9.21 在メキシコ日本国大使公邸コンサート

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ニューヨークから公式の招聘を受けて、14年ぶりに訪れたメキシコシティー。
9月21日の夜7時より、日本メキシコ交流400年を記念するスペシャルコンサートのパート1として、在メキシコ日本国大使の公邸においてパフォーマンスを行いました。

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夕方5時。
今回、私のオリジナル作品である”テノチティトラン三部作”のセカンドギターを引き受けてくれた、メキシコ・クラシックギター界の第一人者、フアン・カルロス・ラグーナさんと初顔合わせ。
大使公邸の執務室においてリハーサルを行いました。

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経験の少ない音楽家同士が、しかも同じ楽器を演奏する奏者同士でジョイントコンサートを行うと、時に無意味なライヴァル意識が生じ、なんだかギクシャクした演奏になることがよくありますが、私たちはひと目でお互いが、この南米大陸の魂とエモーションが濃縮された美しい楽器の演奏に一生涯を捧げ、そして、その追求のために日々道を歩むもの同志であることを認識しあい、約二時間、まるで旧知の友人に再会したかのように、和やかに語らい、そしてリスペクトしあいながら、本番前のリハーサルを楽しみました。

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出番直前のラグーナさん。
彼は、1991年度、東京国際ギターコンクールにおいて第一位優勝に輝いた実績をもつ素晴らしい奏者です。
しかしながら、それをひけらかしたり驕ったりするようなところはまったくなく、私は彼の謙虚で誠実な人柄にすっかり魅せられました。
ラグーナさんは”テノチティトラン三部作”を心から理解し、私が100パーセント満足のゆく素晴らしいレヴェルで仕上げてくれていました。
もちろん彼は一言も言いませんでしたけれど、私は彼が、どれだけの時間をこの作品の理解とインタープレテーションのために費やしてくれたかをすぐに察しました。
この’アルティスタ・ヴェルダデーロ(本物の芸術家)’の人間性については、私が撮影したこの写真がすべてを語っていると思います。
ラグーナさんの、いかにもラテンアメリカらしい清涼感漂うハイセンスなホームページは、こちらでお楽しみください

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午後7時。
小野正昭駐メキシコ大使のご紹介を受けて、まずゲストの皆様にごあいさつ。

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コンサート第一部は、フアン・カルロス・ラグーナさんのソロ。
スペイン古謡に幕をあけると、彼の故郷が生んだ大作曲家、マヌエル・ポンセ、続いて南米を代表するサウンドクリエイター、ブラジルのエイトル・ヴィラ=ロボス、そしてラスト、アルゼンチンのグスターヴォ・カントールの作品を、高いテクニックと豊かな音楽性で見事に表現しました。

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そして第二部は私のソロ。
今回私は、通常プログラムにいれるヴィラ=ロボスやバッハなどのクラシック作品はすべてラグーナさんに任せ、専門分野であるアタウアルパ・ユパンキのアルゼンチン・フォルクローレ、そして自作曲のみに徹した演奏を行いました。

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そしてクライマックス、”テノチティトラン三部作”は大成功。
鳴り止まない拍手に応えたアンコールはビッグ・サプライズで、メキシコの国民的英雄、ホセ・アルフレード・ヒメーネスの”エル・ヒネーテ(悲しき騎手)”をデュオで披露しました。

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さらにサプライズ。
ラグーナさんのワイフであり、澄んだ美しい声の持ち主であるソフィーアさんにラストで歌ってもらうことを、リハーサル中私が急遽提案。
私とラグーナさんの即席ギターアレンジにのって、彼女はメキシコの名フォルクローレ、”ジョローナ”を切なく歌い上げ、この素晴らしいコンサートをしめくくってくれました。

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彼女はなんと、アルゼンチンのコルドバ出身。
私にとってコルドバは、ユパンキと私を結んでくれたかけがえのない土地です。
私はラグーナさん同様、この心の清らかなエルモーサ・クリオジータ(美しい南米娘)を、まるで本当の妹のように愛しく思いました。

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コンサート後のレセプションにて。
メキシコ在住の国際的ヴァイオリニスト、黒沼ユリ子さん(写真向かって右)、そしてお姉さまの黒沼俊子さんと。

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この素敵な女性たちは、なんとオーストラリア大使(写真中央)とニュージーランド大使です。
どちらの国も、私にとってはほんとうに遠い、まったく違う文化をもつ土地ですが、チャーミングなおふたりのアンバサダーは、心から私の演奏に感激してくださったようでした。
おふたりともスペイン語がお上手でビックリ。

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こちらはポーランド大使。
私がワルシャワとクラクフでコンサートをしていることを、たいへん喜んでくださいました。
やはりスペイン語が完璧です。

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“テンプロ・マヨール”とならび、メキシコシティーを代表する観光スポット、”テオティワカン”遺跡のディレクター、アレハンドロ・サラビア・ゴンサーレスさん。
私はこの夜、知り合う方々すべてにおいて、あたかも旧知の親しい人々に会っているように思えてなりませんでした。
私はなんだか、アステカの神さまがすぐ後ろで見守ってくれているような気配を感じていました。
そして舞台はいよいよメインイヴェント、アステカ文明の首都、テノチティトランの中心部にそびえたピラミッド大神殿遺跡”テンプロ・マヨール”におけるコンサートへと続きます。

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(実はいま、ちょうどこの話題をアップデートしている最中に、来年4月17日、ニューヨークにおいて、NY日系人医師会の皆様のご招待による演奏依頼の電話を受けました。これは、毎年恒例の大きなイヴェントで、今年はヴァイオリンの五嶋龍さんとジャズピアノの秋吉敏子さんのデュオ・コラボレーションでした。 ひょっとしてアステカの神さまは、私といっしょにニューヨークまでついてきてくれたのでしょうか...。)