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僕がたいへん信頼するリペアマンのイアンと、マサチューセッツ州レキシントンにある彼の店「ミュージック・エンポリウム」にて。
2025年1月26日、東京麻布十番・富麗華にて初演する新作「血の婚礼」は、ガルシア・ロルカの同名傑作戯曲をもとに、序曲と四楽章構成で作曲した、女性ヴォーカルと朗誦を伴う新型ギター組曲。
このコンサートでは、1981年、「血の婚礼」を、名映画監督カルロス・サウラと組み、その圧巻と言える舞踊で世界を虜にしたスペインのバイラオール(男性フラメンコ舞踊手)アントニオ・ガデスからの、素敵なメッセージとサインがしたためられたギター(中出阪蔵・1978年)を使用する。
サウラ-ガデスによるプロジェクトは、さらに1983年、それまでのエスニック映画の興行記録を塗り替えた映画「カルメン」の大ヒットにより、アントニオ・ガデスの名を不朽のものとした。
ご多分にもれずこの僕も、渡米前、東京で「カルメン」を観て、ガデスの大ファンになったことは言うまでもない。
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と、いうわけで、これまでニューヨーク以外、門外不出だったこのギターを、久々に東京公演で使用するに際し、エキスパートの専門的意見を聞くため、イアンの店を訪れた。
ニューヨークからレキシントンまでは、北へ約320キロ。
東京・白石蔵王の距離を往復するのとほぼ同じ距離をドライブすることになるが、その価値は何にも替え難い。
少なくともサンフランシスコじゃなかったことに感謝している。
“シローへ、仲間より敬意とともに
アントニオ・ガデス
25-1-1995”
楽器を縦に見ると、ちょっと妙なところに書いた感があるが、さすが超一級フラメンコアーティスト。プレイヤーがギターを抱えたとき、自身のサインが、観客の目を最もとらえる位置を心得ていた。
2025年1月26日「血の婚礼」初演。
アントニオ・ガデスの魂が、この現在生産される楽器では出せない美しい“声”をもつギターに宿ってくれることを願っている。
マサチューセッツからニューヨークへ帰ってくる途中、コネチカット州の大西洋岸を通る。
ここは、いつも寄る“港町食堂”。
全くゴージャスではないが、こんなに気持ちよくものを食べられる場所も多くない。