今はなきワールドトレードセンターでのインタビュー

050911

2001年の8月に、ブエノスアイレスの人気テレビ番組‘Canal 5 de Vicente Lopez’で放映された私のインタビューがあります。
実はこれは、あの恐ろしい惨劇をそのちょうど二ヶ月後に迎えることになる、NYワールドトレードセンターのツインタワーを見上げるプラザの一角で行われたものでした。
ここにその放送が収録されたビデオテープがあり、これには私の映像に加えて美しいツインタワーのショットが挿入されているのですが、私はこの街にきて間もない頃、タワーの屋上に登って、はるかに広がるマンハッタンを見下ろしながら、“これからよろしくたのむぞ”などと祈ったものでした。
その後ニューヨークは、ただひとりでそのふところにとびこんできた若者の願いを聞いてくれ、数多くのプレゼントをしてくれました。

あの9月11日の朝、このタワーが崩れ去った瞬間、私はまさに胸をえぐりとられるような思いでした。
インタビューに答えている私を見下ろす美しい姉妹のようなツインタワー、こんなかたちで想い出のなかにのその姿を残すのみとなってしまった運命を考えると、もういまこのビデオを観ることはできません。
今年、4年めを迎えるナインイレブン、その日私たちニューヨークに暮らす者は、もう二度とこんなことが世界のいかなる場所ででもおこらないように祈るのです。

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心の仲間たち、セントロ・ニッケイ・アルヘンティーノ 2 - ブエノスアイレスに生きている日本

パレルモ

ブエノスアイレスの中心地から少し離れた、パレルモと呼ばれる地区に中南米最大の日本庭園があります。
広く美しい庭園は実に立派なもので、ただ散策して歩くだけでも心地よいのですが、園内には日本の民芸品を売るお店や、庭園をながめながら日本料理を楽しめるレストランなどもあり、この地球のまったく反対側の異国情緒を味わうために、休日には家族連れの人々でいっぱいになります。
この日本庭園で、私はいままで何度か公演をしています。

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フォルクローレの里、サルタの人気ラジオ局

サルタ・ラ・リンダ

アルゼンチン北部にある、フォルクローレのゆりかごと呼ばれる美しい町サルタ。
この町で一番聴かれているラジオ局が‘ラジオ・サルタ’ です。
本来、生出演をするはずでしたが、公演日の昼にブエノスアイレスから到着するとすぐに現地のミュージシャンたちとリハーサルなどがあり、スケジュールは押せ押せで、結局ホテルから電話で出演ということにあいなりました。

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中米ニカラグアの人気ラジオ ’ジャ’ と、映画‘アルシノとコンドル’

ニカラグアと聞いて、すぐどんな国かや正確な位置が分かる方はそれほど多くないと思いますが、前にご紹介したキューバ映画、‘苺とチョコレート’と同様、たいへん感激したこのニカラグア映画、‘アルシノとコンドル’との出会い以来、私がずっとロマンを抱いていた国でした。

チリから亡命した映画監督、ミゲル・リッティンが、全ラテンアメリカ映画人の総力を結集して製作した作品‘アルシノとコンドル’。
ながきにわたってニカラグアの人々を苦しめたソモサ独裁政権が、サンディニスタと呼ばれた反政府ゲリラによって崩壊させられる様を、アルシノという少年の目をとおして描かれた、この鋭いリアリズムと甘味なリリシズムが完璧に融合した作品は、米国俳優のディーン・ストックウェルがまったくのノーギャラで出演したことでも話題となりました。
劇中アルシノは、亡き父親の遺品の入った箱のなかから見つけたアムステルダムの絵葉書を大切にしているのですが、彼にとってこのアムステルダムは夢の都でした。
仲良しの少女といっしょに湖に木の小船を浮かべ、“アームステルダーム!”と叫びながら遊ぶシーンは、キューバの作曲家、レオ・ブローウエルの美しい音楽とあいまって、幻想と詩情の極致ともいえる、私がいままで観た映画のなかでも一番美しいシーンのひとつです。
そのニカラグアで2002年に公演が決まったとき、私はどんなに嬉しかったかわかりません。
たびかさなる内戦や地震でかなりのダメージを受けた国ではありますが、現在若い人たちのパワーが確実に将来を感じさせ、首都のマナグア大学は中米一の教育水準を誇ります。

‘ジャ’に出演する私

そのマナグアで一番の人気ラジオが‘ya ー ジャ (already という意味)’ですが、この放送局が私の公演前に流したコンサートのコマーシャルは、オリジナルの‘テノチティトラン’をベースに作った最高にカッコよいもので、しばらく聞き入ってしまうほどでした。(写真は‘ジャ’に出演する私)

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心の仲間たち、セントロ・ニッケイ・アルヘンティーノ

らぷらた報知

ブラジル同様、アルゼンチンでも日系人たちははや3世、4世の時代を迎え、政界をはじめとする各分野での彼らの活躍は目覚しいものがありますが、そのアルゼンチンの日系人たちで構成されるのが、今回ご紹介するセントロ・ニッケイ・アルヘンティーノです。
写真)彼ら日系人の読む新聞 らぷらた報知 2004年 7月15日 ー 私の亜国訪問を報じたものです

セントロ・ニッケイ・アルヘンティーノは、今年発足20年を迎えますが、私が彼らと知り合ったのはちょうど10年前、彼らが10周年を祝うイヴェントに私を招待してくれたのが縁のはじまりでした。
その時私は、この同じ血を体の中に持つ遠い国の兄弟たちにすっかり魅せられ、それ以来ずっと親しくさせてもらっています。
昨年のアルゼンチン公演のとき、彼らがどんなに喜んで私を迎えてくれたかは言葉では言い表せません。
“俺には兄弟がたくさいいいる 野に山に海に 数え切れないほどいる そして それらのすべてがそれぞれの職をもち 想い出を後に 希望を先において生きている”
という出だしで歌われるユパンキの名曲‘兄弟たち’
私はこのナンバーを演奏するとき、いつも彼らのことを想って歌い出すのです。

ブエノスアイレスにて

セントロ・ニッケイの素晴らしい兄弟たちと ブエノスアイレスにて

パリジャーダ

大好物のパリジャーダ(BBQグリル)でにっこり!

アンダルシアのレモンと、イタリアの濃厚なハチミツに、アタウアルパ・ユパンキの魂が溶け合う、静寂のグロリエータ(四阿)「カンテホンド・イベロアメリカーノ」の音楽世界

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