アタウアルパ・ユパンキの素晴らしき詩の世界 X
石のチャカレラ (アタウアルパ・ユパンキ)
ほら カミナンテ(旅人)が歌ってる
それはたくさん歩いた旅人さ
いまじゃ セロ・コロラドで静かに暮らしてる
どこへゆこうとも
俺は歌を 風にのせる
俺は果物をたっぷりと実らせる木
*ミストルの木のようさ
馬に鞍をのせて 俺は砂地を進んでく
はるかな道の途中でも ここじゃあつらいことなどみな忘れたよ
**カミニアガ、サンタ・エレーナ、
エル・チュルキ、ラジョ・コルタード
こんないい里 ほかにはないさ
ビバ!セロ・コロラド!
タラの木の木陰
若い娘の声で 俺は急にわれにかえる
“シーッ みんなが来るわ!”
悲しみによく効く薬をあんたにやるよ
ごつい雄イグアナの脂に いい薬草がよくまじってる
石のチャカレラ 粋な***クリオジータ
月のでない晩には 山にひとりでおはいんなさんな
カミニアガ、サンタ・エレーナ、
エル・チュルキ、ラジョ・コルタード
こんないい里 ほかにはないさ
ビバ!セロ・コロラド!
*
南米や、温暖地方に育つ樹木。
**
コルドバ州北部の国道沿いにある集落の名。
サンタ・エレーナは、セロ・コロラドへの玄関口ですが、バスをここで降りるともう一般の交通手段がないため、私はサンタ・エレーナのバス停そば、ラロというおじさんが営むバーでくつろぐトラックの運転手に頼んで荷台にのせてもらい、これまでに三度セロ・コロラドまで行きました。
こういった経験が、いまの私の音楽を強く根底で支えています。
***
南米生まれの娘
この場合、女性名詞の’チャカレラ’を擬人化してひっかけてあります。
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アタウアルパ・ユパンキの素晴らしき詩の世界 XI
3月16日に行う、ニューヨークエリアのラテンアメリカ系コミュニティー主催によるアタウアルパ・ユパンキへのオマージュ・コンサートの冒頭において、私が奏でるオリジナル・ギターソロ、’風が歌う地-ユパンキに捧ぐ ‘をバックに、一遍の壮大な美しさに満ちた詩作が女声の朗読によって読みあげられます。
それが、’歩く大地’と呼ばれた、この南米に生をうけた偉大なる巨人の、その哲学の原点ともいえる、’Tiempo del Hombre (ティエンポ・デル・オンブレ)’です。
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アタウアルパ・ユパンキの素晴らしき詩の世界 IX
In Memory of Atahualpa Yupanqui (1908-1992)
いまからちょうど100年前の今日、アルゼンチンのブエノスアイレス州の小さな村で、ひとりの赤ちゃんがこの世に生を受けました。
父親は南米先住民の血をひく人で、母親はスペインのバスク地方からやってきた移民の娘でした。
彼はそののち、愛するギターとともに、故郷アルゼンチン、そして南米の調べをとおして自らの哲学を謳いあげる素晴らしい芸術を完成させ、世界中の人々に深い感銘をあたえることになるのです。
今日1月31日、私たちは、’Tierra Que Anda (歩く大地)’と呼ばれた偉大なるギタリスト、歌手、詩人、作曲家、そして哲学者であったアタウアルパ・ユパンキ(1908-1992)の生誕100周年を迎えます。
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公演ポスター
アタウアルパ・ユパンキの素晴らしき詩の世界 VIII
今春、広島市において、アタウアルパ・ユパンキ(1908-1992)の生誕100年を記念するスペシャル・コンサートを現在計画中です。
ユパンキは生前、広島を心から愛し、一遍の詩を書き残しました。
そしてその詩に出会ったおかげで、私は音楽家として光のあたるところに出ることができたのです。
1992年11月12日、実際に広島とはなんの縁もゆかりもない私のためにかの地のみなさんが開いてくださったコンサート は、それは本当に素晴らしく、華々しいものでした。
原爆ドームをバックにした、息を呑むような美しいユパンキの写真(上)は、その際のコンサート・プログラムの表紙 です。
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投稿ナビゲーション
アンダルシアのレモンと、イタリアの濃厚なハチミツに、アタウアルパ・ユパンキの魂が溶け合う、静寂のグロリエータ(四阿)「カンテホンド・イベロアメリカーノ」の音楽世界