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僕は本をたくさん読む。
これは、もう今から45年前に出版された、山折哲雄さんという方が書いた「インド・人間」という本だが、不勉強にもつい最近はじめて手にする機会を得、その内容に深い感銘を受けた。
特に、ヒンドゥーの女神カーリーについてのくだり(全体のなかでほんの1ページにしかすぎないにも関わらず)がとても興味深く、来年「卑弥呼」という新作を初演する自分にとって、カーリーとの出会いは、願ってもない、卑弥呼との絶好のコントラストを成すコネクションピースになるかもしれない。
この本を読む前に、実は、ニーチェの思想を根底に置きながら、キリスト教とユダヤ教が世界支配する悍ましいカラクリを、対談形式によってひもとく、2007年に出版された書籍を読んだ。
対談をするふたりは秀才で、確かに経験、知識ともに豊富だと思う。ところが、なぜかこの山折哲雄さんが書いたもののように自然に入ってこない。どこか本質性を欠いているのかもしれない…
文学にしても芸術にしても、何にしても今この世の中は下降線を辿る一方だ。
女神カーリーの音楽がどのようなものになるかわからないが、自分はこの山折さんのように、常に本質をつくものでありたいと思う