東京カテドラル聖マリア大聖堂に響く無伴奏ギター「マグダラのマリア」

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“The guitar is a miniature orchestra in itself (ギターは小さなオーケストラ)”

この言葉は、かのベートーヴェンとベルリオーズが、ギターに与えた最大の賛辞。

現在、残念ながらこのフィーリングでギターをプレイする奏者は、特にクラシックを中心に、全く存在していない。
ギターという楽器は、愚かで無意味な技巧に走って本来のポピュラリティを失い、今地球上で最も売れないもののひとつになり下がってしまった。

テクニックとは「音」を得るためのものであって、いったん至高のサウンドをつかむことができたなら、もはやテクニックなどというものは必要なくなる。

ギターは指でプレイするものではない。心で弦をヒットするものだ。
そしてその最高のプレイヤーが、アルゼンチンのアタウアルパ・ユパンキだったと言えるだろう。

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去る11月13日、東京カテドラルにてプレイしたこのオリジナルナンバーは、偉大なるふたりのサウンドクリエイター、ベートーヴェンとベルリオーズの言葉を踏襲投影する、ひとりのギタープレイヤーとしての僕を、現時点で最大限に表現しているものと信じている。

マグダラのマリアは、そもそも身売りの女性だったが、イエス・キリストに出会ってその罪を清められ、キリストの復活を最初に見届けた人物として新約聖書に表記がある。

イエス・キリストと特別の男女関係にあったとかないとかいうことで、今も論議が交わされているが、僕のマグダラのマリア観は、このビデオにある通り。

クラシックのテクニックを中心に、フラメンコやジャズ、そしてロックに至るまで、あらゆるギターのスタイルの集約を試みるのが「無伴奏ギター」。

無修正ライヴ一発撮りサウンドは、勢い余ったミストーンもあるが、これこそが僕のギター。

楽しんでいただければ嬉しい。