バッハ+ユパンキ=時空を超えた二大陸の融合
昨年から、アタウアルパ・ユパンキ生誕100年にあたる今年にむけていろいろなアイディアを練り、そして修練をかさね、コンサートや新しいCDなどで発表してきました。
そのなかにあって、おそらくファイナル・ショウダウンといえるのが、これから行うコンサートのオープニングを、J.S.バッハの’プレリュード’と、ユパンキの’栗毛の馬’でたて続けに飾るという試みです。
(写真は、昨年6月、シカゴにおける公演で、バッハのリュート組曲第一番BWV996’プレリュード’と、アタウアルパ・ユパンキの珠玉の名作’栗毛の馬’をコンサート・オープナーとして初披露した際のもの。 このときは、’プレリュード’にのみダブルネックギターを使用。 前半第一部の厳かなカデンツァ風パートを、12弦上でフラットピックを使って弾き、後半、プレストにテンポアップしたフーガになるところからを6弦にスイッチ。フィンガーピッキングで弾きまくるという、少々トリッキーなことをしました。 今後は、通常の6弦スパニッシュ・ギターを使って、この名曲を演奏することになります。)
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スペイン王妃との出会い 組曲’マリア・ルイサの城’
ギターのサウンドを楽しんでいただけるオーディオ・ページが新しくできました。
今日は、私のオリジナルギター組曲、’マリア・ルイサの城’をご紹介します。
この組曲は、私がこれまでに体験したもっとも不思議なできごとをもとにイメージを膨らませて音楽化し、さらに、バロック、スパニッシュ、フォークロックと、私がもつアコースティック・ギターのテクニックをすべて駆使したアレンジを加えて完成させた、文字通り’ギター音絵巻’とよべるナンバーです。
(美しいイラストは、このナンバーを収録したCDのジャケット・デザインを担当してくださったイラストレーター、芙似原由吏(ふじわらゆうり)さんによるものです。
実際私が出会った王妃のイメージは、むしろこの由吏さん最初の作品のほうが近く、とても気に入っていたのですが、こちらでデザインを決定する段階で、「まるでカレン・カーペンターのようだ(?!)」という、いかにもアメリカ人らしい意見があったため、結局彼女がわざわざもう一度描きなおしてくださったものがアルバムジャケットとしてこのCDを飾ることになりました。
私はいまでも由吏さんに対して、このときのことを感謝しています。)
それではご一緒に、マリア・ルイサのお城探検へと参りましょう!
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私が現在、ギタリストとして国際的活動を続けていられるのは、少年時代にしっかりとしたクラシック・ギターの手ほどきをしてくださった鈴木巌(すずきいわお)先生のおかげです。
鈴木先生は、日本の音楽史上、海外における国際コンクール(1957年、モスクワ国際ギター・コンクール)で第一位グランプリに輝いた、わが国最初の音楽家です。
何年か前に、当時の鈴木先生の演奏の録音を聴かせていただいて、もうとにかくそのすごさに圧倒されたものですが、”ギターは美しい音色の楽器だよ。テクニックはあくまでもそれを表現するためのものでむやみやたらに誇示するものではない。”という先生の考え方は、いまも私の音楽のなかに、長年にわたってしっかりと息づいている大切な言葉です。
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今回の日本滞在における最初の公式日程が、去る3月17日に広島市に今度新しく発足した「広島スペイン協会」の設立記念セレモニーでのゲスト演奏でした。
午後7時からはじまった懇親会の席で、私はユパンキの「兄弟たち」、ユパンキと、スペインのマヌエル・ベニーテス・カラスコの共作による「微笑みながら坊やは眠る」、そして、私にとってかけがえのないナンバー「ヒロシマ 忘れえぬ町」を演奏。さらにアンコールでは、なにかスペインのものをということで、マヌエル・デ・ファリャの「七つのスペイン民謡」から”エル・パーニョ・モルーノ”のソプラノ・パートをギターの弾き語り(!)にて披露。これは世界でもやる人はかなり少ないはずです。お集りいただいた皆さんはとても珍しいものを聴いていただいたのだと思っています。
東京生まれで現在ニューヨークに暮らす私ですが、ユパンキの詩が縁となって、私を世に出してくれることになった広島は故郷も同然です。
その広島で今回こうしてスペイン協会が発足することになったのは大きな喜びです。
広島スペイン協会の今後のご発展を心よりお祈りいたします。
写真)広島スペイン協会設立記念式典懇親会にて。
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私にとってかけがえのない町、それは広島です。
14年前、ユパンキが書いた詩「ヒロシマ 忘れえぬ町」に作曲。
その精神状態は、ひたむきなまでにピュアではありましたが、キャリアといえばニューヨークのスラム街のバーやレストランで、ただかき鳴らすようにギターを弾いていただけ。
そんな私を日本に呼び戻して、最良のかたちで世に送りだしてくださったのが広島の皆様なのです。
今回、5年半ぶりに故郷(?)に帰った私の希望もあって、ごくごく親しい皆さんだけをお招きしてのスペシャル・ライヴを、10日の夜に行いました。
写真)私のCDアルバム「マリーア・ルイサ」のジャケットを描いてくれた芙似原由吏さん(右)。
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アンダルシアのレモンと、イタリアの濃厚なハチミツに、アタウアルパ・ユパンキの魂が溶け合う、静寂のグロリエータ(四阿)「カンテホンド・イベロアメリカーノ」の音楽世界