‘夢見ながら歩くものたち’とともに
‘栗毛の馬’や’牛追い’、’牛車にゆられて’、’眠れるインディオの子’、そして’トゥクマンの月’などの名曲の数々を、決してコンサートにおいて欠かすことのできないたいへん重要なレパートリーとして持ち、これまで数多くのユパンキ作品の研鑽、演奏を続けてきた私ですが、実はこのところ、2005年春の東京オペラシティーでの二回公演の際に演奏した、’微笑みながら坊やは眠る’のそれ以来、新たなユパンキ作品をレパートリーにとりいれる作業から二年半ほど遠ざかっていました。
‘栗毛の馬’や’牛追い’、’牛車にゆられて’、’眠れるインディオの子’、そして’トゥクマンの月’などの名曲の数々を、決してコンサートにおいて欠かすことのできないたいへん重要なレパートリーとして持ち、これまで数多くのユパンキ作品の研鑽、演奏を続けてきた私ですが、実はこのところ、2005年春の東京オペラシティーでの二回公演の際に演奏した、’微笑みながら坊やは眠る’のそれ以来、新たなユパンキ作品をレパートリーにとりいれる作業から二年半ほど遠ざかっていました。
ああ 私の故郷(ふるさと)の人々よ
今だからこそ わかります
私の抱いている この悲しみは
あなた方から受け継いだものなのですね
私とあなた方のこの運命は
私たちを繋ぐ縁(えにし)なのです
どんなに否定されようと
同じギターラに張られた弦なのです
奏でられるギターラの
うめくような音を聴くたびに
我を忘れて
泣き出したい気持ちになるのです
そして 静かに身をゆだねていますと
優しさに包まれるようです
苦悩が深ければ深いほど
私は歌って悲しみを和らげるので
(「故郷(ふるさと)の人々よ」彩流社 ”アマリア・ロドリゲス詩集/歌いながら人生を“より)
私にとって、今年最大のハイライトといって間違いのない演奏、それは11月に行われる、ペルーの世界遺産にしてインカ帝国最大の遺跡、アンデスの空中都市マチュピチュでのライヴ・パフォーマンスでしょう。
まるで時の流れがとまってしまうかのようなようなひとときを、皆様とわかちあえますことを心より楽しみにしています。
今日は、私が数あるラテンアメリカ諸国のなかでも最も好きな国のひとつであるメキシコにおいて作曲したナンバーについてお話したいと思います。
私が現在、ギタリストとして国際的活動を続けていられるのは、少年時代にしっかりとしたクラシック・ギターの手ほどきをしてくださった鈴木巌(すずきいわお)先生のおかげです。
鈴木先生は、日本の音楽史上、海外における国際コンクール(1957年、モスクワ国際ギター・コンクール)で第一位グランプリに輝いた、わが国最初の音楽家です。
何年か前に、当時の鈴木先生の演奏の録音を聴かせていただいて、もうとにかくそのすごさに圧倒されたものですが、”ギターは美しい音色の楽器だよ。テクニックはあくまでもそれを表現するためのものでむやみやたらに誇示するものではない。”という先生の考え方は、いまも私の音楽のなかに、長年にわたってしっかりと息づいている大切な言葉です。