アンデスに響くユパンキの調べ in マチュピチュ

アタウアルパ・ユパンキの素晴らしき詩の世界 VI

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神秘の空中都市マチュピチュでのコンサートにむけ、南米ペルーへ出発する日が近づいてきました。
最近、女性歌手との共演でラテン・ポピュラーを演奏するいっぽう、混声合唱や、日本の伝統楽器である尺八との共演、さらにケルト世界やさまざまな伝説にインスパイアーされ、ダブルネックギターやポルトガルギターなどを演奏。
さまざまな要素をコンサートに導入している私ですが、この二年ぶりの南米でのパフォーマンスに際しては、私にとってまさに原点回帰ともいえるオーセンティックなフォルクローレギターの調べの数々を、マチュピチュの聖なる霊気を吸い込みながら、精魂こめて演奏するつもりでいます。

そのプログラムのなかで、中核をなすレパートリーといっていいのが、南米先住民の血をひくアタウアルパ・ユパンキが、壮大なる大地と自然、はるかなる彼の祖先への想いをバイレシートのリズムにのせて謳いあげた傑作ナンバー、’インディオの道’。
毛布にくるまってすやすやと眠る先住民の赤子に対して、心からの言葉を贈ったウァイノ形式の子守歌、’眠れるインディオの子’。
そして、アンデスのフォルクローレに欠かすことのできないケーナ、チャランゴ、ボンボといった楽器の調べをギター一本で模倣した、アンデスムードいっぱいのカルナバリートによる名ギターソロ、’熟れたトウモロコシの踊り’の3曲です。

インディオの道(アタウアルパ・ユパンキ)

石がちらばる *コージャのインディオの道
星と谷間を結ぶ インディオの道よ
俺のはるかなる祖先たちが 南から北へと歩んでいった道
それは大地の母パチャママが 山の陰に姿をかくすまえのことだ
山に歌い 川に泣き
インディオの悲しみは 夜に深まる
おまえの抱く 石たちに口づけしたのは
太陽 月 そして俺の歌だ
インディオの道よ
山々の夜
ケーナが 想い出にむせび泣く
道は知っている
インディオが呼んだ あの里娘が誰なのか
***バグアラのやるせない歌声が 山にたちのぼり
道は嘆き悲しむ
はるかなる距離にたたずむ 過ちの身の上を...

* 南米先住民の種族の名
** インカ帝国の守護神であった女神
*** 山唄

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眠れるインディオの子(アタウアルパ・ユパンキ)

四つの色のポンチョ
四つの山道
銅色の夢をみながら
ひとり眠る インディオの坊や
眠れるインディオの坊や
川が子守歌を歌ってくれるよ
眠れるインディオの坊や
扉の外はお外だよ
そう扉の外はお外 お外だよ
だけどおまえが外に出たら
*チューイ チューイ
おお 寒い
夢にごらん 雪はあたたかで
石はやわらかだ
風が語ってくれるよ
羊飼いたちの物語を

* 南米の人々が寒いときに発する、我々にとっての”ブルブルブルー”のような言葉

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‘熟れたトウモロコシの踊り’は、もうひとつ’ウァラ’というタイトルをもつナンバーで、これはインディオの言葉で’牛の角’という意味をなし、アルゼンチンとボリビアの国境に、くねくねと曲がった地形をもつ同名の峡谷のことだそうです。
この3曲は、現在日本では流通していない私の初期作品、’ルナ・トゥクマナ’と’風が歌う地’におさめられており、私がキャリアをスタートさせた頃の公演では、いずれも欠かすことのできない重要なレパートリーでした。
今回マチュピチュで演奏するということは、単にツアーに参加なさるお客様に聴いていただくということだけではなく、この聖なる土地を何百年ものあいだ守ってきた、かの地の大気や精霊にたいして謳いあげることとなる、文字通り南米フォルクローレ奏者としての私にとって、原点回帰ともいえるパフォーマンスを意味するのです。

今回、私の音楽に対して最大のリスペクトをもって、この素晴らしいプロジェクトへとご招待してくださったグローバル・ユース・ビューローの皆様に、この場をかりて心からの感謝を申し上げます。
 
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