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バッハへの限りなき想い

楽譜

あまりコンサートでは演奏しないものの、私自身日々研鑽を重ねているのがJ.S.バッハの音楽です。
残念ながら、バッハはギターのためにオリジナル曲を一曲も書きませんでしたが、無伴奏ヴァイオリンやチェロ、そしてリュートをはじめとした多くの器楽曲に、19世紀以降優れたギターソロ用アレンジが施され、結果、曲によっては原曲を凌ぐ深い内容となっているものも少なくありません。
私にとってバッハの音楽とは、そのほとんどがまれにみる厳格なリズム形式で支配されているにもかかわらず、そこから解き放たれる個々の音色は、まさに変幻自在に姿を変え時空を超え、幻想の深い森を走り抜け、天空を駆けめぐったかと思えば次の瞬間には急降下して海底を彷徨うあたかも一頭のペガサスを駆った旅のようなもの。
彼の音楽を弾くとき私達は、楽器という素晴らしい交信手段をとおして過去との対話ををすることがかなえられ、さらにはそこから溢れ出る美の極致ともいえる無限のエネルギーを吸収し、ついにはこの人類の至宝ともいうべき遺産をわかちあえることを喜ぶだけではなく、バッハという偉大なる巨人と同じ世界に生まれることができたことさえも誇りに思わずにはいられないのです。

(写真 ギターにアレンジされたバッハの傑作曲のひとつであり、私の愛奏曲中の愛奏曲、無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第一番ロ短調のなかの「サラバンド」、およびその変奏「ドゥーブル」の楽譜。ギターで弾く際もオリジナルと同じキーで演奏されるため、なんだかバッハをぐっと身近に感じられます。)

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