「郷愁の老木」タグアーカイブ

ヒロシマ 忘れえぬ町

アタウアルパ・ユパンキの素晴らしき詩の世界 VIII

アタウアルパ・ユパンキ

今春、広島市において、アタウアルパ・ユパンキ(1908-1992)の生誕100年を記念するスペシャル・コンサートを現在計画中です。
ユパンキは生前、広島を心から愛し、一遍の詩を書き残しました。
そしてその詩に出会ったおかげで、私は音楽家として光のあたるところに出ることができたのです。
1992年11月12日、実際に広島とはなんの縁もゆかりもない私のためにかの地のみなさんが開いてくださったコンサートは、それは本当に素晴らしく、華々しいものでした。
原爆ドームをバックにした、息を呑むような美しいユパンキの写真(上)は、その際のコンサート・プログラムの表紙です。

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Piedra Sola – ひとりぼっちの石-

アタウアルパ・ユパンキの素晴らしき詩の世界 III

aapiedra

海、山、風、川、森、平原、木々、花々、そして動物たち。
自然界のなかでともに生きるものたちとの心のふれあいを美しい詩にたくして謳いあげたアタウアルパ・ユパンキ。
以前、さすらいの旅人と、それを見守る木々との素晴らしい心の交わりをテーマにした’郷愁の老木’についてふれました。
今回は、前述の’ギターラ’と同じく私の愛読書であり、ユパンキ名作詩集である’ひとりぼっちの石 (ピエドラ・ソラ)’のなかから、路傍にひっそりと佇む、まるで忘れ去られてしまったような石との心のふれあいを謳った、同タイトルによる作品をご紹介したいと思います。
‘ひとりぼっちの石’は、詩集のトップにある、’デディカトーラ’とよばれるユパンキ自身による献呈文のあと、この名作詩集の冒頭を飾る作品としておさめられています。

詩集 ‘ひとりぼっちの石 ‘より
デディカトーラ (献呈文)

俺の大地よ!
お前の抱く山々の 
その道の上で
俺の心は これらの言葉に出会った
その 大いなる
その 決して言語におきかえることのできないものが
俺のなかに宿った
まるで お前がもつ
静けさにみちた 宇宙のような力に 
奥深く守られた 音楽の調べのように

- アタウアルパ・ユパンキ

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El Arbol Que Tu Olvidaste − 軽井沢編

軽井沢

今回の日本滞在中、私は仕事をまったくはなれ、軽井沢に三日間滞在しました。
子どもの頃、毎年ひと夏を過ごしたこの美しい土地は私にとって第二の故郷のようなものです。
写真は、30年ぶりに訪れた当時の別荘。私はここで毎日澄んだ空気を吸いながら、自転車を駆って一日中走り回ることによって、現在の丈夫で健康なからだを得られたと思っています。
私はこの木が大好きでした。彼もきっと私をおぼえてくれていたでしょう。
“きみが忘れてしまった故郷の木は いつでもきみをおぼえている
そして夜毎に問いかける 幸せでいるかい それとも...”
子どもの頃過ごした土地との30年ぶりの再会で、私はユパンキの傑作曲、’郷愁の老木’の歌詞を思い出し、いつしか胸をあつくしていました。

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