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大成功をおさめた東京二公演クライマックスでプレイした、朗誦とソプラノを伴う新型ギター組曲「イェルマ~ラ・ロメリーア」は、序奏部でバッハのサラバンド(ヴァイオリン・パルティータ第1番)を使用することは、すでに四年ほど前から決めていたのだが、そのあとの中盤から後半にかけてのギターのバッキングパートが、アイディアは浮かんでいるものの、それがサウンドにならず、どうもいい感じに進まずにいた。
それが、ある思いもしなかったことをきっかけに、この作曲が一気に完成することになる。
いまから二年半前、ニューヨークから東京に向かう日本の飛行機のなかで、往路二名、帰路一名の、計三名の、とてもチャーミングなフライトアテンダントの女性たちに声をかけられた。
もちろん彼女たちは、一般的知名度を欠く僕を知っていたわけではなく、”あの田村正和さんのようなカレ(!)は、いったいナニモノ?”と、話題にしてくださっていたのだった(爆笑❣)
そのあと、彼女たちのうち二名は、激務のなか東京公演に足を運んでくれ、一名は二度までもコンサートに来てくれて嬉しかったのだが、実は、このなかのひとりのセニョリータの名字というのが、いままで一度も聞いたことのない、それは美しい、幻想的な響きを持ったもので、それは、滞っていた僕の「イェルマ」の作曲を、一気に推し進める強烈な霊感を与えてくれるに至り、東京到着後、僕は一気にこのパートを完成させることができた。
あまり聞かない名字は、すぐに特定されてしまうため、もちろん公表することはできないが、この曲が完成したのは、彼女の「美しい名字」のおかげ。
霊感というものは、いつどこでどんなかたちで授けられるか、まったく予想だにできない。
しかし、スチュワーデスはいったん奥の院に引っ込むと、そんな話で楽しく盛り上がっているようで、なんとも愛らしいが、そのあと様々な苦労談やエピソードなども聞き、また、彼女たちがいかに日頃、厳しい訓練を積んでいるかなどということも知り、僕もいい経験になった。
今年の元旦、羽田空港で起きた自衛隊機との接触事故で、乗客全員をひとりの犠牲者も出さずに脱出させることができたのは、決して奇跡ではない。すべてこういった、常なるトレーニングの賜物以外のなにものでもない。
僕自身も、いつなんどき誰が視線を向けているかわからないので、たとえ飛行機に乗る時でも、決してだらしない恰好はせず、いつもきちんとしていなければだめだなと改めて思った次第。
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それから二年半、黒川泰子さんという、素晴らしいベテラン・シャンソン歌手の出現によって、ようやく初演を迎えた「イェルマ~ラ・ロメリーア~」。
あたかもロルカの魂を宿したかのような、素晴らしい泰子さんのパフォーマンスは、横でギターをプレイしながら、まさにゾクゾクっとくるものだった。
素晴らしい女性たちにサルー!