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映画「無花果の森」予告編

サウンドトラックを担当した日本映画「無花果の森」の予告編が公開になりました。
私が作曲、演奏したギターソロ二曲(トレイラーの性格上、編集されて中間でくっついていますが)を聴いていただけます。

タイトルのクレジットとともに、最初に低音がビーンと響く三拍子の調べは’ソレダー(孤独)’。アルゼンチンの音楽形式のひとつである’カレテーロ(”荷車車夫”という意味)’を導入し、原田夏希さん扮する主人公の女性の孤独感、そして荒涼とした砂漠のように乾ききった心を表現したものです。

私はつねに、私にとってこの上なく美しい南米音楽の伝統を重んじる一方、それを土台にした自身のサウンドの創造、改革を日々続けています。
この映画の音楽も、監督の古厩(ふるまや)さんの考えをしっかりと把握したうえで、スクリーンミュージックとしての役割を果たしながらも、絶対に自分にしかはじき出すことのできない独自の音世界を構築しようと試みました。

結果、この映画のサウンドトラックも、他の私のオリジナル曲同様、確固たる私の精神と物の考え方の延長線上にあるものとして、たとえ今後、音楽のみが一人歩きして南米や世界の人々の前に出たとしても、決して恥ずかしくない、これが私のサウンドなんだと言えるものができたと自負しています。

それは決して自信過剰なのではなく、私の一番好きな言葉、”コンフィアンサ(信念に基づく自信、揺るぎない信頼感)”なのだとお考えいただければ幸せです。

ブエノスアイレス公演プログラム

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パラグアイの首都アスンシオンで幕を開ける南米ツアー三カ所め、6月10日火曜日、19時30分開演ブエノスアイレス公演のプログラム。

タンゴ、フラメンコ、ファド、ボサノバといった音楽カテゴリーのひとつとするべく、今後私が全精力を注いでクリエイトしてゆきたい新たなスタイル、’イベロアメリカーナ’がズバリそのままコンサートタイトルとなった当公演。
このカテゴリーのアーティストである私にとっての(真の意味での)デビューリサイタルとなるでしょう。
コンサートのクライマックスは、コーラスを加えた全四楽章完全版「神々の炎」。
首都公演成功に全エネルギーを傾ける所存です。

ヒラ・イベロアメリカ

6月2日、ニューヨークを出発して開始する南米ツアー「ヒラ(ツアー)・イベロアメリカ」。
下記のような日程となります。

6/4 アスンシオン、パラグアイ
於アグスティン・バリオスホール 

6/6 エンカルナシオン、パラグアイ
於イタプア県庁 フランシスコ・ソラーノ•ロペスオーデトリアム

6/10 ブエノスアイレス、アルゼンチン
於CEMA大学オーデトリアム

6/12 ビジャ・デ・マリア・デル・リオセコ、アルゼンチン
於 パロキア教会礼拝堂

6/13 ビジャ・デ・マリア・デル・リオセコ、アルゼンチン
於 レオポルド・ルゴーネス記念館

今回のツアーの最大のハイライトは、何と言ってもコーラスを加えた、アルゼンチンの国民詩人レオポルド•ルゴーネス生誕140年を記念して作曲した組曲「神々の炎」の同国完全版演奏ですが、本日、12日の素晴らしいパロキア教会におけるコンサートのビデオ化を承諾しました。
ぜひご期待ください。
南米ツアー、現在自分の持てる力すべてをぶつける所存です。

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6月4日、南米ツアー皮切り公演の会場、パラグアイの首都アスンシオンのアグスティン・バリオス劇場。

新たな道 ’イベロアメリカーナ’

去る4月18日の銀座ヤマハホール公演は、従来のフォルクローレ音楽を私なりに発展させ、今後、フラメンコやタンゴのような、ひとつの音楽カテゴリーとしての確立を目指す、新たな私自身のスタイルである「イベロアメリカーナ」の処女航海的意味合いをもつものだったと思っています。
ニューヨークに戻るとすぐ、この強い想いをストレートに伝えられるナンバー、そのものズバリのタイトル「イベロアメリカーナ」を作曲。
ヤマハでもオープナーとしてプレイした、バッハの無伴奏ヴァイオリン曲をベースにジャズロック風にインプロヴァイズさせた、とても気に入っているギターソロですが、おそらく6月の南米ツアーが初演の場となる見込みです。
スペイン語には、「ラティーノアメリカ(ラテンアメリカ)」、「イスパノアメリカ(ヒスパニックアメリカ)」など、南米を表現する言葉が多くあります。
私がその中でももっとも好きなのが、この「イベロアメリカ」。
イベリア半島によって征服され、混血融合し、そして独自の文化へと発展したアメリカ大陸という、広大な響きに何となくロマンを感じます。
「イベロアメリカーナ」は、’イベロアメリカの’、’イベロアメリカ風’、そして’イベロアメリカの女性’などの意味を持ちます。

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なお、この最新作の正式タイトルは、「イベロアメリカーナ〜”バッハのアダージョBWV.1001”によるインプロヴィゼーション〜」となります。

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また、今回はじめてサウンドトラックを担当し、4月9日にプレミアム試写会が行われ、私も当日ご招待を受けた日本映画「無花果の森」の音楽も、メインの音楽にアルゼンチンの’カレテーロ(荷車車夫)’という形式を導入するなど、「イベロアメリカーナ」のひとつのかたちといって間違いありません。
美しい映像と融合して100パーセント満足ゆく仕上がりになったこの新作映画(6月14日封切)も、ぜひ多くの皆様に観ていただけたらと願ってやみません。

どうぞよろしくお願いいたします。

Photo by 堀口邦彦