スペシャル・ギタークラス at マンハッタン・スクール

昨年行った‘ミドリ&フレンズ’との仕事をきっかけに、私は現在、アメリカの子どもたちの指導に少なからぬ情熱を傾けています。
去る6月23日の午後、ニューヨークの小学校‘マンハッタンスクール・フォー・チルドレン’に招待を受け、子どもたちの授業の一環として楽しい時間をもちました。
この学校は、ニューヨークの小学校のなかでもたいへんよい教育を行う評価の高い学校で、今日、クラスメートの前で、私とのギターデュオによる共演の夢をかなえたのは、同校に通学する、目下私のギターの生徒のなかでも最年少(8歳)のサム君です。


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サム君は現在、かなりギターの演奏に積極的になりましたが、半年前、私とのレッスンをはじめたときは、正直これは長くは続かないかなというのが率直な印象でした。
まったく音楽経験のない、ニューヨークのど真ん中で生まれたディマンディングな7歳(当時)の子どもにギターの奏法を指導するのは容易ではありません。
その時点で彼のママに、”もうちょっと大きくなってからにしたらどうでしょう?”と言うことは簡単でしたが、これは自分にとってもなんらかの勉強になると判断した私は、あの手この手を使って彼の興味をひくメソッドを考案し、三ヶ月ほどかけて、ギター演奏の楽しさを理解させることに成功。
この日サム君は、アメリカ人特有のリズム感のよさを生かして、’ハッピーバースデー・トゥー・ユー’、’キラキラ星’、そしてハイライトとなったマイケル・ジャクソンの’ビリー・ジーン’を私とデュオ共演し、彼のクラスメートたちのヒーローとなって私を喜ばせてくれました。
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私はふだん、すぐに答えが出せない課題や問題にぶつかると、“こういうときバッハならどうするだろうか?”と考えて結論を出すようにしています。
バッハは子どもを指導するとき、たとえそれがどんな子どもであっても、その子にあったレヴェルの、きわめて美しい調べをクリエイトして音楽の素晴らしさを教えたといいます。
もちろん私とバッハでは、演奏力も音楽の知識もまったく比較になりません。
しかし私は、常にできるだけの努力をして、’ニューヨークのバッハ’でありたいと思うのです。
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子どもたちの質問に答える私。
アメリカ人の子どもたちは、小さい頃からお互いの優れている部分をリスペクトしあい、よい影響を受けあいながら競争をします。
日本の学校でよく耳にする、愚かで陰湿な’いじめ’などにかまけている時間はないのでしょう。
アメリカの学校を訪れるたびに思うことですが、日本とこの国では、教育というものに対する考え方に抜本的な相違があると感じます。
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ギターケースを手に、ぐっと凛々しさを増したサム君。
ごらんのとおりのグッドルッキングなので、ここは一生懸命ギターを仕込んでパートナーとし、将来的に女性客の動員担当を...などとコソクなことを考えていますが、さていかに?!