「Knight’s NY diaries」カテゴリーアーカイブ

ニューヨーク日記

Atahualpa Yupanqui Solo Guitar Works Vol.1 ユパンキギターソロの真髄1

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Mis doos interpretaciones homenajeadas a don ata.
He sido recibiendo contactos de la gente (incluso norteamericanos) que quiere tocar la música del gran maestro argentino. Asi que ahora estoy en serio, pensando escribir las partituras de esas bellísimos estilos para solo de guitarra.

My homage interpretations to Atahualpa Yupanqui.
I have been receiving contacts from the people who wish to play Yupanqui’s music. Right now, I’m thinking to write the sheets seriously.

ユパンキの原曲プレイをほぼ忠実に採譜し、ニューヨークのスタジオでレコーディングを行った音源による二本の動画。

トップのものが、5弦をG、6弦をDにそれぞれ落とした変則チューニングによる、アルゼンチンフォルクローレの醍醐味と呼んでいい、速いテンポの魅惑的舞曲’チャカレラ’を使って書かれた「ラ・フィナディータ」と、ボトムのほうが、息を呑むような美しい旋律が、優雅な’サンバ’のリズムに乗って展開する「幸福だった昔のサンバ」。

どちらも、ギターという楽器の機能性と音色の美しさを極限まで活かした、巨匠ならではの名作だ。

(チャカレラのほうは、実際は、ユパンキと親交が深かったディアス兄弟によってもともと書かれたものだが、自分は、ユパンキがアレンジしてプレイしたレコードを採譜している)

このところ、自分はユパンキのギター曲を弾きたいという多くの人々から連絡を受ける。

自分は少年時、鈴木巌先生にクラシックギターの手ほどきを5年間受けているので、楽譜の読み書きはもちろんできるが、子供の頃から、ユパンキをはじめ、ホセ・フェリシアーノ、バート・ヤンシュといった、市販楽譜が存在しない名プレイヤーたちの音楽をレコードコピーしていたので、いまでも音は目で見るより耳で覚えたほうが速く、自分の音楽を譜面にすると、目の前を音符がちらついて感覚が狂う。
レコードから耳コピーしたユパンキの音楽は、便宜上、トランスクリプション(採譜)という表記をとるが、楽譜にしているものはひとつもない。

しかし、今回のパンデミックで、世界最大の死地ニューヨークに暮らすなか、これまで考えなかったようなことを考えるようになった。
ユパンキのギター音楽を決して絶やしてはならないだろう。独特のシンコペーションやリズムブレイクが魅力となっている彼の音楽を正確に表記することは容易ではないが、いまも多くの人々に愛されている調べの数々を、少なくとも英語、スペイン語、そして日本語による自分の解説付きで発表することは、自分の使命であるような気がしてきている。

美しい真のギターの響きを持った音楽を世に残すため、自分は今後、おそらくユパンキのギターソロや、歌入りのものの楽譜を書くことになる。
それに際し、まずはギターソロのものから始めると思うが、これは、そのプロセスの第一歩になる音源ビデオ。

Atahualpa Yupanqui ‘Danza de la Luna’ ユパンキの「月の踊り」山崎克洋さんへのオマージュ

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Danza de la Luna (Moon Dance)

Composed by Atahualpa Yupanqui
Trancription & performed by Shiro Otake
Photo by Katsuhiro Yamasaki
Video created by Rieko “RICO” Yamamoto

月の踊り

作曲:アタウアルパ・ユパンキ
採譜、演奏:大竹史朗
撮影:山崎克洋
ビデオクリエイション:山本”RICO”理恵子

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Un gran homenaje a don ata, junto a mi interpretación de un maravilloso solo de guitarra.
Las hermosas fotos fue sacado por señor Katsuhiro Yamasaki (in 1966,) el jefe de la circulo de la música argentina en Hiroshima, y era un gran amante de Atahualpa Yupanqui.
Luego en 1992, señor Yamasaki hizo un gran esfuerzo para organizar un concierto para estrenarme en Hiroshima.
Sin duda, era uno de los mas importantes hombres en mi vida.

An homage to Atahualpa Yupanqui, with my performance of ‘Moon Dance,’ an extraordinary phenomenon.
Those beautiful pictures were taken by Mr. Katsuhiro Yamasaki (in 1966,) a leader of the Argentine traditional music fan circle of Hiroshima , and also a big fan of Atahualpa Yupanqui.
Later in 1992, Mr. Yamasaki made a huge effort to organize my debut concert in Hiroshima.
No doubt, He was one of the most important men in my life.

アタウアルパ・ユパンキのギター曲のなかでも、自分が最も好きな作品が、この「月の踊り」。
アンデス高原に暮らす先住民たちの代表的舞曲リズム、”ウァイノ”を使い、大幅な変則チューニングによって書かれた、どこか東洋的な神秘さが漂う美しい調べは、まさに巨匠の独壇場と言っていいだろう。

ビデオに使用した美しい写真を撮影したのは、当時、広島アルゼンチン音楽同好会のリーダーをしておられた故山崎克洋(やまさきかつひろ)さんで、トップ写真でユパンキと一緒に写っている32歳の青年。
山崎さんは、この26年後の1992年、広島における自分のデビューコンサートを開催するため、たいへんな努力をしてくださった、文字通り自分にとっての最大の恩人のひとりである。
この動画は、山崎克洋さんに献呈したい。

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この録音は、自分が所持するギターのなかでも、最も強く豊かな低音をもつ、アルゼンチンのグレゴリオ・カブラルという製作家が1995年に作ってくれた楽器を使っておこなった。
ノガル(アルゼンチン産胡桃)という珍しい材質に加え、第一弦を21フレットまで打ち付け、さらにヘッドに木製の糸巻きをつけてもらうという超カスタムモデルで、2000年代のはじめは、このギターとともに多くの中南米諸国をツアーした。
中米ホンジュラスの首都テグシガルパの国立音楽学校オーデトリアムでのコンサートから、「ギジェルマおばさんに捧げる歌」、そして同じくテグシガルパのテレビ番組におけるライヴパフォーマンス(スペイン語インタビュー付き)で 「牛追い」、それぞれお楽しみいただけると嬉しい。

ユパンキ作品を多くプレイする、特に中南米における公演に、まさに絶対的な威力を発揮するのがこのギターだ。

Atahualpa Yupanqui on Sakazo Nakade 1978 中出阪蔵さんギターによるユパンキ

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La Soñadora,’ interpretado con la guitarra de Sakazo Nakade, uno de los mejores guitarreros en Japón.
Para mi, no hay más bello solo de guitarra en este mundo.

La Soñadora (The Dreamer),’ played on Sakazo Nakade, one of the finest classical guitar makers in Japan.
To me, this is one the most beautiful guitar solo pieces, created by one great musician who perfectly knew about the true sound and the amazing function of the guitar.

アタウアルパ・ユパンキの名ギターソロ、「ラ・ソニャドーラ(夢見るサンバ)」を、日本の名工、故中出阪蔵(なかでさかぞう)さんが作ってくださった楽器を使ってプレイした一般非公開動画(反復省略)。

1978年、鈴木巌先生の門下生として教室に通いだして間もないある日、先生が、”どんな楽器を使っているのか見たいので持ってきなさい。”と言うので(ケースは持っていなかったので小林旭よろしく)かついで行くと、先生はそのギターを見るなり、”うわっ!こりゃひでえ!”と叫び声をあげた。

それは、うちのおばあちゃんが近所でもらってきた、鈴木バイオリン製のボロボロのギターで、どこもかしこも痛みだらけのすさまじいものだったが、先生はすぐに母に電話をかけ、”史朗くんにはギターの才能があるが、これでは伸びない。ぼくの知り合いに中出阪蔵さんという優れた製作家がいて、ぼくが頼めば高品質の楽器を値引きして作ってくれる。一生もつ素晴らしい楽器になるので、是非買ってあげてください。”と、母を説得してくれた。

そしてその年の暮れ、はじめての門下生発表演奏会において、自分はこの楽器を抱えてソルのメヌエット(グランド・ソナタ)をプレイし、優秀演奏賞に選んでいただいた。

鈴木先生の言葉通り、誕生から40年以上が経過しているにもかかわらず、中出さんギターの音は、衰えるどころか、どんどん深みを増してきている。

低音中音高音ともに、現代の、見た目ばかりこぎれいで”弱っちい”ギターとは本質的に異なるパワーがあり、香り高いクラシカルサウンドと、力強い民俗的サウンドを兼ね備えた、本当に素晴らしい楽器だ。

これは、ニューヨークの自宅の全く音が響かない部屋で、なんのエフェクトもかけずに録った音だが、このような録音でも、中出さんギターがいかに優れた機能性を持っているかよくお分かり頂けると思う。

後年、このギターには、スペインの不世出フラメンコ舞踊家アントニオ・ガデスによる、”シローへ、同士より親愛を込めて”と、力強いメッセージが添えられたサインがしたためられた。

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「夢見るサンバ」は、自分が最も好きなユパンキ・ギターソロ曲のひとつ。
ギターという楽器の音色と機能性を知り尽くしていたプレイヤーのみが創造し得た、単に指が動くだけでは全く音楽にならない、まさに極限の深みをもつナンバーだ。

かつてナルシーソ・イェペス(ジェーペス)は、”人間の精神を表現することがギターにとっての最高のテクニックなら、ユパンキほど高いテクニックを持ったプレイヤーはいない。”と語った。

イェペスもまた、この美しい楽器の音色と機能性を知り尽くした、稀有なプレイヤーであったことは言うまでもない。

Iberoamericana a la Argentina ”イベロアメリカーナ” アルゼンチン発売

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Finalmente está a la venta “Iberoamericana/Live” en Argentina.🇦🇷 Ojalá que baje el precio…

Finally “Iberoamericana/Live” is on sale in Argentina. Hope the price goes down soon…

パンデミックの狂乱の中、ブラジルで品切れ、再発売を繰り返していたCD「イベロアメリカーナ/ライヴ」が、ようやく本国アルゼンチンで発売開始(トップ写真)した。
値段は決して安くないが、すでに在庫は1コピーになっているという。買ってくれた皆さんに心から感謝している。

また、米国の大手スーパーのウォルマート(ボトム写真)からも、在庫残り1枚と連絡を受け、イスラエルでも流通が開始した。

自分は今でも、これはいい音楽だと思うとCDを買って聴く。そして、本当に音楽を愛好する人々は、自分と同じようにCDを買って聴くと信じている。

Summer greetings 2020

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Cada verano vengo a este bello pueblo norteño a la orilla del mar, para quedarme y relajarme por unos días.

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Every summer, I come to this beautiful seaport town in northern Connecticut to spend a couple of days for relaxing.

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毎年夏は、コネチカット州の海辺の町で数日過ごす。いろいろあったが今年も来られて良かった。

暑中お見舞申し上げます。