3月16日の午後、ニュージャージー州のカーニーにおいて、私にとって本当に久しぶりとなる、ニューヨーク・エリアのラテンアメリカ系コミュニティーとの仕事、’アタウアルパ・ユパンキへのオマージュ・コンサート’を行いました。
開演前にポーズ。
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オープニングは、私のオリジナル・ギターソロ曲、’風が歌う地-ユパンキに捧ぐ’にのって、アデラ・ぺラルタさんの朗読により、ユパンキの傑作詩、’ティエンポ・デル・オンブレ’を披露。
アデラさんはアルゼンチン、コルドバ州出身。
私とは、公私にわたってすでに15年以上のおつきあいで、まさに’ニューヨークの母’のような存在です。
本業は、ニュージャージーでは何本かの指に数えられる内科の名医ですが、芸術をたいへん愛する方で、才能のあるアーティストのサポートを惜しみません。
今回の会場は、彼女が私財を投じて自身の診療所の2階と3階を改造して作り上げたスペシャル・ホールなのです。
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この日私は、ユパンキの名曲を10曲ほど披露。
ラストはふたたびアデラさんを朗読として迎え、生前ユパンキが愛してやまなかったというJ.S.バッハの作品、サラバンドとドゥーブル(無伴奏ヴァイオリンパルティータロ短調)をギター編曲したソロをバックに、’俺を行かせないでおくれ 老いたアルガローボの木よ’、’雪の風景’を披露。
そしてアンコール、’南米先住民へのオマージュ’として、エイトル・ヴィラ=ロボスの’プレリュード第四番-ブラジル先住民へのオマージュ’、ユパンキの’眠れるインディオの子’、そしてダニエル・アロミーア・ロブレスの’コンドルは飛んでゆく’で幕を閉じました。
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終演後、女性たちが手にしているのは、私のできたてのニューCDアルバム、’カミナンテ’です。
皆さん、この日をとても楽しみにしていてくださった方々です。
いきいきとしている私の表情がおわかりいただけると思います。
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打ち上げの席。
ソフト帽にハンカチを首に巻いたニューヨーク・ガウチョが登場。
なんとユパンキの大作、’追われ身のパジャドール’のハイライト版を披露。
右手前の白い服の女性はペルラさんといって、かつてタンゴとフォルクローレを歌い、南米やヨーロッパをツアーした優れたプロの歌手でした。
(この日もこのあとで、十八番の’ミ・ブエノスアイレス・ケリード’を披露)
そして彼女の最初の旦那さんであった故マルティンさんもまた、オラシオ・グァラニーや、メルセデス・ソーサといったアルゼンチン・フォルクローレ界のトップスターの伴奏者として活躍した名ギタリストでした。
今回は大判サイズで、アルゼンチンの人々の楽しそうな顔をごらんください。
どうも、ありがとさんでござんす!
私はこういったラテンアメリカの人々とのふれあいを活力の源として、ふたたびいろいろな土地へと演奏に赴いてゆくのです。
この日、午前中は雨模様でしたが、午後からはすっきりと晴れ渡った早春のニューヨーク・エリア。
演奏中、ホールの窓から差し込んでくる気持ちの良い日差しは、まるで天国のユパンキが微笑んでいるかのようでした。
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