“アルゼンチン風バッハ” リハーサル

ニューヨークから東京に無事到着。
13日午後、いよいよ三日後にひかえた駐日アルゼンチン大使公邸におけるコンサートにむけ、今回スペシャルゲストとして、詩の朗読によるお手伝いを引き受けてくださった香川京子さんとリハーサルを行いました。


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今回のコンサートで香川さんに読んでいただく詩は、私がユパンキの書いた詩のうえに作曲して公式に演奏許可をえた”ヒロシマ~忘れえぬ町”の中間部の日本語訳による朗読部分と、私の独自の解釈によりバッハの音楽とユパンキの詩をクロスオーヴァーさせた”アルゼンチン風バッハ(プレリュードBWV1011+ティエンポ・デル・オンブレ/人の時間)”のふたつの作品です。
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プレリュードBWV1011は、全6作を数える無伴奏チェロ組曲中の第五番の冒頭ナンバー。
この組曲第五番は、バッハのあらゆる弦楽曲のなかでも唯一となる変則調弦の指示をもつ、最も深みをもったフランス形式による作品です。
冒頭を飾るプレリュードは、付点を多様した4/4ラルゴの序奏部から、3/8フーガ的対位法によるアレグロモデラートに移行する展開。一切反復を用いずに224小節におよぶ、まさにバッハ独壇場といえるナンバーといえるでしょう
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変則調弦については、旧世紀のチェロのチューニングをリヴァイヴァルさせたものであるとか、フランスのトラディショナルスタイルを表現するために古楽器ヴィオラ・ダ・ガンバを視野においたものであるなど様々な説がありますが、実際のところは明らかでなく、その神秘性が曲想と相まって私の心を魅了する、私にとっての最大の愛想曲です。
このバッハ作品と、生涯バッハを愛してやまなかったユパンキの名著、「風の歌」の冒頭に記された「人の時間」の朗読とのクロスオーヴァーは、今回香川京子さんをお迎えしての記念すべき初演となります。

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ふだん日本の映画界を代表する名女優のおひとりとして、つねにお忙しいスケジュールをこなしておられるにもかかわらず、香川さんはユパンキの詩の世界を深く理解してくださり、私がニューヨークでイメージし、そして思い描いたとおりの素晴らしいインタープレテーションによる朗読を仕上げてくださいました。
香川京子さんの美しさは、その内面から湧き出る深い精神性が生み出しているものであることを、私はあらためて強く認識しました。

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16日が本当に楽しみです!