アントニオ・ガデスとガルシア・ロルカへのオマージュ@麻布十番「富麗華」ライヴ❶

だいぶビハインドになってしまったが、今年の1月26日、東京麻布十番のミシュラン⭐️⭐️超人気レストラン「富麗華」にて、スペインが生んだ不世出のバイラオール(男性フラメンコ舞踊手)アントニオ・ガデスと、やはりスペインの国民詩人フェデリコ・ガルシア・ロルカに捧げた、僕が実際プレイしている映像によるライヴパフォーマンスのビデオをようやく編集した。

僕は、自分の音楽を使ったビデオ編集が趣味❣️
撮影はもちろん、その時々でいろいろ変わるが、編集と仕上げは全部自分で行う。

ひとつめは、「あるバイラオールの肖像 ~アントニオ・ガデスへのオマージュ~」とタイトルしたギターソロ。

僕のオリジナルソロ曲というのは、多くが一切の反復形式を持たない、最初の主題が変奏曲のように姿を変えてクライマックスまでのぼりつめ、そしてラスト、再び主題に戻ってエンディングという曲想が多く、これはバッハの「シャコンヌ」に強い影響を受けているところが大きい。

このソロは、最近の作品のなかで最も気に入っているもの。

なお、ビデオで使用しているテキストは、もともと19世紀に活躍した、イタリア人の父とアンダルシア人の母との間に生まれた伝説的カンタオール(男性フラメンコ歌手)シルヴェリオ・フランコネッティへのオマージュとしてロルカが書いた傑出した詩を、ガデスへのトリビュートとして少々内容を変えて織り込んだ。

今日のニューヨークは14℃で、まるで冬に戻ったよう。

僕が手に持っているのは、1963年にスペインで出版された、全2018ページに及ぶ❗️「ガルシア・ロルカ大全集」。

ロルカの詩作から、戯曲、そして作曲からイラスト(のみ一部)、加えてインタビューから講演に至るまで、
文字通り全てを掲載したコンプリートブックにして、僕の最大の愛読書。

11月13日 東京カテドラル聖マリア大聖堂リサイタル チケットぴあにて前売り開始

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今秋11月13日に行う、東京カテドラル聖マリア大聖堂リサイタルの前売りが、5月17日よりチケットぴあにて始まりました。

20日には、イープラスにおいても前売りを開始します。

チケットはどちらでも、大竹史朗ファンクラブのサイト。からお申し込みいただけます。

11月13日、世界でも有数の美しさを誇る、日本一のカテドラルにして、僕自身の音楽人生で最高の意義をもつコンサート。
みなさまにお目にかかれることを楽しみにしています。

J.S. Bach Improvisations en Tokio 「無伴奏ギター第1番」ライヴ@麻布十番「富麗華」

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No todas las obras de Bach se pueden tocar eficazmente en la guitarra. He seleccionado algunas de ellas y las interpreto en mi propio arreglo como ‘J.S. Bach Improvisation’.

El enlace a continuación es una interpretación en directo del “Adagio (BWV. 1001)” escrito para violín solo, con un “Allegro”, mi obra original añadido en la segunda mitad, que he interpretado en Tokio en enero de este año.

Guitarra: José Yacopi (#1511 Argentina 1976)

僕はバッハの音楽に心酔しているが、その全てがギターで弾かれて効果を得られるわけではなく、むしろ原曲の素晴らしさをしっかりと投影させながら、さらにそれを“全く別の楽曲”として凌ぐものにするとなると、その数は決して多くはない。僕はそのなかから幾つかを選び、「無伴奏ギター」としてプレイしている。

上記リンクは、もはやバロック時代の音楽とは言い難い、宇宙の無限のエネルギーとエモーションに満ち、そしてギターに移して最高の効果を得られる「アダージョ(無伴奏ヴァイオリンソナタ第1番)」に、後半独自の「アレグロ」を加え、今年の一月、東京麻布十番の超人気レストラン「富麗華」特別会場でプレイしたライヴパフォーマンス。
無修正のライヴ一発撮りは、勢い余ったミストーンはあるものの、僕はこのプレイを気に入っている。

使用ギターは、アルゼンチンの至宝ホセ・ヤコピ(1976年製作)。
芯のある強い低音、そして張りのある輝かしい高音の素晴らしさは、現在生産される楽器ではまず得られない。

ミシュラン⭐️⭐️麻布十番「富麗華」スペシャル・ランチコンサート

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かなりビハインドになってしまったが、超満員大成功をおさめた、麻布十番の超人気レストラン「富麗華」におけるスペシャルランチコンサートは、音響、雰囲気とも抜群だった。

ロルカの魂を宿し、新作組曲「血の婚礼」を素晴らしいヴォーカルパフォーマンスで飾ってくれた黒川泰子さん、そして、お越しいただいた全てのお客さまに、心からの感謝を申し上げます。
目のまわるようなタイトスケジュールでしたが、本当に応援者のみなさまのおかげで、全16日間の充実した素晴らしい日本滞在でした。

今年の11月は、13日の東京カテドラル聖マリア大聖堂公演をはじめ、さらに充実したツアーになるでしょう。
みなさまにお目にかかれることを楽しみにしています。

スミソニアン航空宇宙博物館のエノーラ・ゲイ(エノラゲイ)

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今秋11月13日、東京カテドラル聖マリア大聖堂における、バッハのプレルディウム(無伴奏チェロ組曲第5番)に独自のアレンジを施したソロ「ヒロシマ・レクイエム」初演に先立ち、ワシントンD.C.のスミソニアン航空宇宙博物館別館を訪れた。

目的は、現在常設展示されている、第二次大戦に使用され、広島に原爆投下を行ったB29爆撃機「エノーラ・ゲイ」を見るため。

空中通路から、操縦席が手に取るようによく見える。
異常なまでの迫力…

これは複製レプリカではない。
今から80年前、空中から、広島の14万人の民の命を奪ったまさにその姿に、しばし言葉を失う。

スミソニアン別館は、博物館というより、むしろ格納庫という雰囲気。

いまにもプロペラが回り始め、どこかに向かって飛び立ってゆくかのように見える…

エノーラ・ゲイのまわりには、右主翼側に日本の零戦が数機展示されていて、反対左側には米軍戦闘機が並べてある。

なんとなく「ケンカ両成敗」といった雰囲気…

さすがに表情がかたい…

あとで写真を見て気付いたが、銀ピカの機体先端部(車輪格納部のフタ)に赤字で「周囲30メートル以内禁煙」とペイントされており、ゾッとした。

この写真でもわかるが、トップの、いちばん最初に掲載した写真で、それがよりよくわかる。

かつて広島を訪れたチェ(ゲバラ)は、ドームや資料館など視察したのち、同行した現地人に対し、“あんたたちはこんなことをされて腹が立たないのか?”とたずねたと聞くが、もし彼がエノーラ・ゲイをこの場で見たら、いったいなんと言うだろうかなどと考えた。

おみやげ屋には、合金製おもちゃが売られていて驚く…

スミソニアン航空宇宙博物館別館は、ワシントンD.C.中心部からかなり離れた、ダレス空港の近くにある。

東京で言うと、成田空港のあたりにあるような感じ。
国の運営施設なので、入場無料。

すでに航空業界から姿を消して久しい、エールフランスのコンコルドも展示されていた。

90年代、よくケネディ空港で、ロンドンに向かうブリティッシュエアウエイズのコンコルドを、搭乗ゲートの窓越しに見ることがあったが、すぐ近くでその姿を見たのは初めて。

エノーラ・ゲイの常設展示については、やはり関係者の間で賛否両論による協議もあったようだが、アウシュビッツの収容所や広島のドーム同様、二度とこのような惨劇が繰り返されぬよう、人類の「負」のヘリテージとして、いつでもこうして見学可能にすることは、決して間違っていないと思う。

おそろしいのは爆撃機そのものではない。
このようなものをクリエイトした人間の愚かさだ。

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ニューヨークからワシントンD.C.へは、制限時速65マイルのハイウエイを飛ばして往復10時間。

朝7:30に出立、夜11:30に帰宅という日帰り強行軍ではあったが、駆け足観光も楽しんだ。

ワシントンD.C.は、どこを歩いても花の香りがする。

ニューヨークのように人が多くなく、政府の重要な施設が多いわりには、とても開放的な雰囲気がある。

アンダルシアのレモンと、イタリアの濃厚なハチミツに、アタウアルパ・ユパンキの魂が溶け合う、静寂のグロリエータ(四阿)「カンテホンド・イベロアメリカーノ」の音楽世界

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