4.7 広島世界平和記念聖堂
2008年4月7日の夕刻、これまでの私の音楽家としてのキャリアのなかでも、おそらくもっとも思い出にのこるもののひとつとなるであろうコンサートを、広島市の世界平和記念聖堂において行いました。
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(写真上)1967年4月、広島市を訪れたアタウアルパ・ユパンキ-山崎克洋氏撮影
(写真下)2008年4月、広島世界平和聖堂において行われた、アタウアルパ・ユパンキ生誕100年記念リサイタル
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コンサートを報じた新聞
コンサートはまず第一部、私のソロで、ユパンキの’栗毛の馬’、私のオリジナル・ギターソロ、’ラ・サンティアゲーニャ’でスタート。
そしてユパンキの’ギターよ教えておくれ’、’トゥクマンの郷愁’と続き、ふたたび私のオリジナルソロ、’風が歌う地-ユパンキに捧ぐ’で前半の幕を閉じました。
第二部は、私のオリジナル・ギターソロ、ハイポジションを駆使した’プレリュード第6番-ヴィラ=ロボス・幻のプレリュード第6番に捧ぐ’で開始。
そして今回、東京からこのコンサートのためにスペシャルゲストとしてかけつけてくださった鈴木巌先生をステージへとお招きします。
師弟競演によるヴィラ=ロボスの’五つのプレリュード’。
まず鈴木先生が第5番、つづけて私が第4番、先生が第3番、私が第2番をかわるがわる披露。
そしてラストは、鈴木先生が叙情味たっぷりに第1番でしめくくっててくださいました。
続いて鈴木先生のソロ。
ユパンキが愛してやまなかったJ.S.バッハの作品から、’フーガ’と’ガヴォット’。
まさに熟練の境地。崇高な精神に裏づけされた高い技術と、もはや先生の分身ともいえる銘器ヘルマン・ハウザーの深く美しい音色が、そのとき会場にいらしたすべての皆様を魅了しました。
そしてクライマックス。
ユパンキに見守られながらふたたび私のソロで、’牛追い’、そしてユパンキと私の共作ナンバー、’ヒロシマ 忘れえぬ町’。
アンコールは、もう一度鈴木先生をお迎えして、クラシックギターの名曲中の名曲、’禁じられた遊び-愛のロマンス’をデュオで披露。
¡Bien hecho hemos, maestro!
¡Gracias!
鈴木先生と私による共演パフォーマンスのライヴ音源は、こちらのページでお楽しみください。
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ギターとの出会い、ユパンキ音楽との出会い、鈴木巌先生との出会い、そして紆余曲折、渡米。
見果てぬ夢が織り成すひとすじの光が、若いカミナンテ(旅人)をアルゼンチンへと導き、それはさらに故国にある美しい町、広島との素晴らしい出会いとなって花を咲かせてくれたのです。
今日、私には、私の中で流れてきた30年余の歳月が、あたかもこの美しい大聖堂のなかで一直線につながったかのように思えてなりませんでした。
天国のユパンキも、きっと喜んでくれたことでしょう。
鈴木巌先生、広島ANTの渡辺朋子さん、そして私と’ヒロシマ’を結びつけてくださった山崎克洋さん、さらにこの公演にかかわってくださったすべての皆様に、この場をかりて心より御礼を申し上げます。
¡Feliz 100 cumpleaños! ¡Don Ata!