「プラテーロとわたし」とニューヨーク

ニューヨーク湾を臨む人気レストラン「P.J. Clark’s on Hudson」にて。

手に持っているのは、僕の愛読書「プラテーロとわたし(Platero y yo / Juan Ramon Jiménez)」。

僕は少年時、イタリアの大作曲家テデスコ(Mario Castelnuovo-Tedesco)が、この美しい詩的散文集から受けた霊感によってクリエイトした同タイトルのギター組曲を、巨匠Segoviaのプレイで聴いて深い感銘を受けた。

すぐさま日本語に訳されている「プラテーロとわたし」を、渋谷の紀伊國屋書店にかけ込んで入手し、また、当時かなり高額だったテデスコの輸入楽譜もなんとか手に入れ、一生懸命練習した。

後年、研修生として一年在籍した劇団民藝で、やはり研修生だった女性に頼み、彼女の朗読とともに「プラテーロ」をライヴパフォーマンスしたこともある。

南スペインの田園地帯を舞台に、人とロバの心のふれあいが美しく描かれる「プラテーロとわたし」が、その後の僕の作曲、そして感性に大きな影響を与えていることは言うまでもない。

1988年、初めてニューヨークにやってきた僕は、当時、ロックフェラーセンターの地下街にあったスペイン語文学専門書店で、このオリジナル阪と出会い、すぐに購入し、今でもずっと大切にしている。偶然だが、アルゼンチンで出版された輸入書だった。

この日、僕を撮影してくれたのは、親しい書道アーティスト・院京昌子さん。

彼女はもう、何度も僕の公演のタイトル題字を手がけてくれているが、今回も、来年発表予定の新作のものをプレゼントしてくれた。

ちょっぴり“1970年代の芸術家風”いい感じの、チャーミングなニューヨークの「妹」に心から感謝❣️

「砂の器」とニューヨーク

ニューヨーク・ウエストサイドの操車場。
ここに来ると、僕の愛読書のひとつ、松本清張の「砂の器」が心に浮かぶ。

僕はよく本を読むが、ラスト数ページ、一体どうなるのかとの興奮で指が震えたという経験もそれほど多くない。新々の鬼才青年作曲家の栄光と破滅がストーリーゆえ、そのトーンは、全体を通して音楽的であり、何度読み返しても飽きが来ない。

スタニスラウ・レムの「惑星ソラリス」や、スティーブン・キングの「シャイニング」といった作品は、映画化された際、監督との間で脚色でもめ、泥沼の大げんかになったらしい。

一方、松本清張という人は、(自身の作品が)映像化される際、あまり脚色に対して細かいことを言わなかったのかもしれない。
アヴァンギャルドな電子音楽のクリエイターが、その音波を使って殺人を行う❗️というのが原作のキーとなるのだが、難解をきわめる前衛音楽は、映像では全く異なる、甘味なピアノコンチェルトとなり、映画版は大ヒットした。おそらく原作のままだったら、ハイライトとなる親子の「お遍路シーン」もなかっただろうし、ヒットしたかもわからない。
松本清張という稀有な作家は、よくそのあたりを心得ていたのだろう。

物語の重要舞台となる、出雲地方の亀嵩(かめだけ)という土地は存在し、いまも、それは小さな鉄道駅がある。
11月は日程的にとても無理だが、いつかぶらっと訪ねてみたい。

“カメダは相変わらずですか…..?”

ジーンズとイタリアは親友💚🧡❤️

昨日は、ハドソンヤードのデパートに、東京カテドラル聖マリア大聖堂公演用のドレスシャツを買いに出かけ、イタリア製の黒地のとてもいいやつを見つけた(当日ご披露いたします)。

僕はイタリアの衣服が大好き❤このサマージャケットは「プラダ」で、最高に着心地がよく、ものすごく体がしまって見える。
イタリアの質の高い衣服は、あたかも息をしていて、体に吸い付いてくるような感触を得られる。

ただし僕は、“ブランドでござい❗️”ってな着方はせず、下は常にリーヴァイス👖
僕にとって、ジーンズを凌ぐハキモノは存在しない。

実はジーンズのふるさとも、イタリアのジェノバ🇮🇹

イタリアの高品質の衣服が、こうしてジーンズにバシッとフィットするわけは、開拓時代に遡る、歴史的な根拠がある。

「マグダラのマリア」無伴奏チェロ組曲Vサラバンド・インプロヴィゼーション

11/13、東京カテドラル聖マリア大聖堂でプレイするバッハのサラバンドは、「マグダラのマリア(Maria Magdalena)」と副題がついた、僕自身によるアレンジ。
僕はこの曲の構成と修練を繰り返しながら、ようやく真の自分自身のギターサウンドをつかめた気がしている。
ぜひご期待ください❤️これは、新しい時代の「宗教曲」だと信じています。

マグダラのマリアは、「携香女(けいこうじょ)」と呼ばれる聖女で、イエス・キリストによってその罪を清められ、キリストの復活にいちばん最初に立ち会ったものとして知られています。

僕はこれまで、ずっとマグダラのマリアを題材にした音楽を創ろうと、アイディアをいろいろと練っていました♪

(8/30、ニューヨーク、アッパーウエストサイドにて撮影)

アンダルシアのレモンと、イタリアの濃厚なハチミツに、アタウアルパ・ユパンキの魂が溶け合う、静寂のグロリエータ(四阿)「カンテホンド・イベロアメリカーノ」の音楽世界

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