バッハの名曲「サラバンド変奏(無伴奏ヴァイオリン組曲第1番)」を、カナダのブラックマウンテン社製の、プレイ中に3種類のトーンスイッチが可能な、アステロイドピックと名付けられたフラットピックでプレイ。
最近愛用の、やはり同社製のサムピックは、他の指が自由に動くため機能性に富むが、こういった全弦を飛び回るスピードに適するのは、なんといってもフラットピック。
このアステロイドピックは、僕が知る限り、他のフラットピックではまず出せないアタックの良さと、加えて突き刺さるような伸びと、抜けのよい、ソリッドな響きの美しさを兼ね備えている。

一見、何やら🥷の手裏剣のようなデザインだが、まず赤のトップは最も厚みがあり、フルボディの腰のあるサウンドが得られるため、このドゥーブル変奏が属するサラバンドなどの、モデラートで優雅なナンバーに向き、水色のトップは反対にきわめて薄く、とても軽いので、スピードプレイに使えないこともないが、少々ペンペンした音になるので、ストローク専用が好ましい。
そして当ビデオでプレイしている黒のトップは、その完全な中間で、お聴きのように最もスピードに適したシャープサウンドが得られる。
弦をヒットする際の適度な金属音が、ダイナミックなヴァイオリン的効果をあげるため、いまの僕にとって願ってもないインヴェンションと言えるだろう。
僕は、バッハを古楽器をはじめとする、当時を偲ぶかのような古くさい手法で演奏することに賛同しない。
常に未来を見据えていた、18世紀の超人バッハの音楽は、どんな場合においても、現代、そして未来を感じさせる新しい手法によってプレイされるのがベストだと信じて疑わない。
中学生のとき、ベルギーのヴァイオリニスト、アルテュール・グリュミオーが録音したバッハの無伴奏ヴァイオリン全曲集を聴いたとき、なぜギターはこういう光り輝くダイナミックサウンドが得られないのか…と、ギターを弾くのがいやになったことがある。
それは、ユパンキの素朴で柔らかなギターの音色に魅了される一方で、僕にとっての大きなジレンマだった。
長い年月、そしてミュージシャンとして培った経験が、カナダ製の優れたサムピックとフラットピックと結び、ギターをヴァイオリンの弓でプレイするようなサウンドをはじき出す「無伴奏ギター」は、ついに完成に近づきつつあるが、僕の左手の動きは、紛れもない正統的なクラシックのそれだ。
これはすべて、最高のクラシックギターの指導者であった鈴木巌先生からの贈りものだと思っていただけると嬉しい。
ピックプレイには、指でプレイしていたときには全く得られなかった、自らディスコで踊りまくるようなフィーリングが必要になる。
まさにギターとともにダンスする感覚…
僕の「無伴奏ギター」は、今年完成するだろう。














