現在、同じ星に暮らす人間同士でいがみ合い、全く無益な殺戮を繰り返す地球の民が、このまま同じことを続けていれば、必ずかつてのイスラエルと同じ目に会うことを危惧して作った、僕なりの世界に対する警告的要素を含む、一人の女優が、旧約聖書の言葉をそのままセリフとして語り、嘆き、呻き、舞い謳う、僕にとっての新型ギター曲。

今僕の手元には、オーストラリアのとても魅力的な若い舞台女優(母親がユダヤ系で、スラリとした身長約170センチの黒髪はどこか東洋的で、どこか酒井和歌子風のチャーミングさ)が、この曲をバックに謳い踊るデモ動画があり、おそらくこの素敵な女性は、僕の思うところを最高の形で表現してくれると期待しているが、現在、彼女のエージェントと、僕のオーストラリアにおける代理人が、初演に向け最終的な話し合いを行なっているので、それが全てクリアしたら、彼女の姿を観ていただくことができると思う。

今回の動画は、僕がオーストラリアに送った、僕の抱いているイメージを伝えるもので、英語の字幕部分を日本語に変えて皆様に楽しんでもらうもの。

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ご存知の方も多いと思うが、僕は、2017年5月の国連本部における約1時間のコンサート以来、ニューヨークにおける単独公演を完全に絶っていた。

これは、パンデミックや指の怪我などももちろんあったが、ニューヨークという僕にとってかけがえのない街で、新しいメッセージとして打ち出すモティーフが、このところ全く見つからなかったことがいちばんの大きな理由だった。

このオーストラリアの女優の動きは、僕に大きなインスピレーションを与え、僕は今、彼女のおかげでようやくニューヨークで、斬新なアイディアを伴う新しい音楽の上演に向けた、炎のようなモティヴェーションで僕を包んでくれた。

僕は現在、知り合いのユダヤ系アメリカ人たちを総動員して、さらにアイディアを膨らませている。

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インスピレーションといえば、実は昨年末、日本でのコンサートのために2年ぶりに帰国した飛行機の機内で、とてもチャーミングな二人のスチュワーデスと知りあった。
このセニョリータたちは(僕のような無名で、しかも一般性に乏しい音楽をプレイするミュージシャンにもかかわらず)僕の活動に関心を持ってくれ、忙しいなか東京公演に足を運んでくれてとても嬉しかったのだが、おひとりの名字が、今まで僕が一度も聞いたことのなかった、びっくりするような幻想的でロマンティックな響きを持つもので、僕はその魅惑的な名字の印象から、そのときちょうど取り組んでいた(アイディアが出ずに若干苦戦していた)「イェルマ」のイントロ部分を一気に(東京で)仕上げることができた。

これは、ガルシア・ロルカ独壇場とも言える美しい自然界の描写に、やはりロルカならではのエクスタシー感が加わった、まさに圧巻と呼べるものだが、この世界を間違いなくギター独自の音と機能性で表現できたと、とても気に入っている。

下記動画(日本語字幕付)の、僕が画面に出てくる1:55秒から4:35秒あたりまでがその部分。
これは本当に、彼女の綺麗な名字のおかげで作曲できた作品だ。

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むろん名字だけではなく、ご本人自身も(コンサートに来てくれた、もう一人の素敵なセニョリータとともに)とてもチャーミングであるということを付け加えますが、今のご時世、すぐに検索などされてしまい迷惑なので、もちろんどこのエアラインかも、どんな名字かも公表はしません。当然ですが念のため。

霊感というものは、思ってもみなかったタイミングで突然やってくる。
なかでも女性から受けるインスピレーションというものは、真にかけがえない。

Yukio Mishima: Confessions of a mask 3 (Illusions of the aberration) 三島由紀夫に捧げる組曲「園子」最終楽章

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Ilusiones de la aberración,’ la parte final de mi nueva suite con tres movimientos inspirada por ‘Confesiones de una máscara’ de Yukio Mishima.
Me gustaría dedicar este tema a maestro Akira Miyoshi, uno de los mejores compositores de mi país.

Illusions of the aberration,’ the final part of my three parted guitar suite inspired by the Japanese stunning phenomenon.
I’d like to dedicate this new guitar suite to maestro Akira Miyoshi, one of the finest composers in Japan.

三島由紀夫の傑作文学「仮面の告白」のヒロインに霊感を受けた新作ギター組曲「園子」の最終楽章「異形の幻影」。

僕はいま、クリエイションを行うひとりのギタープレイヤーとして、最も脂が乗っている時期に達していると自分自身で感じている。
今の僕は、体じゅうどこを抑えても、毛穴という毛穴から音楽が水のように噴き出してくるような、そんな最高の状態になっている。

「園子」は、僕の作品の中でも最もコンテンポラリー色が強い作品で、とくにこの最終楽章は、静謐なオープニングからクライマックスの園子の絶望の叫びまでを、多くの不協和音とアヴァンギャルドタッチによって、終始緊迫感を伴いながら表現するもの。

僕はこの作品を、僕自身、日本で誰よりも素晴らしいと思う現代作曲家・故三善晃(みよしあきら)さんに献呈する。

なお、第一、第二楽章は、下記リンクにて別途公開している。

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* Part 1 ‘SONOKO’ 第1楽章「園子」

* Part 2 ‘Romance’ 第2楽章「軽井沢のロマンス」

Lorca’s Gacela del Mercado Matutino 舞台女優によるパフォーマンスを伴う、ガルシア・ロルカの激情の恋の詩(うた)

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Bach Guitar Improvisations VII for an actress and a guitar player
‘Gacela del mercado matutino (Gazelle of the morning market)’

1. Moderato (Allemande BWV. 1011)
2. Adagio
3. Allegro (Zambra)

舞台女優とギタープレイヤーのための、バッハ・インプロヴィゼーション第7番
「朝市のガセーラ(エルヴィーラの朝市のきみへ)」

1 モデラート(アルマンド BWV.1011)
2 アダージョ
3 アレグロ (サンブラ)

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現在進められている、オーストラリアの若い舞台女優によるパフォーマンスとともに上演予定の、新しい二曲のバッハ・インプロヴィゼーションのひとつ。

そもそもこの女性とは、旧約聖書(哀歌)にモティーフを得た「囚われのシオンのおとめ」という作品で共演を予定していたが、このテスト録音をバックに演技する彼女のビデオを観て、僕はすっかり惚れ込んでしまった。

身長168センチのスラリとした体つき。
父親がイギリス人で、母親がユダヤ系オーストラリア人の、黒髪、どこか東洋的な雰囲気を湛えた、ちょっと酒井和歌子風のチャーミングな美貌は、僕が長いこと決定的なアイディアが出ずに抱え込んでいた、あるロルカ・インスピレーションのギター曲にまさに最適だったため、急遽もう一曲リクエストを送った次第。

168センチという身長は、高いヒールを履いてステージに立った時、僕とちょうど良いバランスになる。
まさに理想的。

このビデオは、「朝市のガセーラ」という、僕がとても好きな、ロルカの恋の詩。
アンダルシア南部の、エルヴィーラという町の城門で開かれる朝市で見かける、名前も知らない魅惑的な女性に対する激情と倒錯の想いが詠われる。

僕はこの詩を高校一年の時に読んで、この一歩間違えると陳腐なポルノ小説のようになってしまう(男なら誰でも心奪われた女性に対して感じる)狂おしい深層心理を、こんなにも文学的に、切ない哀感を持って詩的に表現できる人間がこの世にいたのかと、ほんとうに感激したものだ。

数あるバッハの器楽曲の中でも、僕が最も好きなもののひとつ「無伴奏チェロ組曲第5番アルマンド」を主題に、静かに神秘的に美しい女性の姿をサウンド表現したのち、ラストは、アンダルシアの伝統リズムである、アラブ起源のサンブラ(アレグロ)に展開、かなり激しいクライマックスを迎える。

現段階では、まだ女優の姿をご覧に入れることはできないが、当ビデオは、オーストラリアに送った英語字幕のテスト版に日本語字幕を代わりにつけ、皆さまに公開するもの。

このナンバーでは、ロルカのテキストは、朗読という形態ではなく、完全な暗記によるセリフとして、語り、嘆き、呻き、そして舞うという、あらゆる演劇的要素とともにプレイされる。
間違いなく誰の亜流でもない、新しいギター音楽になるはずだ。

楽しんでいただければ嬉しい。

なお、タイトルにある「ガセーラ」というのは、アラブ起源の、恋愛をテーマにした韻を踏む叙情詩の形式「ガザール」がスペイン語に転じたもので、ロルカは、この形式を用いていくつかの傑作詩を残している。