Ignacio M. Rozas – Una guitarra que llora

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11月18日公演「アンダルシアの聖女」に向け、スペインで製作されたイメージフィルム。

ここで聴かれる音色は、イグナシオ・ローサスというマドリードの優れた製作家が、1995年に製作したフラメンコタイプの楽器のそれだが、そのセクシーな歌声は、単なるフラメンコギターやクラシックギターというお定まりの言葉で片付けられない無限の深みを持つ。

これは、ガルシア・ロルカの傑作詩「ラ・ギターラ」からインスピレーションを受け、昨年のはじめに作曲した、自分でもとても気に入っているナンバーだ。

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1995年5月、マドリードのローサス氏の工房で、自分は一目でこの美しい楽器と恋に落ちてしまったが、バルでワイン一杯50セントで飲めた当時のスペインにあっても、値段もやはり、それなりに’眩い’ものだった。

すると深い瞳の熟練工は、”これはあなたのギターだ”と言って、極端大幅な値引きをして譲ってくれた。

誕生からすでに四半世紀が経とうとしているが、その容姿と歌声は時が経つごとに美しさと深みを増し、まるで命を宿しているかのように自分を助けてくれている。

自分とともに、生まれ故郷のマドリードからニューヨークに渡った後は、アメリカ国内はもとより、モスクワを含む数多くのヨーロッパの都市、そしてペルーのリマ、アルゼンチンのコルドバ(コスキン音楽祭にはこのギターを持って出演した)に至るまで、本当に長い道のりを一緒に旅行してくれてきたが、昨年、22歳を迎え、さすがに少々疲れが見えてきたので、ボストンに暮らす腕の良いアメリカン・リペアマンにオーバーホールを頼むと、彼はこの楽器に対して心からの愛情を注ぎ、オリジナルの状態をさらに上回るコンディションに仕上げてくれた。

弦は、他の所持楽器同様、ダダリオ・プロアルテ(クラシック・ノーマルテンション)のブラック弦を張っている。

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この楽器をライヴで演奏している動画は、こちらのページでご覧いただけます。

なお、当ホームページのアップデートは暫くお休み。11月末に日本から戻ってから再開いたします。