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今春3月17日金曜日に予定されている東京オペラシティ・リサイタルホール公演のラストナンバーとして、僕は、日本舞踊を基調としたモダンダンスを伴う、舞と朗誦のための組曲「ガルシア・ロルカに捧げるバラーダ」を初演する。
この一般非公開の動画は、組曲のフィナーレを飾る第3楽章の部分で、スペインの田園詩人、ミゲル・エルナンデスの傑作詩、「ガルシア・ロルカに捧げるエレジー(悲歌)」の日本語翻訳の朗誦とともにプレイする、短い構成(アダージョ、ラルゴ、アレグロ)をそれぞれ持つ、3パートに分かれたギター曲。
ミゲル・エルナンデスは、ロルカよりひとまわり若かったが、ロルカを兄のように慕い、そして尊敬していた。ロルカがフランコ独裁政権の犠牲となって銃殺されたとき、彼がどんなにショックを受け、深い哀しみにつつまれたか計り知れない。
この数年後、エルナンデスもまた、ロルカ同様フランコの犠牲となって捕らわれ、獄死した。
このところアメリカでは、連日のように銃器による大量虐殺事件が報道される。
人間にとってときに戦いは避けられない。が、人の命を「まるで小鳩のように奪ってしまう」銃器は絶対に使用されてはならない。
爆弾やミサイルを含む銃火器は、天によって決して許されることのない、残忍かつ卑劣な道具だ。
この新作には、盟友ガルシア・ロルカに対する、ミゲル・エルナンデスの悲痛な追悼の言葉とともに、銃火器の永久追放の願いが込められている。
ここ数年、僕のコンサートというのは、2017年のNY国連公演を除いて、すべてなんらかの実験要素を持つものだった。
しかし、今回の東京オペラシティ公演は、一切そういった要素を持たない、これこそが長きにわたって自分が追い続けてきたギターの音と呼べるものだと信じている。
僕の生まれた街の素晴らしい会場で、いま現在の僕のすべてを聴いていただけるコンサートができることを、ここに改めて、関係の皆様に深く感謝申し上げます。