世界最高のギタープレイヤー、パコ・デ・ルシアに捧げる、ガルシア・ロルカの傑作詩に基づくオマージュ・ギターソロ

パコ・デ・ルシアは、疑うことなく世界最高のギタープレイヤーだった。
今後も、彼を凌ぐプレイヤーは絶対に現れないだろう。

この世には、いまだ多くのギターの奏者が存在するが、本当の意味で「ミュージシャン」と呼べるプレイヤーは、現在殆ど存在しない。特にクラシックとフラメンコがひどく、プレイをライヴで聴いてみたいなどと思えるものは、全くもって皆無に等しい。

そんななかで、パコは、アンダルシアに生まれた「真のミュージシャン」と言っていい。

僕は、東京のクロサワ楽器のクラシックギターフロアと懇意にさせていただいているが、とにかくクラシックギターというものが売れなくなったという(かろうじてボサノバ系に売れるらしい)。
当然だろう。いまのクラシックギターの音楽を聴いて、誰がこんなものを弾こうと思うのか。

クラシックギターは今や、ただオタク的愛好家の間のみで、かろうじてマニアックに生き残っている、もはや絶滅寸前の物体に過ぎない。
ギターなどという楽器は、5万円以上であればじゅうぶんコンサートで使用できる。本来数万円のギターと数百万円のギターの間には、大した構造の違いは存在しない。

それを、ヴァイオリンの向こうをはったのかなんだかよくわからないが、大昔のゴミのような楽器に、呆れるような高値がついたりと、気を衒った、オバケのように弦を増やした楽器や、ただでさえイカさない演奏の構えが、さらにバカみたいに見える、クッションや金属製の膝置きを作ったりと、愛すべきギターは現在、本質的ポピュラリティーから、全くかけ離れた存在になってしまったのだ。

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このビデオは、ガルシア・ロルカのよく知られた詩「ラ・ギターラ(ギター)」をテキストとしてフィーチュアした、パコ・デ・ルシアに捧げるオリジナル・ギターソロ。

初演前なので、すべてのフィンガリングは公開していないが、サムピックを装着した右親指と、他の(爪を伸ばした)指との連携に加え、さまざまな手首の角度による弦へのアプローチを与えることで、スピードプレイ、コードストローク、そして4連のトレモロなどのテクニックを可能にしている。
ライヴにおいて、若干の視覚的効果も狙った、新しいギターのサウンドだと信じている。

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パコが晩年ライヴでプレイしていた「Luzia」は、ギターがメインの音を作り、そこにベース、パーカッション、キーボードやハーモニカなどのメロディー楽器が加わり、そして圧巻のカンテとバイレが火花を散らせる、文字通り最高のパフォーマンスだった。

僕は、決してパコのマネをすることなく、僕自身の「Luzia」をクリエイトしようとして、それは結局15年近くかかってしまったが、ついに今年の11月3日(文化の日)、東京三田の弘法寺において、新作スペクタクル「卑弥呼」として完成、初演の運びとなった。

「卑弥呼」は、世界最高のギタープレイヤー、パコ・デ・ルシアと、そして僕が音楽について心底語り合うことのできた唯一の人、濱田滋郎さんに捧げる考えでいる。