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大成功をおさめた、去る11月13日の東京カテドラル聖マリア大聖堂公演のクライマックス。
無修正、そして完全な生音によるライヴ一発撮りは、もちろん勢い余ったミストーンもあるが、僕はひとりのミュージシャンとして、おそらく現時点でこれ以上のことはできないだろう。
アンコールナンバーとして収録した、おなじみバッハの名曲は、ユパンキがギター独奏曲としてアレンジしたものを、僕がレコードから採譜したヴァージョン。
このアレンジは、ギターの驚くべき機能性と美しい音色を知り尽くしていたものでなければクリエイトし得ないものだ。
“ギターのテクニックというものが、人間の感情を深く表すものだとすれば、ユパンキほど優れたプレイヤーは存在しない”
_ナルシソ・イエペス
ユパンキは、人間のあらゆる情感をギターで表現できた、世界最高のプレイヤーだったと言える。
このスペインの名プレイヤーは、よくそれを理解していた。
残念ながら、いま真のギターの音を出すギターのプレイヤーは、この美しい楽器が世界で最も売れなくなってしまったことを象徴するように、皆無と言えるくらい全く存在していない…
ギターは指で弾くのではない。
精神が奏でるものなのだ。
自分は今後も,「人間の感情」を表現するプレイを貫き通すだろう。
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