加賀大聖寺幻想”レジェンダ(伝説)” ライヴ音源
私にとって’ギターを弾く’ということは、即ちサウンドをクリエイトすることであり、したがって’作曲する’ということは、その延長線上にある、きわめて自然かつ必然的な行為といえます。
その作曲スタイルについては二通りあり、ひとつは、通常の6弦スパニッシュギターのために書いた、クラシックギターをある程度練習した方なら誰にでも楽しんでいただける、どちらかといえば優しく穏やかな曲想の独奏曲の創作ですが、もうひとつは、ライヴパフォーマンスにおけるインパクトを視野においた、あるときはギター一台、ときには二台、さらには他の楽器を導入してプレイする、ギターという楽器の特性を、あらゆるアングルから最大限にひきだすことを試みた、スケールの大きいナンバーのクリエイションです。
今日ご紹介するのは、そのなかでも後者のカテゴリーに入れられる最たるもののひとつです。
北陸加賀に伝わる民話からインスピレーションを得て、アコースティック・ダブルネックギターのための独奏曲として作曲した、’レジェンダ(伝説)’をお楽しみください。
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(写真トップ)2006年10月、東京日野市田村山極楽院安養寺客殿ホールにおけるライヴにて’レジェンダ’をプレイ中。
(写真ボトム)2007年10月、東京南青山クラブマンダラにおけるライヴ直前のリハーサルにて。
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ニューヨーク風ヴィラ=ロボス第4番
こちらでのコンサートの際、欠かせないレパートリーのひとつにオリジナルギターソロの‘レジェンダ-伝説’ があります。
ダブルネックギターの12弦と6弦を交互に弾きながら、ラストでは特殊奏法を用いて両方いっぺんに弾いてみせるこのナンバーは、たいへんトリッキーで視覚的効果が高いため、時には主催者から“レジェンダをプログラムにいれてください”と依頼されるほど万人むけのナンバーといえます。
石川県の加賀市での公演の際に訪れた、加佐(かさ)の岬という美しい日本海の風景に、かの地に伝わる不思議な民話の雰囲気をからめて作った曲ですが、ヨーロッパでもアメリカでも中南米でも、コンサートプログラムには(民話の内容まで)かなり細かく解説されているのにもかかわらず、一切‘加賀’という言葉がでてきません。いったいそれは何故でしょうか?
実はこの ‘カガ’ という言葉、スペイン語でちょっとよろしくない意味になるのです。
スペイン語は基本的に‘K’文字を使わないため、加賀を綴ると頭の文字は‘C’になりますが、発音もアクセントの位置も日本語と全く同じなため、世界中にいるスペイン語圏の方々が、これはこういう名前の町でできた曲だということになると、みなまちがいなくプッと吹き出してしまうのはクリスタルよりもクリアーです。
というわけで、日本以外においてはどこの国でも無難な線で、北陸の大聖寺(だいしょうじ)という町の民話をベースにしたナンバーという解説にしてあるのですが、ここでこの ‘カガ’ がどういう意味になるかということは、うーん、ここまで気をもたせて申し訳ありませんがちょっと書けません。
お手数ですがお分かりにならない皆様は、スペイン語をご存知の方にお尋ねくださいますでしょうか?
‘レジェンダ’は、日本海を臨むこの美しい加佐の岬でアイディアが湧き...
気分は ‘殿様 ’、この肘掛けにもたれながら作曲しました。
これは加賀市内にある、ゴージャスな山下屋ホテルのお部屋です。
加賀は人々が優しく食べ物がおいしくて大好きになりましたが、言葉の壁はときに深刻な問題です。
アンダルシアのレモンと、イタリアの濃厚なハチミツに、アタウアルパ・ユパンキの魂が溶け合う、静寂のグロリエータ(四阿)「カンテホンド・イベロアメリカーノ」の音楽世界