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大竹史朗 ユパンキの音色をパラグアイに贈る

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大成功をおさめた、今年6月のアルゼンチン、ブエノスアイレス公演の前に訪れたパラグアイ。
ここで私は、この国の素晴らしい人々に出会い、これからさらに歩んで行くための、大いなる新たな’心のガソリン’を得ました。

パラグアイで私が得たのは、単にコンサートを大成功させたという’経歴’だけではありません。

以下、パラグアイの首都アスンシオン公演の模様を、南米の最大手ネットワークメディア「ABC」が、”大竹史朗、ユパンキの音色を贈る”と大きく報じた記事の日本語訳です。

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日本人ギタリスト&シンガーの大竹史朗が、去る水曜日の夜、アスンシオンのアグスティン•バリオス劇場につめかけた大観衆を前に公演を行った。
”エル•アリエーロ”として知られる大竹は、アタウアルパ•ユパンキの作品および、自らのオリジナル曲を披露した。

ユパンキの「栗毛の馬」、「ギターよ、教えておくれ」で幕をあけたコンサートは、大竹のオリジナル作品「ペペのサンバ」へと続く。
いつも大竹といっしょにいて、彼の奏でるギターの音色をそばで聞いていたという(1994年に死んだ)愛犬ペペの姿を素敵に謳いあげた曲だ。
そしてコンサートの前半は、やはり大竹の作曲による「風が歌う地」でラストを飾る。

第二部、アーティストはステージに戻ると、曲の演奏をはじめる前に、自身のヒストリーを聴衆に語った。

”13歳のとき、私は東京で(ラジオのプログラム)ユパンキの音楽をはじめて聴きました。そしてその深いエッセンスに魅了されたのです。
ニューヨークに渡ったのはそのあとですが、実はギターを弾くためではなく、私の本来の夢はブロードウエイの俳優になるためでした。
しかし、下宿していた部屋の大家がアルゼンチン人で、私がたまたま弾いたユパンキの曲に感激したことから縁が広がり、1989年、私はアルゼンチンのユパンキを訪ね、直接ギターの指導を受けました。そのとき私は、彼の奏でるギターの音色に真の大地の感動を味わい、運命が変わったのです。”

大竹は、聴衆の喝采をところどころで受けながらそう語った。

そしてコンサートは、アルゼンチンの国民詩人レオポルド•ルゴーネスに献呈した組曲「神々の炎」へと続く。
曲のラスト、大竹は鳴り止まぬ大喝采に感極まり涙を流し、ライヴは一時中断する。喝采は鳴り止まない。

”これまで歩んできた長い道のりを、あななたち素晴らしいパラグアイのみなさんに囲まれて思い出しました。”

大竹はそう語り、今年サウンドトラックを担当した日本映画「無花果の森」から「ロマンセ」、そしてユパンキの傑作「牛車にゆられて」、「トゥクマンの月」を演奏。
そしてユパンキの詩に大竹が作曲した「ヒロシマ〜忘れえぬ町」でフィナーレを迎え、さらに聴衆のアンコールに応え、「アランフェス(協奏曲第二楽章をアレンジしたソロ)」、メドレーで「コンドルは飛んでゆく」を披露。
終わることのない大喝采を浴びながら、大竹はパラグアイの観客に別れを告げた。

(’ABC’記事より全文)

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新聞記事の公演前日、ニューヨークからの’ナイトフライト’で、朝8時30分にパラグアイの首都アスンシオンに到着。
ホテルに護送後(!)、サッとシャワーを浴びて、休む間もなく午前11時から生出演のため人気ラジオ局「FMコンサート」を訪問。

これは、実際ライヴの放送が行われているところを撮影されたビデオ(一般には非公開のYouTube画像)です。

パーソナリティーのベトさんはブラジル人。

パラグアイ生活が長く、すでにこの番組を23年に渡って続け、自身のステーション「FMコンサート」を「カサ•デ•ロス•ムシコス(ミュージシャンの家)」と呼び、同国を訪れるアーティストを必ずラジオに招待して質の高いインタビューを行うミュージックラヴァー。

ベトさんの心地よいポルトガル語アクセントのスペイン語と、私のアルゼンチンアクセント丸出しのスペイン語によるインタビュー。
残念ながら字幕はありませんが、ギターではなく’そもそもブロードウエイのアクトール(俳優)を目指してニューヨークへ渡った’と私が話すくだりに、ベトさんがビックリして笑うところなどはおわかりになると思います。

世界でも最も音楽的な言語のひとつ、「スペイン語」による会話の響きをお楽しみください。
音楽を心から愛する、お互い専門職同士のブラジル人とニューヨークに暮らす日本人が、故国をはなれた土地でこうして第二外国語でコミュニケーションできるということが、どんなに素敵なことかわかっていただければ嬉しく思います。

放送中も、ピコピコとひっきりなしに入ってくる「フェースブック」の反響もまた一興。
「いまドイツにいるので悔しいけれどコンサートに行けないワ。」というメッセージが送られてくる一幕も。
インターネットの普及により、いまラジオ番組は世界中どこにいても楽しめるようになりました。

ビデオの6分20秒のところから、ユパンキの「牛車にゆられて」をライヴで演奏しますが、その前に私は、”いま何時?今朝8時30分に着いたばかりだからネ。もしかしたらベストの演奏にならないかもよ。でも明日(アスンシオン公演)はバッチリ決めるからね。”と言うと、「え、今朝着いたの?!?!」と驚くベトさんの表情も面白いと思います。

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今日はここまで!

パラグアイの思い出アルバムは、またあらためてアップデートします。

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ユパンキ音楽の”神の申し子” 日本人ギタリスト

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大成功をおさめた今年6月のパラグアイ&アルゼンチンツアー。

これは、第三公演地、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスの最大手メディア「ABCムンディアル(ワールド)」の音楽ライター、ダニエル•カルボーネさんとのインタビューを、”ユパンキ音楽の神の申し子 日本人ギタリストによるアルゼンチン公演”と大きな見出しで同紙が報じた記事を日本語に訳したものです。

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コンサートツアーのためにアルゼンチンを訪れた優れたギタリスト、大竹史朗”エル•アリエーロ”。
’ABCムンディアル’とのインタビューに対し、彼はこう語った。

”私は日本人。しかし私はニューヨークに暮らし、そしてアルゼンチンを愛し、さまざまな土地を訪れ、そこから音楽を生みだす。
自分をユパンキの継承者などと意識したことはない。
私が創りたいのは、自分のなかにあるカルチャーと彼の音楽との融合。
おそらくそれを創り上げるためには一生涯かかるかもしれない。
ただ、どんな土地にあっても私が運ぶのは、かつてセロコロラドで、私の前でユパンキが奏でてくれたあの音色だと思っている。”

大竹史朗は東京生まれ。少年時にユパンキの音楽に魅了され、クラシックギターを鈴木巌に師事。ユパンキの作品とともに、多くのクラシックレパートリーを学んだ。
これこそが彼に、いま私たちアルゼンチン人が聞いても、我々が敬愛してやまない巨匠の芸術を感じることができ、さらにそれがしっかりと投影された演奏能力を授けたのだ。
しかし大竹はそれだけに留まらない。彼は多くの作曲をし、そのなかのひとつ「ヒロシマ〜忘れえぬ町(ユパンキ詩)」は、2011年、日本の書籍「ラテン音楽名曲名演ベスト111」に選出された。
これまでにマドリード、モスクワ、レイキャビック、東京、そしてマチュピチュをはじめ、世界のさまざまな土地で公演を行い、また、私たちにとって最高の舞台ともいえる「コスキン音楽祭」にも招待を受けている。

2014年には、日本映画「無花果の森」のサウンドトラックを担当した。

このあと大竹はコルドバを訪れ、数日間に渡って演奏を行った後ツアーを終了する。
よき音楽を愛するもの、そしてよき音楽を奏でるものにとって、ぜひとも聴く価値のある、魂の込められた素晴らしい音楽的才能による演奏にふれられる機会である。

喜びと、心豊かにさせる少々の言葉にかえて。

ダニエル•カルボーネ

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インタビュー中、私が、自分をユパンキの継承者や後継者などとは考えていないと強調したので、かえってこのような’オオゲサな’見出しになってしまったのでしょう。
いずれにしても私は、いまも世界に多く存在する、ユパンキ芸術のセギドーレス(道をたどるものたち)のひとりにしかすぎません。

なかなか新聞や雑誌の見出しはそのようには報じてくれませんが…

以下、ブエノスアイレス滞在アルバムです。

(写真はすべて、クリックすると拡大表示します)

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殺人的スケジュールだった前公演地パラグアイに比べ、アルゼンチンでは旧知の人々と会ったり、街をゆっくり散策する時間がありました。
ホテルも、ブエノスアイレス特有のクラシックな、お城のダンジェオン(天守閣)のようなゆったりとした最上階の部屋を用意してもらい、旅の疲れを癒すことができました。

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ブエノスアイレスはビートルタウン(!)古い雑誌やポスター、レコードなどがいろいろなところで手に入り、通りのキヨスクでもビートルグッズが売られています。それが理由かどうかわかりませんが、ここには南半球で唯一の「ビートルズ博物館」があります。
なんと事前に、今も昔もビートルマニアである私の情報が伝わっており、この場所の視察が公式日程として組まれていたのは嬉しい出来事でした。

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アルゼンチンは、とにかく牛肉のおいしい国。ここは、そのブエノスアイレスでもベストのひとつのステーキハウス。

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ブエノスアイレスの日亜学院(日本語とスペイン語による教育機関)のコーラスの皆さんと、国民詩人レオポルド•ルゴーネスに公式献呈した合唱付きギター組曲「神々の炎」初演直前のスナップ。
同地での公演の成功は、この方たちの熱意と理解によるところが大きく、私はたいへん感謝しています。

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大散財…