Southern Landへの想い 1 Blue side of Shiro

ボトルネック・スライドバー

およそ前衛的なものや、技巧的なもの意外ならありとあらゆる音楽を楽しみますが、アメリカの南部に起こったブルースは(ユパンキのフォルクローレは別として)、私がもっとも愛してやまない音楽です。
これだけ単純な構成にもかかわらず、その奥の深さはまさに無限で、かつこれだけ心地よく人の心にエモーショナルに訴えてくるものはありません。
それぞれが短い三部構成からなる私の新作「ダヒュ」は、第一部では、静かなブルターニュの海の彼方から聴こえてくる、美しいダヒュの歌声を模した純然たるクラシカル・ギターのソロで幕をあけますが、続く第二部では、がらりと雰囲気をかえ水底に沈んだ王女の恨み悲しみを表現するために、サイド・ギターを加えて、はじめてブルースのギター・テクニックを導入しました。
もちろんいままでステージで、ブルース奏法を披露したことはありません。
しかし少年時代、クラシカル・ギターの勉強と平行して、私はかなりの時間をブルースのレコードを聴くことにあて、自分でもいろいろとその奏法を研究したものでした。
ここでようやくそのときの経験が役にたちそうです。
さらにファイナル・パートではテンポアップして、ジプシーのフォーク・ダンス風ギターへと展開する私の「ダヒュ」。
目下のところ「ダヒュ」は、自分の創るギター音楽の集大成といってよいと思っています。

写真)「ダヒュ」第二部で使用する、ブルース・ギターに欠かせないボトルネック・スライドバー。


ジョニー・ウインター

ボトルネックといえば、ジョニー・ウインター。
私は少年時代、これらのLPを穴があくほど聴きこみました。

ドワイト・ヨーカム

ジョニー・ウインターが出たところで、もうひとりのベスト・サザン・フェイヴァリット。
カントリー界のヒッピー・ホンキー・トンカー、ドワイト・ヨーカムです。
今年50歳をむかえる彼は80年代、ナッシュビルの伝統スタイルに背をむけ、当時ほぼ絶滅状態にあった、ジョニー・ホートンや、マール・ハガード、そしてバック・オーエンズで知られるベイカース・フィールド・サウンドを再燃させ、それにLAのアンダーグラウンド・ロックを融合させた独自のニュー・カントリー・サウンドを創りあげました。
私はもう、20年近くにわたって、彼の音楽の大ファンです(CDが主流になる前からなので全部カセットテープ...)。

ドワイト・ヨーカムのサイン入り写真

ドワイト・ヨーカムがくれたサイン入り写真(!)
彼は実にナイス・ガイでした。
カントリーもブルースも、ふたつの大陸から移ってきた人々の魂の叫びが音楽になったものです。
このふたつが新大陸でしっかりと結ばれた結果、チャック・ベリーやエルヴィスが生まれ、そしてそれがふたたびヨーロッパに回帰してビートルズ、レッド・ツェッペリンが登場し、ロックンロールは頂点を迎えました。