中出阪蔵さんに捧ぐ ニューヨーク・リサイタル

6月16日、午後8時から行ったNYバージミュージック・ソロ公演が無事成功裏に終了しました。
撮影/新発田潤一(Jay Shibata)氏


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息を呑むようなマンハッタンの夜景をバックに、故中出阪蔵さんが作ってくださったギターを万感の想いで奏でる私。
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この素晴らしい手工ギターを中出さんに作っていただけたのは、恩師鈴木巌先生のおかげです。
先生はこの楽器を見たとき、「これは一生使える宝物だ。中出さんのギターは、できたばかりのときによく鳴るのはもちろんだが、驚いたことに20年30年たったあとに、さらに凄い本当の音が出てくるんだよ。」とおっしゃいました。
私はこの夜、ステージ上でその言葉の意味を体で感じることになり、あらためて中出さんの楽器の素晴らしさを認識しました。
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とはいえこの楽器をはじめて手にした33年前、まさか将来(彼女と)いっしょに世界の首都に渡って、一時間四十五分にも及ぶソロ公演を行うことになるなどとは夢にも思いませんでした。
この日、中出さんの魂を宿すギターは、ユパンキ、バッハ、ヴィラ=ロボス、グラナドス、そして私自身の作曲による調べを終始一貫した美しい音色で歌い、私を支えてくれました。
鈴木先生は、数十年ぶりにふたたび中出ギターを使いだした私に対して、「君をずっと待っていてくれてたんだよ。これから大切にしてあげなさい。」と一言おっしゃいました。
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そしてアンコールは、世界初公開(?!)のビッグサプライズ。
日本製の優れた楽器のあとは、意表をついてアメリカの名器の登場です。

老舗メーカーのフェンダーによる、1980年代のヒット・アコースティックギター・シリーズ、ジェミニIIにもちかえた私は、そもそも中学一年生だった私を、決定的にギターへと走らせたフォークロックナンバー、’朝日の当たる家’、そしておなじみエルヴィスの’ハートブレークホテル’をブルースギターワークをフィーチャーしたメドレーで披露。
これは大受けとなりました。
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フェンダー・ジェミニIIは、デザイン、音色ともに満足度100パーセントのアメリカンビューティー。
アコースティックギターといえば、マーティンやギルドなどのシリーズが神格化されている感がありますが、私にしてみれば、エレクトリックからアコースティックにいたるまで、真のアメリカのサウンドをもつのはフェンダーのギターです。
ジェミニIIは、これまでほとんどステージでは使用していませんけれど、自作の’マリア・ルイサの城’、’テノチティトラン’をはじめ、新しいところでは、昨年CD化された、日本ポルトガル修好通商150年記念歌’想い出のリシュボア’などのレコーディングにおいて大活躍してくれています。
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コンサート終了後、新たな頼もしいサポーター、大根田勝美さんご夫妻と。
私たちはこのあと、バージミュージックのすぐ隣に位置するリバーカフェにて楽しいひとときを過ごしました。
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¡Gracias!